
タイルがどんな風に作られているのか
知っていますか?

元は、こんな土のかたまりや、顆粒状のもの。
成形、施釉、焼成 ― 。
さまざまな工程を経て、空間を豊かに彩るタイルができあがります。
「タイルパーク」を運営するわたしたち「TNコーポレーション」では、自社工場で日々たくさんのタイルをつくっています。

ツルツルとしたフラットなタイルも、立体的、ゴツゴツとした凹凸、窪みのあるタイルも、大胆なレリーフもあれば、見る角度でかすかに現れる模様のタイルも、表面の形状は実にさまざま。
真っ白のシンプルなタイルも、ビビットカラー、淡い色、ラスターがキラキラと輝くタイルも、はたまた、マットで落ち着きのある質感のタイルも、ぱっと見は大差ない材料からできているように見えても、 面状と釉薬の組み合わせで、焼き上がりは実に多様多彩に変化します。
原料となる土、カタチと面状、そして釉薬と施釉方法、最終的な焼き、炎。
全ての工程において、長年の経験とそこから得た知識をいかし細かく調整。最後に火の力を借りて、やっとタイルは焼き上がります。
わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら紹介。
一般的なタイル製造工程の説明とはちょっと違う、知らない方でも入りやすい内容にまとめています。
焼き上がるまでの過程を知ることで、
今よりもっと、タイルが好きになるかもしれません。
あまり興味がない方にも、
ほんの少しだけ、魅力が見えてくるかもしれません。
工場見学を希望される方は、お問い合わせフォーム(https://tile-park.com/contact)からご連絡ください。
※工場の生産の都合等により、ご希望に添えない場合もございます。予めご了承ください。
▼ 過去のオンライン工場見学の様子はこちら
タイルづくりの現場から 加工・梱包編
わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第6回目は、最終段階の加工と、箱詰めされるまで。加工といっても、タイル自体の加工ではなく、小さなタイルを並べて「ユニット化」、モザイクタイルのユニットシートに加工する様子を覗いてきました。
(第5回「品質検査編」はこちら)

何人ものスタッフの手が、せわしなく動く現場。
TNプロダクトの工場内を、ぐるっと回ってご紹介してきましたが、機械による生産ラインとは別棟のこちらでは、主に人の手でタイルの最終加工がおこなわれています。

作業前の現場はこんな感じ。小さなタイルを何枚も並べて、1枚のシートにしていきます。

スタッフがいない、休憩中の1コマ。
手前ではランダムにタイルが置いてありますが、奥へ進んだ先では、ぴっちりと並んでいます。
わざとバラバラに置いていくのは、色のバラツキがでないようにするため。
前回のブログ「品質検査編」で少しだけ触れましたが、その生産ロットの箱ごとで、色のバラツキを抑え、偏った色むらを防ぐための、「混ぜる」という作業です。
ここで並べているのは、どれも同じ真っ白なタイル、のようなのですが、タイルは”焼き物”…。生産する度に「全く同じ色」を再現することが難しいため 、プレーンな「白」いタイルでも、このような「混ぜる」作業が必要になってくるのですね。 (私にはどれも同じ白にみえました…)
並べられたタイルに、紙を貼って1枚のシート状にします。
上の動画は自動紙貼機。糊をタップリとつけた紙をタイルの表面におき、ローラーでコロコロとしながら押さえ、コンベアにのって次々と下の方へ送られていきました。
スタッフが一生懸命に並べている、その下を、温風を当てられながら進み、乾かされて再び上に出てきたらシートの完成。並べる作業をしているスタッフの少し前のところで、拾い上げられ箱詰めされます。
モザイクタイルのユニット加工には、2つのタイプがあります。
今紹介した「表紙張り」と、もうひとつは「裏ネット張り」のユニット。
・表紙張り(おもてかみばり)ユニット
タイルのおもて面に、水で剥がせる糊で紙をはり付けてユニット化。
紙はシートを施工面に張りつけてから剥がすため、接着剤硬化前にタイルの位置を微調整することもできます。
タイルを貼り付けたあと、水を含ませたスポンジ等で紙を湿らすと簡単に剥がれます。この剥がすときが、たまらない瞬間なのだとか…。(どんなふうになっているのか、紙に覆われて見えていなかった姿が、剥がしてやっとあらわれるので。おーっ!となる瞬間。醍醐味ですね)
・裏ネット張りユニット
タイルの裏面にネットを張り付けてユニット化したもの。
ネットごとそのまま張りつけるため、手順が少なく簡単に施工を行うことができます。初心者の方、DIYで施工される方は、タイルが見えた状態で張れるので、表紙張りよりやりやすいかもしれないですね。
海外ではネット張りのものが主流で、輸出もさかんなタイルパーク商品では、裏ネット張り商品が増えていますよ。


できあがったばかりのモザイクタイルは、上の写真のようにバラバラ。
タイル雑貨を作ったりする場合には、そのまま使えばいいのですが、とても広ーい壁や床に、小さなタイルを一枚ずつ張っていくというのは大変…というか、きれいに張るのはとても難しいし、時間のかかる作業ですよね。
という訳でモザイクタイルは、だいたい30cm程度のシート状にユニット化されています。

例えばこれ。 これを 一枚、一枚並べてやっていったら、相当な作業量…ですよね。ユニット化されているから、こんなおしゃれな床も、簡単に施工できてしまいます!
この「ニューヨーク-ミックス」(NY-MBS-1)という商品、表紙張りのユニットなんですが、こちらは手作業でシート化しています。

色と形がわかれているので、こんな風に手作業でタイルを並べていきます。

「貼り板」という、タイルを貼る位置があらかじめ枠で仕切られている道具を使います。ざざーっと適量タイルを散らして、枠に沿ってはめていき、並べ終わったらいろんな方向から確認。傷がついたりしたタイルがないかを、紙を貼ってしまう前に、ここでもう一度確認します。
紙に糊をつけて、並べたタイルの表面に貼ります。紙もユニットに合わせた形にしてあります。
スタッフさんは、慣れた様子でテキパキと進めていますが、私だったら紙をタイルの位置に合わすのだけで、おたおたしていましそう(苦手…)。
板をかぶせて、ひっくり返し、完成。最後にもう一度、ズレがないか確認していました。

これは、完成したシートの裏側で、表面の紙は見えていないので、わかりにくいですが…
青いネットは、くっついてしまわないように敷いているものです。

モザイクタイルの種類分だけ、厳密には、モザイクタイルでなくても、ユニットにするものの分だけ、「貼り板」があります。四角、六角形、丸、扇、ひし形、波型…。珍しい複雑な組合せで、年季の入ったレトロな貼り板なんかは、ネットオークションに出品されてたりします。マニアにはたまらないのでしょうか?

一方こちらは、手作業でのネットばりの様子。
写真のタイルは、現在タイルパークでは扱っていない、海外向けの商品なのですが…、複数の厚みの違うタイルをミックスした商品で、しかも目地埋めしない設定なので、ほぼ隙間もないシート。
これが結構手間がかかるようで…
厚みが何種かあるということで、「貼り板」も特殊。
まずはこの厚みのタイルはここ、次にこの厚みはこの位置へ、というように、パーツが分かれており、通常のものより作業も段階が多い。ただでさえ、小さくて並べるだけでも時間がかかるというのに。
そして、狭いがゆえに、枠にタイルがピチッとはまってしまって出てこない、という…。それを取り出して、手で戻す。なんとも手間のかかる商品でした。
しかしながら、厚みの違う、凹凸のあるタイルが美しい陰影を作り、ドラマチックな空間を演出するモザイクタイルです。ひと昔前のタイルパークの商品ですが、海外では今も人気の商品です。
今回、工場を見に行ったときには、タイルパークの商品以外の、海外向けの製品や、補修用のタイルが多く加工、梱包されていました。
色幅の大きな商品や、窯変(ようへん)を売りにしているもの、色に特長を持たせている商品が、たまたま生産予定になく、ユニット加工や、その後のチェック(タイル1枚1枚の品質チェックではなく、ユニットにした後のチェックですね)、梱包までの様子が見れませんでした。また別の機会に、番外編としてお伝えしようと思っています。
色幅のある商品を、どうユニット化しているのかが、気になります…。
私は仕事柄パソコン上で、タイルのシート画像を組み合わせて、室内イメージ画像に貼り付けて、簡単な合成画像を作ったりするのですが、どうも違和感が出てしまって難しいんですよね。かっこいい、色幅のあるタイルの壁面がうまく再現できないのです。
いったいどのような配合、配置をして、 ユニットにしているのでしょう。
▼ 過去のブログはこちらから
第1回「原料編」
https://tile-park.com/blog/detail/26799
第2回「成形編」
https://tile-park.com/blog/detail/27124
第3回「施釉編」
https://tile-park.com/blog/detail/27860
第4回「乾燥~焼成編」
https://tile-park.com/blog/detail/29731
第5回「品質検査編」
https://tile-park.com/blog/detail/30071
この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。
■関連商品のご紹介■

ニューヨーク-ミックス
床に人気のモザイクタイル。レトロモダンなニューヨークスタイルを簡単に実現!もちろん壁にもOK
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タイルづくりの現場から 品質検査編
わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第5回目は、「品質検査」。焼き上がったタイルを目で見て選別するところから、詳細な測定検査まで。
品質管理ってとても細かくて大変そう。でも品質管理室を覗いてみると、出来上がったタイルを割っているではないですか!
これはいったい…。

タイルは焼成後、出荷へ向けて箱詰めされるわけですが、その前に大事な検査があります。
検査は、抜き取り方式。
そのときに製造している何千~何万枚ものタイル、一枚一枚を全部を細かく計測するのは不可能なので、そのなかの10枚をランダムに抜き取って検査します。
この10枚(※ちなみに平物。役物は5枚)、というのもJIS規格で決まっており、規格に沿って検査をしていきます。(3年に1回、定期的に審査も入るようです…)
ちょっと話が堅苦しくなりそうなので、難しい話は置いといて。。。
早速、どんなことをやっているのか、ちょっと管理室内の様子を見学させてもらいました。

まずは、寸法と形状。
主にカタログに記載しているのは、タイルの縦と横の寸法、それと厚さ。
でも測るところはそれだけじゃありません。
・ばち
・反り
・直角性
・裏あし
・役物の角度

タイルの大きさや形状によっても変わってきますが、十数か所以上も測らなければならないものもあります。
「ばち」というのは、長方形のタイルなら相対する辺の寸法の差、正方形の場合は4辺の寸法の最大値と最小値の差のことをいいます。

「反り」はタイルの湾曲具合を調べます。「面反り」「辺反り」「側反り」とあるそう。

「裏あし」は、タイル裏面の凸凹の部分。モルタルなどとの接着を強くするためもので、主に外壁タイルにもとめられ、接着剤貼りの内装用タイルにはあまり関係ないのですが、規格に沿って測ります。

とにかくいっぱい。
なので、デジタルノギスを使って測り、測定値をパソコンに送信。どんどんデータが自動で入力されていきます。両手を使って測るので、足元のスイッチをポンポンポンっと踏んで、リズムよく測っていきます。これは便利!早い!
測定数値はパソコンへ デジタルノギスで計測 便利な足ふみスイッチ! 吸水率を調べる機器
決して広くはない、ちょっとしたスペースですが、タイルの様々な箇所を測定して調べています。
他にも、吸水率(Ⅰ類(磁器質)・Ⅱ類(せっ器質)・Ⅲ類(陶器質)…材質については、こちらのブログもご覧ください)の試験をする機器なんかもありましたが、面白かったのはこちらの小さな機器。いったい何を測るものでしょうか。

これ、測定後、タイルは無残にもこのようになります…

そう、これはタイルの強さを測る機器です。割って確かめるんですね。
そんな検査を、こんな小さな機械でやっているとは、意外!
タイルの端を2本の支持棒で支え、中央に一定の荷重速度で荷重をかけ、タイルが破壊したときの最大荷重を測定。タイルの曲げ破壊荷重及び曲げ強度を求める、という検査でした。
初めて見た時には大きな音に、ちょっとびっくり(動画の音は、控えめにしてありあます…)。何回か試験を見ているうちに段々と慣れてきたものの、さきほどよりやや厚みのあるタイルにかわったら、音も大きく、またビクッとしてしまいました。
測るときは、そのタイルの割れやすい方向で調べるそうですよ。
例えば上の動画にあった、筋の入った「雫」というタイルは、筋が入ったの方向と平行に置いて検査していました。
管理室を出たすぐ前のところは、工場ラインの選別の工程。



ここで行われるのは、目視でのチェック。
ラインに流れてくるタイルを、1mほどの高さから見て、汚れなどの不良を取り除きます。
そんなに離れてて、ちゃんと不良品がわかるの?と思いますよね。でも、タイルのチェックは、この距離感が大事。
タイルができあがって、ある程度の面積に何十~何百枚が張られた、施工後の状態を想定してチェックします。
施工されたタイルを、間近でジーっと凝視して見ることって、ほとんどないですよね?(一部のタイル好きの方や、この業界の方なら、そんなこともあるかもしれませんが…)

こんな距離感です。
不良はもちろんですが、基準色となる見本を置き(画像の上の方に掲げられた4枚)、それと比べて色むらが大きい、あるいは小さい、そういうところも見て、基準をズレていないか確認、偏りがでてしまわないよう気を付けます。

こんな感じで不良をピックアップ、OKのものと入れ替えます。

基準色といいましたが、焼き上がったタイルを時系列でボードに並べ、そこでも色の具合をしっかりチェックしています。

選別工程のすぐ先で、こんなふうに一旦箱に仮詰めされるのですが、およそ20箱(20箱積むのが30分程度)に1回、ここからピックアップして、さきほどの時系列ボードに並べていき、色をチェックします。
コンベアに流れているのを見ていても、だんだん色が薄くなっているとか、さすがに気付くのは難しい。
ここに並べて比較することで、色の変化に気付くことができるのです。
その生産ロットの箱ごとで、色のバラツキを抑え、まとまるよう、この段階である程度調整する、選別は、そんな作業も担っています。
でも、これはあくまでも仮りの詰め作業。
出荷前の梱包時に、仮詰めした箱から取り出して、もう一度しっかり小さな汚れや傷、欠けなどをチェックしながら、どの箱も同じような”色合い”率になるよう混ぜて、詰め直していくのです。
その辺のお話は、また次回。
小さなモザイクタイルをユニットシートにする、加工のお話とともに、またご紹介します。
こちらのブログもぜひご覧ください。
▼「タイルの品質のはなし」
https://tile-park.com/blog/detail/26459
▼ 過去のブログはこちらから
第1回「原料編」
https://tile-park.com/blog/detail/26799
第2回「成形編」
https://tile-park.com/blog/detail/27124
第3回「施釉編」
https://tile-park.com/blog/detail/27860
第4回「乾燥~焼成編」
https://tile-park.com/blog/detail/29731
この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。
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甚(じん)
ブログ記事内で選別していたタイルです!
鈍いツヤ感が大人の和モダン空間に最適。 繊細な釉薬の結晶が角度によって様々な表情をみせます。240×60mmのボーダーと、150角の2タイプ。
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タイルづくりの現場から 乾燥~焼成編
わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第4回目は、「焼成」。いよいよクライマックス、焼き上げる工程です。タイルをつくる流れの中で、一番長く、じっくりと時間をかけ、乾燥から焼成へと進んでいきます。
(第3回「施釉編」はこちら)

成形し施釉されたタイルは、焼成する前に、「サヤ」という入れ物にのせられます。
陶磁器を焼くときに、素地を炎、その他諸々から保護し、影響を受けないようにするために用いられる耐火性の容器です。

本当の名前は「匣鉢(こうばち)」というらしく、形も丸や凸凹したもの、焼くものに合わせて実に様々あるようですが…
タイル業界で基本的に使っているものは、断面がアルファベットの “H” のような形をしたもので、「サヤ」と呼んでいます。


「サヤ」を使うのは、炎から守り、焼成時に窯の天井から降ってくる灰などがかからないようにするという以外にも、サヤを積み上げて、効率良く一度にたくさんのタイルを焼き上げる、という理由もあります。


こんな風にたくさん重ねて積み上げて、順に台車に載せられていきます。
例えば1つのサヤに10枚のタイルがのっていて、それが26段積まれて、横5列、縦6列に並び、1つの台車にのせられているとすると、
10×26×5×6 =7800
台車1台で、おそよ8,000枚近くものタイルが一度に焼けることになります。
10枚のせられるのは、ちょっと小さめのタイル、モザイクタイルですね。少し大きなものだと、1つのサヤに1枚だけ、という場合ももちろんあります。
台車に積まれたたくさんのタイルは、ズラーっと並んで、焼成までしばし順番を待ちます。

順番を待ちつつ、焼成前の”乾燥”という工程に入っていきます。
十分に乾燥していない状態のまま焼いてしまうと、タイルの中に残った水分が急激に熱せられて、水蒸気爆発を起こしてしまい、タイルは粉々に砕け散ってしまうのです。
窯へ入る前に乾燥室に入れてしっかりと水分を飛ばします。
乾燥室、というよりは、乾燥炉と言った方がイメージしやすいでしょうか。60度~110、120度くらいまで温度を上げつつ水分を飛ばしていくそうです。
この乾燥室では、トンネル窯から出る排熱を再利用して使っています。

乾燥室に、約9時間 ―。
乾燥室を出たら、すぐ、隣のトンネル窯へ入っていきます。
入口には、酸素の量や温度管理用のメーターなどが並びます。
温度やエアー、台数など、細かくチェック、管理して調整します。
上の写真にある温度計が「1217℃」となっていますが、約70mもあるトンネル状の窯の真ん中あたり、「焼成帯」とよばれる最も高温のところになります。
乾燥室で120度くらい、トンネル窯の最初は低温の予熱帯でおよそ650度まで上げ、その後1200度以上の焼成帯へ。
トンネルの後半から出口までは、ゆっくりと冷ましていく流れです。
窯から出てきた焼きたてのタイルは、100度前後。タイルがのった台車に近づくと、少し温かかったです。
予熱 → 焼成 → 冷却で、およそ27時間程かけて、じっくりと焼き上げていきます。
長いトンネル窯の横を、入口から出口へと歩いてみました。
焼成帯には小さな小窓がいくつかあって、真っ赤な炎が見えていました。
焼成帯あたりはけっこう暖かかったです。この日の最高気温は18℃ほどでしたが、35℃以上ありました。(猛暑並み…冬は暖かくていいですけどね)
窯の中の様子は、こちらのブログもどうぞ
→ 「普段は入れない、窯の中へ」
冒頭で紹介したタイルの入れ物「サヤ」ですが、とても熱に強い素材で作られています。
タイルの素地は、焼成帯に入るころ、1150度くらいのところまでくると、実はやわらかくなっているそうです。(お餅を焼いて膨れる前くらいの柔らかさだとか…)
でもサヤは1250度でも大丈夫!(1650度くらいでやっと溶ける)
強いサヤがタイルをしっかりと支えているのですね。
何十年も使っている年季の入った窯、磁器を焼くと、窯の天井などに鉄粉などが付着。真っ白な綺麗なタイルに、ちょっとでもそれが降ってきて付いてしまったら、もうアウト。商品になりません。
なので、ものによっては一番上のサヤにはタイルをのせません。黒いタイルや、もともと鉄を含んだものなんかは大丈夫なのですが…。
タイルは焼成後に取り出され、サヤは繰り返し使用されます。
いくら熱に強いとは言え、何度も使ううちに割れてしまったりもします…。先日は新しいサヤをたくさん購入していました。

サヤはタイルを、熱から守る!天井から降る不純物から守る!
タイルにはなくてはならない大切な相棒です。
ここ最近は、この4月に発刊した新カタログに掲載している新商品が続々と窯から出てきて、工場内のいろいろなところで見ることができました。
ちょうどこの日は「雫」という新商品の3番のカラー(SIZ-3)が焼き上がっていました。何色?と聞かれても、ちょっと答えにくいのですが…、味わい深い、渋めの緑系のタイルです。
全体に筋模様が入っているのですが、1本大きな筋が入ったタイルがランダムに入っているユニット仕様になっています。
「雫」の金型 焼成前の「雫」
こちらは焼成前の「雫」。施釉後、台車に積まれ焼成待ちで並んでいたのですが、白っぽいですね。これが焼かれると、あんな渋い色になるとは…。不思議です。
タイル焼成時、焼く前の乾燥具合、炎の温度や酸素の量、 焼く時間、 台車の積まれる位置など、いろいろなことが影響して、色の差や寸法誤差が出たりします。
機械で制御しているのですが、結局それを細かく調整し動かすのは、職人の “感”。長年の経験とそこから得たデータで、仕上がりを見据えて決定します。
焼く、という工程はとても難しく、繊細な作業です。
何回も繰り返し生産しているタイルでも予想通りのものを仕上げるのが難しいのに、新商品はなおさらです。
試作を何度も繰り返し、 新しい商品がうまれます。
「雫」は、細かな筋と、大きく入った筋、それぞれで見せる色の変化が面白いタイルです。
また、大きな筋が入る位置も中央だったり少し端に寄ってたりと、壁面に動きが出るのもポイントです!
気になった方は、ぜひサンプルで実際の色や質感をお確かめください。
他にも…
ぜひ新商品チェックしてみてくださいね。
▼2024年版 最新カタログのご請求はコチラ
https://tile-park.com/product/catalog
▼便利なWEBカタログも是非ご利用ください
https://tile-park.com/html/template/default/assets/web_book/tilepark_catalog_2024/index.html
次回は、焼き上がりをチェックする「選別・検品」。
一度にたくさん焼き上がるタイル。どんな風に検査しているのでしょう。
▼ 過去のブログはこちらから
第1回「原料編」
https://tile-park.com/blog/detail/26799
第2回「成形編」
https://tile-park.com/blog/detail/27124
第3回「施釉編」
https://tile-park.com/blog/detail/27860
この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。
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