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タイルづくりの現場から 「土練機」でつくる湿式タイル

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながらご紹介しています。
今回工場でみてきたのは、「土練機」を使ってつくる湿式製法タイルの成形作業。
土練機=どれんき、と読みますが文字通り土を練る機械。空気を抜きながら土を練り、板状に粘土を押し出してタイルの形にする機械です。

土練機

私たちの工場でつくるタイルのほとんどは「乾式製法」なのですが、もうひとつ、この真空土練機を使った「湿式製法」のものがあります。

▼ 乾式製法での成形の様子は、こちらの第2回「成形編」をどうぞ
https://tile-park.com/blog/detail/27124

乾式製法は、水分を飛ばしてサラサラの顆粒状の原料を、プレス機でギュッと押し固める製法です。焼成後の寸法精度も高く品質も安定しており、比較的低コストで大量生産が可能となります。

一方の湿式製法は、水分を含んだ「粘土」の状態から成形をおこないます。基本的にはこの土練機を使いますが、手で粘土を捏ねたり切り出したりといった成形方法も湿式製法になります。

上の写真は、土練機からでた粘土の板を、正寸にカットする前に粗く切り分けたもの。これぞ粘土!という感じですね。

土練機では、成形するのにちょうどいい硬さになるまで、水を少しずつ加えながら練り合わせ、粘土の水分量を調整していきます。この時空気が混ざらないように真空状態で練り合わせ、練った粘土から空気をしっかり抜いて、板状に粘土を押し出します。

今回作っているのは100角タイル。
焼き上がりは97mmを目指し、素地は109.5mmにカットします。
湿式製法のタイルは含水率が高いので、焼成による収縮率が乾式製法のものより大きくなります。

土練機から出た粘土を、まずはざっと切り分けます。

粘土の切り分け

だいたいの大きさに切り分けたら、手動のタタラ成形機で整えていきます。

ならした後の粘土

2本の回転するローラーの間に、必要な厚みよりも厚い粘土を通し、表面をならしつつ厚みも均一にしていきます。

四隅をカット

この後、109.5mmの型紙を使って、四隅を切り落とします。
何枚も何枚も、手作業なので大変です。

成形完了

画像ではわかりにくいのですが、少し布目のついた素地ができました。さきほどの手動でくるくると回して使っていた、タタラ成形機でタイルに被せていた布の跡です。

この湿式タイル、まだまだこの後に表面加工の工程が続きます…。一枚一枚、非常に手間のかかるタイルです。
担当のスタッフが協力し、 試行錯誤しながらがんばっています。

わたしたちの工場をはじめ、数多くのタイルメーカーが集まるこの地域。ですが、かつてたくさんあった湿式タイルを生産する工場は減少。
そんな状況の中、この土練機、 実は今年に入ってから新たに入れた設備なのです。

粘土を成形して、焼き固める。
昔からあるシンプルな製造方法である湿式製法には、土の持つ魅力がいっぱい。
大量生産ラインでは生み出せない「人の手の温もり」と「素材そのものの美しさ」を表現することができます。

今では、3メートルも超えるようなとても大きな、しかも薄い、そんなタイルがどんどん増えています。ダイナミックで美しい見た目、それに加え耐久性やメンテナンス性にも優れ、ホテルや、商業施設、オフィスビルなど、需要も多い。

確かにかっこいい。でも…

こんな時代の風潮の中ではありますが、 一枚一枚に味のある風合い豊かなタイルが、もっと身近にあるような、そんな空間が求められてもいいのでは、と感じます。
実際にタイルが焼き上がってくる現場を見ていただけると、その魅力を見出すきっかけがたくさんあるかと思います。


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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ダンボ

ダンボ
240×60サイズの湿式製法のタイル。
白とグレーの2色。 濃淡をつけたミックスになっています。
その色幅がなんともかわいい!

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古くて新しい 焼き物、タイルのまち

良質な原料、陶土に恵まれ、古くから「美濃焼」の産地として栄えてきたこの地域、岐阜県の東濃地方。
なかでも多治見市は、モザイクタイル発祥の地と言われ、モザイクタイルミュージアムをはじめ、岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO、美濃焼ミュージアムなど、焼き物に関する施設やギャラリー等がたくさんあります。

多治見の街なかを歩いていると、昔ながらの喫茶店や飲食店、美容院や雑貨店なんかのお店はもちろん、普通のお宅の外壁にもかわいいタイルや、かっこよくて渋い、ステキなタイルが目に入ってきます。

床屋の青い外壁タイル
2種類の緑のタイル

休日の朝にぷらっと散歩していたのですが、個人のお宅を勝手に撮影するのもあれなので…ビルや店舗のタイルを中心にご紹介します。

多治見駅すぐ南側にある「ながせ商店街」。
このながせ通りにある、商店街の新しい顔が「ヒラクビル」さん。

ヒラクビルの外壁タイル

昔は時計や宝石・メガネを扱うお店だったそう。レトロでいい雰囲気の外観。
リノベーションされ、本屋さんやカフェが入って、シェアオフィスやレンタルスペースなんかも。
建物の中、これがまたタイル好きにはたまらない仕様になっています。まだ営業時間前だったので、残念ながら中の様子は詳しくご紹介できませんが、「ひらく本屋」「喫茶わに」で調べてみてください。素敵なタイルがいっぱいでてきますよ。

画像引用元:@hiraku_bldg ヒラクビル

確か、本を喫茶スペースに持ち込みOK。タイルいっぱいの空間で、ゆったりとお茶を飲みながら読書。すてきなときが過ごせそう。

ヒラクビルのタイルシンク

ビルの片隅には、可愛らしいタイルシンクが!赤い金魚タイルを一目見て、これは…と。あとで調べてみると、やはり「作善堂」さんのタイルシンクでした。
写真のようなカラフルでポップな色使いのタイルシンクをよくみかけますが、シンプルなものもあります。ときどき、作善堂さんのタイルシンクを見つけると、タイルパークのタイルどこかに使われていないかな? と、思わず探してしまいます。

突如あらわれた、タイル張りの可愛らしい三角屋根の小屋。

タイル張りの三角小屋

小屋の中には本が少し置いてあり、「まちなかほんだな」とあります。

三角小屋「まちなかほんだな」

ここにある本は自由に持ち帰っていいそう。
読まなくなったけど、誰かに呼んで欲しい、そんな本を次の人へつなぐ、すてきな場所でした。

三角小屋のタイルアップ

様々な黄緑色、幅も2種類ミックス貼りされています。置かれていた植物と屋外の空間に、よく馴染んでいました。
写真を撮り忘れてしまったのですが、床の正方形のタイルもいい色でした。ちょっと黄色や茶色が混ざった芝生みたいな色合いの、色幅の大きなタイルが張ってありました。

通りを1本入るとレトロな小さなビル。

レトロなビルのタイル

1階は美容院。自宅兼、店舗でしょうか。
よーく見るとこのタイル、なんと虹色に光っているではないですか!

レトロなビルのタイルアップ

遠くからなんとなく見ただけだと、オフホワイトかグレーのような感じだったので、よく気にして見てないと、うっかり通り過ぎてしまうところでした。
手前ではなく、奥の柱の部分を見てもらうと、紫、ピンク、黄色、オレンジ、緑、水色…、いろんな色が入っているのがよくわかるかと。

私の実家(お隣の愛知県)も美容院なのですが、うちの外壁は45角のプレーンな白のマットなタイル…。
ここはさすが焼き物のまち、使うタイルがひと味違います。こだわりを感じますね。

一方でこちらは床屋さん。

床屋の青いタイル

青。
なかなか見ない、濃く、強い青。
藍色、縹色(はなだいろ)? なかなか見ない男前な青色が目を引きました。
面状は、ラフな面状の2種類ミックスですね。


ちょっと休憩 ―。

おりべかっぱ広場

商店街の中に突如あらわれた大きな「かっぱ」。。。
「おりべかっぱ広場」とあります。多治見市に伝わる河童伝説にちなんで、かっぱの像がお出迎えしてくれます。

おりべは、美濃焼の一つ「織部焼」の「おりべ」。
織部焼といえば、この特徴ある深い緑色。その織部色したかっぱの焼き物でした。さきほどの三角小屋のタイルも、織部の緑っぽいタイルがありましたね。

ながせ商店街の中でシンボル的な存在、Y字路に建つこの建物。

モザイクの陶壁
モザイクの陶壁アップ

カラフル!
こんな陶壁も、モザイクタイル発祥の地、多治見ならではですね。

カラフルといえば、こんな虹もありました。

モザイクタイルの虹
モザイクタイルの虹アップ

モザイクタイルでてきた、とても可愛らしい虹。
さっきの壁と違って、近寄って見ることができるので、ぜひ見つけて間近で見て欲しいです。1枚1枚に、いろんな釉薬の表現が見えて、面白いです。

古いけどなんか新しくて、新しいけどなんだか懐かしい、そんなタイルが溢れる街中。古くからある建物も、新しい大きなビルにも、いろいろな顔をしたタイルが見られます。
商店街をでて、ちょっと街中から離れたところを車で走っていても、 いろいろな タイルが目に入ってきますよ。

地域のゴミステーションまでもが、タイルアート!

ゴミステーション
ゴミステーションごとに、テーマのあるタイルアートで装飾

地元愛・タイル愛の溢れるボランティア団体の方が、地元タイルメーカーから無償で提供されたタイル(廃番品など)で、殺風景なゴミ置き場を美しく装飾されています。


「土と炎」の看板

帰り道…、いつも気になる大きな看板?
多治見市街地から少し北の方を望むと、山の上に、「土と炎」の巨大な赤い文字。(ちょっと写真がわかりにくいですが…)
岐阜県県東濃西部総合庁舎の外壁で、「国際陶磁器フェスティバル美濃」のPRのために描かれたものだそう。
「土と炎の国際交流」をイメージし、「炎」の字は縦約6メートル、横7.7メートルの大きさもあるそうです(参考:朝日新聞デジタル)。

今年もこの季節がきました。
国際陶磁器フェスティバル美濃’24

国際陶磁器フェスティバル美濃

日本を代表する陶産地である岐阜県多治見市・瑞浪市・土岐市・可児市を舞台に、1986年から3年に1度開催している世界最大級の陶磁器の祭典。
メインイベントの「国際陶磁器展美濃」は、世界中の国と地域の作品が一堂に会す展覧会です。
美濃焼の歴史や魅力、地域の風土を存分に感じ、楽しむことができる、4市の陶磁器産業・地域・文化に密着した事業も多数開催!

【開催期間】
2024年 10月18日(金)~ 11月17日(日
【メイン会場】
セラミックパークMINO 展示ホール(岐阜県多治見市)


今週末開催!こちらもぜひ
たじみ陶器まつり

たじみ陶器まつり

” たじみ陶器まつり” は、多治見市内で年二回開催されるやきもののお祭りです。先人達に感謝を込め、出店者と来場者のみなさん、地域のみなさんが一緒になって盛り上げるお祭りです。

第81回 たじみ陶器まつり 秋
【開催期間】
2024年 10月13日(日)・14日(月・祝)
【メイン会場】
多治見美濃焼卸センター(岐阜県多治見市)

「春」は本町オリベストリート、「秋」は多治見美濃焼卸センターと、秋季開催の会場は少し街中から離れた陶磁器商社が集まる場所。
「本町オリベストリート」は、多治見駅から徒歩10分ほどの、レトロな町並みでおしゃれな焼き物のお店がいっぱいのスポット。
まちなかでアートを味わう「まちなか美術館」が、12~14日に同時開催されます。

先にご紹介した「ながせ商店街」と一緒に、多治見、焼き物の街めぐりを、ぜひ。


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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湿式タイル「北野」

北野(きたの)
焼き物らしい味わいのボーダータイル 。RCY-02あたりは、ブログ前半でご紹介した「三角小屋」にあったタイルのような雰囲気、ちょっと渋みのある黄緑色。
緑が3色ありますが、どれもオススメです!

→「北野」を見る

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タイルづくりの現場から 【続】倉庫と作業場

前回は、倉庫のお話と、その中で行っている展示会用パネルの準備の様子をちょっとだけお見せしましたが、その続きを少し― 。

毎年9月に開催される、イタリアでのタイルの国際見本市「CERSAIE」(チェルサイエ)。展示するパネルの撮影を、つい先日、倉庫で行いました。
今年は9月23~27日に開催されるチェルサイエ。2014年から毎年参加し、10年連続での参加となります。(コロナ禍の2020年を除く)
日本から出展する企業は、私たちただ1社のみなのです。(「TN CORPORATION」で出ています)


パネルを使ったイメージ撮影

展示物を送る船の関係で、例年は6月頃に行っている撮影ですが、今年は戦争の影響などもあり、いつもの船は使わず時期がずれた為、真夏の撮影となりました。
なんと、新倉庫は一部しかエアコンが設置されておらず、汗だくの撮影に…

まだ展示会前なので、全部はお見せできませんが、ちょこっとだけ撮影風景をご紹介。
いつもお世話になっている、村山写真事務所さん(https://muraya.ma/)に撮影していただきます。

昨年に引き続き、今年も背の高いパネルが何枚も。
床での使用イメージのタイルや、立てて撮ることが難しかったりする大きなパネルなどは、寝かせた状態で撮影したりすることも…。

俯瞰で撮影
新倉庫での撮影の1コマ

上の写真は昨年おこなった撮影の様子ですが、タイルのいろいろな組み合わせを提案するために作成した背の高いパネルは、こんな風に高い位置から撮っていただきました。

一方、正面からの写真ではわかりにくいディテール部分は、手持ちで撮影。

手持ちで撮影
断片タイルのアップ

こちらはまだアタリ画像(仕上げ前の仮で使う画像)ですが…。
前回のブログでも少しご紹介しましたが、「断片」タイルの新形状との組合せ。大きな凹凸のあるタイル。美しいツヤや、凸部分がみせる豊かな表情を捉えます。

プールタイルに向日葵を

事前に、このパネルをこんなシーンのイメージで撮影したいという旨をお伝えし、村山さんがそのパネルに合うお花・植物や、食器やクロス、インテリア小物などを用意、素敵にスタイリングしてくださいます。
村山さんの事務所やご自宅には、さまざまな小物があるようで。
シンプル、 かわいい、 かっこいい、渋い…、どれも愛らしさのある、ステキなものが登場します。
今回は撮影までの準備期間がほとんどなく、社内でも用意。写真のひまわりの花は、撮影の当日の朝、会長のお庭からやってきました。

お花の向きを調整

ちゃんとしたスタジオでなくても、村山さんの手にかかれば、どれもが魅力ある1枚に。すごく空気感を演出してくれる写真に、いつも、おーー!かっこいい!と、なるのですが、タイルの色が、現物からちょっと離れてしまうと、そのままカタログには載せられないのが、難しいところ…。

複数の色が掛け合わさってできているような商品も多く、光の当たり方でいろんな違った風に見えるのですが、全ての写真を載せることはできません。フラットな状態で撮った正面の単品写真と、タイルの色はできる限り近づけつつ、質感も伝わる、それでいて雰囲気もある…。
そんな私たちからの無理難題を、フォトグラファーの奥さまと、レタッチャーの旦那さまのご夫婦ユニットで、いつも素敵な一枚に仕上げていただいています。

断片パネル正面

展示会前にもう1枚だけ。(※こちらもまだアタリ画像)
大きな凹凸があるものと、細かなスジ模様が入ったものがあります。このパネルのようにアクセントで使うもよし、全面でももちろんOK。

断片新形状(カラー:1)
別カラー(カラー品番 1:グレー)

個人的には、大きな山と谷がある方が、好み。触った感じも、細かなスジと違って、ツルツルっとしてるのがいいです。


タイルのアレンジとパネル作成

パネル貼りの様子も少しご紹介。
これは今年のカタログに掲載した写真の、パネル作成時の様子。

こちらは、一旦、仮で並べただけの状態。
今年のカタログの大きなテーマの一つとして、「タイルの組み合わせ」というのがあったので、新商品のパネルだけではなく、既存の商品も使って、組み合わせて貼る魅力を伝えるためのパネルをたくさん準備しました。

企画の段階では、パソコン上でだいたいのレイアウトを考えて指示書を用意しておくのですが、いざ実際にタイルを仮並べしてみると、ちょっとアレンジが必要になったりします。
配置アレンジは会長が自らやっており、長年の経験と勘で、臨機応変に、そして柔軟に変えていきます。いつの間にか、企画時とタイルが変更になっていたりすることもありますが…、結果的にはかっこいいものが出来上がってきます。

「組絵」鱗片セレクト
「ぺルラ-禅」と「フィン」

撮影して、仕上げていただいた写真がこちら。
上は「組絵」の鱗片セレクト(ri1-U-BWri1-U-BG
下は「ぺルラ-禅」(ZE-2)と「フィン」(Fin-Moonlit-Pearl

ガラスタイルと組み合わせて作ったこのパネル、「高級ブランド店にあるような内装」をイメージして出来上がった一枚です。

パネルのアップ

企画時は、少しだけ青みのあるグレーのタイルと合わせる予定でしたが、もっと白い、でも単純な白ではないタイルに変更になりました。釉薬の結晶による色むらが、光の加減で少しだけキラッとして見えたりします。
高級感があり、凛とした美しさを感じる、そんな壁面イメージになりました。


今年はいつもより多めにパネルを作成することにしたので、タイルを貼って ~ 目地入れまでの作業を専門の業者さんにお願いしました。

下地の板に接着剤をのせ、もしくはコテ板に接着剤を適量とり、写真のようなクシ目ゴテを使って塗っていきます。厚く塗り過ぎないよう、クシ目を立てて均一に塗り広げていきます。

接着剤を塗る

動画を見ていると、スイースイーっと、とても簡単そうに見えますが、そこはやはりプロの技。まるで枯山水の模様みたいにきれいな弧を描き、接着剤がまんべんなく塗られました。
クシ目をつけることで、凸凹になった部分から空気や水分を逃がして、接着材がよくタイルになじんで、キレイな仕上がりに繋がるのだとか。

DIYのときなんかには、こんな本格的なコテでなくても、クシ目がついた樹脂製のヘラ(200~300円程)がありますので、ホームセンターなんかで探してみてください。
ポイントは、ベターっとならないように、立てて塗る、です。いろいろ調べてみると、45~60度の角度が、ベストみたいです。

早くて丁寧。さずがにプロ。あっという間に貼られていきました。
いつもは社内スタッフ自らが、パネル貼り作業をやっていたのですが、やはり数が多いときはプロにお願いした方がいいな、という結論に…。

タイルを接着後、1日置いて乾かし、目地入れ、仕上げ拭きをして完成。
村山さんに撮っていただいて、最終的な仕上がりが…

撮ったままのアタリ画像
撮ったままのアタリ画像からの…
実画像
実画像

こうなります!(2024年の新商品の中で一番好きな一枚…タイルは「大河」)

こんな感じで、ときにプロの力をお借りしつつ、タイルづくりの企画・デザイン、製作から、プロモーション、販売まで、全て、基本的に社内でやっています。

どんなタイルを、どんな風に使って、どんなイメージで撮影し、どんな販促物つくり、どう展示して、どう伝えていくか。
そのタイルの持つ魅力を最大限に引き出して、より多くのお客様に、知って、興味を持っていただけるよう、今日もスタッフは動いています。

― 9月、イタリア「チェルサイエ」で、お待ちしています。

———————————————
タイルの国際見本市「CERSAIE」
Bologna-Italy 23-27/09/2024

● TN CORPORATION
ブース番号:Hall 36 Stand C65
———————————————


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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大河 TIG-1R

大河(たいが)
文中で紹介した、グレーも渋くてかっこいいですが、ツヤを抑えた白もおすすめ。縦使いを想定したデザインですが、雰囲気に合わせてもちろん横でも!

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タイルづくりの現場から 【番外編】倉庫と作業場

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介してきました。
前回までで、工場内は一通りぐるっと回りきったので、今回は少し離れて、倉庫とその中で行っている展示会の準備など諸々…について、少しご紹介したいと思います。

タイルパーク倉庫
倉庫でパネル準備

タイルパークの本社・工場。会社のすぐ前には川が流れ、一見すると自然豊かな場所のように見えますが、実は意外と市街地の中にあります。(マックまで徒歩3分!)

昭和34年の創業時は、モザイクタイル発祥の地で「タイルの聖地」とも言われる、岐阜県の多治見市、笠原という所に本社を構えていたのですが、平成元年に本拠地をこちら(お隣の可児市)に移転してきました。
そのため、大きな倉庫は、元々本社のあった場所や、他の場所にいくつかに分かれて点在しています。
ここ数年で、海外への輸出がかなり増えました。大きな単位で在庫が動くことも多いので、それなりの保管場所が必要です。

倉庫への道の開通式

昨年、本社のすぐ隣に新しく倉庫を構えました!
上の写真は、本社から100m先の倉庫への道の開通式の様子。第一便のトラックが出発しました。

新倉庫の外観

なんだか派手な外観。この空き物件、元々はゲームセンターが入っていた建物。

空っぽの倉庫

タイルを搬入する前の倉庫内。広々。壁に “Do it when you can.” とあります。うん、間違いないです(笑)

1つ上の写真が内装工事中の様子のビフォー、こちらが搬入後のアフター。ずらっと並び、積まれたタイル、タイル、タイル…。
こちらの倉庫には、「ぺルラ」シリーズをはじめとする、アメリカのお客様と共同開発している自社製品を主に置いています。

英語表記のケース

デザインはアメリカ ”Designed in California” の文字が箱に記されており、作っているのは私たちの工場なので、”made in Japan” のタイルです。カタログにも「made by TN」と表記して掲載しています。海外のお客様向けにつくっている製品なので、商品名、形状や色も海外販売用に英語品番で記載されています。

「ぺルラ」の6色

「ぺルラ」は6色展開なのですが、色名が、「Kumamoto」「Kushi」「Moonstone」「Pacific」「Olympia」「CapePearl」。2種類の白の色名が、”熊本”と”櫛”。なぜ白が熊本なのか、真相は不明です。。。

この倉庫は、タイルパークの国内部門と海外部門の共通倉庫。海外へ出荷する製品は、一旦別の輸出専門倉庫へ移動し、そこから港へと運ばれます。船でアジア地域を中心に、世界各地へと運ばれていきます。

今日も倉庫では、フォークリフトが小回りを利かせ通路を通り抜け、安全第一で走っています。

フォークリフト

勤続何十年のベテランスタッフさんが、バック走行でスイスイと運んでいました。
私は車のバック駐車でも、焦るとどっちにハンドルきってるのかわからなくなってしまうので、とてもできそうにありません…。

フォークリフトは、荷物を積んだ状態で前に走行すると、載せた荷物が視界の邪魔に。 その点、バック走行なら視界をさえぎられることがないため、よりスムーズに運転できるようになります。
しかも、出入口の段差部分で少し下り坂があるので、前進だと、前のツメの部分(フォーク)がぶつかってしまいます。ガタンっとなって商品が破損してしまったら大変です。
何気なく見ていても気付きませんが、話を聞けば、いろんな配慮がされていることがわかります。

倉庫内

倉庫内の様子をちょっとだけご紹介。
今、毎年9月に出展しているイタリアでのタイルの見本市「CERSAIE」(チェルサイエ)に向けて準備中で、少々散らかっております…。

散らかる倉庫入口付近

入口には、チェルサイエに送る用の、出展パネルなどを入れる木箱が。今年もこれに詰め込んで、船で現地に送ります。

余談…入口にあった英文、訳してみました!(笑)

Don’t just sit there and waste your precious time, welcome to the next level! Do it when you can. It’s the only way to live a life.
〈翻訳〉
「 ただ座っているだけで、貴重な時間を無駄にしてはいけない!やれるときにやる。それが人生を生きる唯一の方法なのだから。」
(※DeepLにて翻訳 https://www.deepl.com/ja/translator)

ちょっと気になってネットで調べてみると、ゲーム「ソニッ〇」で使われていたキャッチコピーか何かのようでした。(そういえば、元々はセガワールドさんが入っていた建物でした)

やれるときにやる!
今まさに倉庫の奥では、チェルサイエ向けの展示パネルをどう仕上げていこうかと、作業の真っただ中。

まだ、真っ白な枠だけのものもあります…。
右の写真、ちょっと違うTILEPARKのロゴが写っていますが、これは海外向けに新しく作成したロゴです。しっかりとした安定感と親近感のある既存のタイルパークのロゴと違って、やや細めの書体で、ちょっと上品な感じがします。

作成途中のパネル

こちらは「断片」タイルの新形状との組合せ。
今年の6月にドバイで開かれた「INDEX DUBAI 2024」、全国タイル工業組合のメンバーとして参加。

写真右の方にタイルパークのタイルが展示してあります。
その中のパネルの1つで、この「断片」の新形状を出していましたが、今準備しているパネルは5、6倍大きなものです。ランダムなアクセントではなく、部分的に並べてみました。

断片の新形状試作品

遠くから見ると、ボーダータイルのようにも見えますが、凹凸の大きなタイルで、凸部分の釉薬の薄いところと、釉薬の溜まる凹んだ部分で、色の差が大きく出ていて面白いです。

展示はイタリアですが、そこでの評価で、それ以降どう展開させるか、来年の新商品に加わるかなどが決まっていきます。

昨年に比べ、だいぶ時間が迫っている感がありますが、やるしかないですね。
私は印刷物の制作担当なので、タイルや展示パネルはつくれません。出来上がったものを見て、リーフレットなどの制作物を考えます。
単品タイルの撮影などをしつつ、しばし出来上がりを待ちます。

どんなパネルが出来上がってくるのか、今年も楽しみです。


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
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断片5色とレリーフ

断片(だんぺん)
日常のモチーフを切り取った、物語性のある内装用装飾タイル。 パスタを使用してつくったやわらかな表情が魅力。全5色の繊細なカラーにも注目。
下の動画で、タイルの細部をチェック!

→「断片」を見る


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タイルづくりの現場から サンプル出荷編

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第7回目は、タイルのサンプル出荷の様子をお伝えします。

サンプル棚で作業

これまで、タイルが出来上がるまでを順を追って紹介してきましたが…
タイルは焼き物。
その一つ一つの細かな特徴は、実際に手に取って見て、触ってみないことには、なかなかわからないものです。

左(上)から
プランク…ラスターの具合、いろんな角度で見え方を確認
コーン…カラーで異なる釉薬表現、段差での色の変化もチェック
スーベニア…カーブがついた面状でフチで変わる色、側面も確認
遊彩…ウェーブ面の凹凸具合、模様の見え方を違う角度からも

タイルパークではタイルのサンプルを、送料も含め、無料でご提供しています。
実物をみて、しっかりと確認してから購入していただくことで、発注ミスなどのトラブルを未然に防ぎ、安心して施工していただきたい、というのが、サンプルを「無料」にしている大きな理由の一つです。

すぐ届く!タイルサンプル

サンプル注文を受け付けると、原則、翌営業日までに発送するよう迅速に対応しています。
ご依頼いただくと、だいたい2・3日後くらいには、お手元に届くのかと思います。

サンプル出荷担当のスタッフの朝は、受注処理からはじまります。
前日、営業時間終了後に来た注文を捌いていきます。

PCで受注処理

休業日明けの日は、金曜夜~土・日の2.5日間分の注文がたまっているので、数も多くとても大変。大型連休明けなんかは、なおさらです。
受注リストを出力し、いざサンプル棚へ。

工場の片隅にあるサンプル棚。所狭しと並ぶ様々なタイル。
数百を超える商品群の中から、依頼の品を素早くピッキングしていきます。

素早いピッキング作業

サンプルが最もよく出る商品は、作業机のすぐ傍に置いてあります。
サブウェイ
サブウェイ SUW-150
時代を超えて愛される、スタンダードな白の「サブウェイタイル」

メトロ
メトロ HLPU36
こちらもスタンダード!絶妙なグレーがどんなスタイルにも◎

この2つは、ずっと人気の定番商品ですね。サブウェイは、ツヤのあるタイプですが、マットタイプの「サブウェイ-マット」(DMW-1501M)も、これらと並んでよく出ます。
メトロの中ではグレーが一番人気ですが、白(HLCO36)ブラウン(HLNA36)も同じぐらいよく出ています。サイズ違いで、大きな 402×100mm も合わせてよくご依頼いただく商品です。

ちなみに、4月のカタログ発刊と共に発売となった新商品も、よくご注文いただいております。

サンプル棚(新商品付近)

縄文
穏やかながら変化に富む釉薬の表情が特徴のモザイクタイル

模様入りの長方形と、立体的な縦長六角形の2種類がありますが、長方形の方がよく出ている感じです。どちらも、面状の凹凸で釉薬の表情が変わるので、そこがみどころ。
2番の色は、何色かと聞かれればライトグレーなのですが、なんとも表現しがたい色で…。やわらかい、やさしい、温かみのある色です。
4番の青は、写真ですと、かなり彩度が高い印象を受けますが、実物を見ると、またちょっと印象が変わります。照明によってもだいぶ変わってきますが…。

大河
雄大な大河を思わせる240×60mmの内装用ユニットタイル

特徴あるレリーフが魅力ですが、意外とフラットの方がサンプルが出ています。釉薬にもかなりこだわっているので、そこに注目される方が多いのかもしれません。これこそ、画像だけではなかなか伝わりにくいので、手に取って見ていただきたいところです。
焼き物らしさをすごく感じる(焼き物の知識がない私にも)、そんな仕上がりです。

ちょっと、新商品の話が長くなってしまいました。。。
ちょっとここでブレイク。
サンプルお取り寄せ人気ランキング発表!

サンプル人気ランキング

新商品が発売された4月から6月までの3か月間の、シリーズ別のサンプル出荷数を集計しました。
長年人気の自社製品エルサ」が堂々のダントツ1位!
続いて、昨年の新商品で、今年は3種の新形状が追加された「プラハ」が2位でした。床タイルの新商品「イン&アウト」シリーズもランクイン。

6月1ヶ月間の商品別ランキングでみると、シンプル、白、が根強い人気。2022年発売の、こぶりなボーダー「スーベニア」が2色ランクイン! 健闘しています。
どの商品も、基本の白や淡い色の方がサンプルがよく出る傾向にあります。


送り状を見ながらピックしたタイルを、作業机に集めて一旦確認。表面のタイルの顔をきれいに拭いてから、丁寧に梱包していきます。
手際よく、軽やかに、タイルが箱に詰められていく様子は、見てるだけで気持ちがいい!(モノが散らかっているのが嫌いな性格です…)

下の動画はサンプルを梱包する様子。このサンプルをご依頼されたお客様は、ボーダー系で、カラーは淡いグレーやベージュで落ち着きのある色と、深みのあるグリーンとブルー系。表面はフラットではなく緩やかな面状の変化のある、クラフト感あるタイルをお求めの方かと思われます。

サンプルの梱包の様子

あ、これ私の注文したやつ!と気付かれた方、いらっしゃいましたでしょうか。届いたタイルは、いかがでしたか?

さて、箱詰めを終えたら、送り状を出力。
仮で箱に小さくお客様のお名前をメモしてあるので、間違いないか確認、その上に送り状を貼り付けていきます。

この日は火曜日でしたが、けっこうな量のご注文数。
大きな物件なのか、何枚も依頼される方や、1枚だけの方、さまざまです。
ちなみに一般会員の方は、10点までは無料でお届けしています。

本日分のサンプル出荷分、山盛りいっぱい!完了です!
午後、運送会社さんに集荷にきていただき、皆様の元へと配達されます。


入社した当時は、無料でタイルを配ってしまうなんて、なんてもったいないことを…、と思っていましたが、会社でいろいろとタイルについて学んで知っていくうちに、サンプルを無料で提供する理由がわかってきました。

今は、多いときで一日に40~50件、1件につきタイル枚数は様々なので数量にするともっと多いのですが、毎日とてもたくさんのご依頼をいただいています。
タイルパークのタイルに興味を持っていただき、サンプルをご依頼いただくことはとてもありがたいことです。

さて、サンプルですが、こんな工夫があります。
サンプルタイルの裏側には、QRコードが付いています。このQRコードから商品詳細ページへ飛べるので、商品の在庫状況の確認や、注文まで、スムーズに出来てしまいます。

また、カタログには掲載しきれなかった写真や情報を、Web詳細ページから得られたり、最新情報も常に更新しているので、ぜひご活用いただければと思います。

あと、サンプルに関しての注意点もあります。

サンプルは、ものによって販売している状態とは異なる状態でお出しするものがあります。
床タイルのような大きなものはカットした一部を、モザイクタイルなどユニットシートになっている商品も、10cm程度にカットしたシートの一部をサンプルとしてお出ししています。

表紙張りユニット仕様のものは、タイルの表面に紙が貼ってあるそのままの状態では肝心のタイルが見えません。なので、タイルの裏に紙を貼り直したもの、もしくは、専用の台紙に貼り付けたものをサンプルとしてお出ししています。

表紙張りのユニット仕様が多いガラスモザイク。
さきほどの表面に釉薬がのっている焼き物タイルと違い、裏表が同じような見た目のものも…。

上の写真の「ジョー」の他、「アガット」など、製造工程の都合上、裏面の方がツルツルとした丸みを帯びた形状になっています。
これらも、サンプルでは「裏」に紙を貼り直して、「表」が見えるようにお出ししているのですが、購入された商品は表紙張りの仕様なので裏面がよく見えている状態。ここでツルツルとした裏面を見て、「……?」「この丸く角がとれた方が表なのでは?」となり、お問合せをいただくことがあります。

台紙に貼り直したガラスタイルサンプル
台紙に貼り直したガラスタイルサンプル

実際に、展示会用のパネル張りをプロの施工業者さんにお願いしたときにも、「あれ?これ、こっちが表じゃないの?」と聞かれたことも。

「表紙張りユニット」は…
商品:紙が貼ってある方が「表」
サンプル:表の紙を剥がし「裏」に台紙を貼ったもの

実際にサンプルを見て決定する方と、現場で施工される方とでは、別々の場合がほとんどかと。不安を感じたら、施工前にお問合せいただき、確認していただければ思います。

その他、サンプルに関するご注意をまとめたチラシも、同封してお届けしています。

▼ チラシはこちらからもご覧いただけます。
サンプルに関するご注意(PDFが開きます)

▼ サービス内容について詳しくはこちらもご覧ください。
サンプルについて


タイルを検討する際に、最も重要な参考資料となるサンプル。
素早く確実にピッキングし、丁寧に包み、できる限り早くお客様のもとへ届けられるよう、担当のスタッフさんは毎日忙しく動いています。お打合せまでの時間が少ないお客様もいるため、作業の正確さとスピーディーさが求められます。
タイルの知識はもちろん、それぞれのサンプルの配置場所の把握、サンプルの欠品がないように事前の手配・準備も。
たくさんのサンプルを1つの箱に詰めると結構な重量で、ときには力のいる仕事でもあります。

さて、今日は金曜。
休み明けの出荷作業がスムーズにいくよう、先ほどきたばかりの注文も今のうちにできるものは梱包、月曜にすぐ出荷できるよう準備を進めます 。


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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遊彩

遊彩(ゆうさい)
4~6月度のシリーズ別ランキングでは惜しくも11位! クラフト感があるラフな面状。鮮やかな濃いグリーンの6番色(B、濃い方の緑)が人気。
緑以外は、トップでご紹介した波々模様(4つのサンプルの一番最後)のウェーブ面もあります。

→「遊彩」を見る

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よくある質問
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「陰翳」施工例

黒、にこだわったハンドメイドタイルが魅せた
日本らしい「美」(「陰翳」施工例紹介)

陰翳 鱗
鱗アップ

高級ホテルを思わせるかのような雰囲気の、この一角。
実はここ、オフィスビルのエレベーターホール。

鱗 正面

一枚一枚を手作業で作り上げる特注タイル「陰翳」(いんえい)。
格子(こうし)、石畳(いしだたみ)、(うろこ)、矢羽根(やばね)の、4つの形状があります。

どれも日本の伝統的な模様ですが、先にご覧いただいた写真は、三角形を交互に並べて連続させた文様の「鱗」。
古くから三角形には魔除けの力があるとされ、「鱗を落として脱皮する」という意味で、厄落としや厄除けに使用されたとか。また蛇は脱皮を繰り返して成長することから、「再生」の意もあるそう。

金が厚い「鱗」のピース 

鱗は、金(KOGANE)の方に厚みをもたせて作っており、高低差で影が強く現れ、よりはっきりと模様が際立ち、金釉が印象強く目に飛び込んできます。

鱗 金が前に出る様子

築50年以上のビルのリノベーションで、各階のエレベーターホールにそれぞれ違う4種類の「陰翳」をご採用いただきました。どの文様がどんな雰囲気に仕上がるのかを、一同にご覧いただけます。


「格子」(こうし)

陰翳 格子

格子模様とは、縦縞と横縞が交差している模様のこと。
正方形や長方形を格子状に並べたデザインは、上下左右に途切れることなく続き、終わりのないイメージであることから、「永遠」や「繁栄」の意味を持つ縁起の良い柄と言われています。

格子は、さきほどの鱗とは逆で、長方形部分の黒(KESHIZUMI)の方を少し厚めに作っています。陰翳でこだわった「黒」、で組んだ格子。その文様を強く感じます。

黒が厚い「格子」のピース 

細かなパーツが垂直に組み合わさり、きちんと並んだ格子模様ですが、ひとつひとつ手作りのピースに趣が感じられ、味わい深い仕上がりになっています。


「石畳」(いしだたみ)

陰翳 石畳

色違いの正方形を交互に並べて構成される文様のことをいい、別名は市松(いちまつ)模様とも呼ばれる石畳。
陰翳では、正方形と長方形を組み合わせてアレンジ。
長方形を斜め45度に組み合わせたものを檜垣(ひがき)、別名で網代(あじろ)といい、代表的な幾何学模様のひとつで、床の間や和室の天井などによく使われているのですが、この文様の要素も感じます。
タイルパークでも、45度に回転し斜めにした模様の施工イメージを掲載していますが、この垂直に並んだパターンもいいですね。

トントントン、と、金の正方形タイルが、リズミカルに並びます。

「格子」と「石畳」はユニット仕様の「陰翳セレクト」もご用意。割付けや施工もしやすい仕様になっています。
例えば、
「住宅にアートパネルのように少しだけ使ってみたい 」― など。
特注となると少しハードルが高いな…、と感じられる場合でも、ご検討していただきやすいのではないでしょうか。

それとは逆に、かなり広い面積の案件でも、陰翳セレクトならCADデータとシームレス画像もご用意していますので、割付け、概算も可能です。

CADデータ提供サービスは >>> こちら


「矢羽根」(やばね)

陰翳 矢羽根

矢羽根は、矢の上部につける鳥の羽を表した文様。弓矢には魔除けの意味があるそうで、まっすぐ前へ進み「的を射る」矢は、古くから縁起物として用いられてきました。
着物の柄でよく見かける矢絣(やがすり)がありますが、それとは違う矢振り柄。大胆なギザギザ模様を描きます。こんな柄のニット、ありますよね。

陰翳タイルの他の3つのデザインと比べて、ちょっとモダンな感じがします。
平行四辺形を斜めに組み合わせていくので、施工の難易度はかなり高いのですが、きれいに仕上げてくださいました。

中央のボタンの部分がメタリックなので、どの形状もその中央部分に金色をもってこないよう、うまく工夫されています。

「陰翳」の魅力は、こだわりの鈍い発色の黒と、神社や寺院を思い起こさせる古色を帯びた金。この奥行きのある味わい深い2つの色と、一枚一枚粘土を板状にワイヤーカットしてできる特有の凹凸のある表面、そこからうまれる立体感と陰影。
通常の量産タイルにはない、手作りでしかできないシャープなエッジも見どころ。

訪れる機会がありましたら、ぜひいろんな時間帯で見ていただきたいと思います。


陰翳の中に日本の美を感じる陶壁
―「陰翳」


エレベーター待つ間も、贅沢な時間に演出してくれることでしょう。

参考:
日本の内装材料辞典「日本の文様 伝統文様」
https://naisouzairyou-annai.jp/pattern/tradition/index.html

販促クリエイト.jp「日本伝統文様「和柄」」
https://www.hansoku-create.jp/rp/wagara.html

nippon.com「日本の伝統文様」
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00478/


物件名:グラン姫路
設計:株式会社リオ・コンサルティング
施工:株式会社エムケイファイブ


陰翳WEBブック表紙

ハンドメイドによるオーダータイル「陰翳」
詳しくはこちらのWEBブックをご覧ください
>「陰翳」WEBブックを見る

施工例紹介ページでは、両脇に使われたタイル「ぺルラ-禅」の写真もご覧いただけます。
> 施工例紹介ページはこちら

タイルづくりの現場から

タイルづくりの現場 タイトル

タイルがどんな風に作られているのか
知っていますか?

タイルの原料

元は、こんな土のかたまりや、顆粒状のもの。

成形、施釉、焼成

さまざまな工程を経て、空間を豊かに彩るタイルができあがります。

「タイルパーク」を運営するわたしたち「TNコーポレーション」では、自社工場で日々たくさんのタイルをつくっています。

焼き上がったタイル

ツルツルとしたフラットなタイルも、立体的、ゴツゴツとした凹凸、窪みのあるタイルも、大胆なレリーフもあれば、見る角度でかすかに現れる模様のタイルも、表面の形状は実にさまざま。

真っ白のシンプルなタイルも、ビビットカラー、淡い色、ラスターがキラキラと輝くタイルも、はたまた、マットで落ち着きのある質感のタイルも、ぱっと見は大差ない材料からできているように見えても、 面状と釉薬の組み合わせで、焼き上がりは実に多様多彩に変化します。

原料となる土、カタチと面状、そして釉薬と施釉方法、最終的な焼き、炎。

全ての工程において、長年の経験とそこから得た知識をいかし細かく調整。最後に火の力を借りて、やっとタイルは焼き上がります。


わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら紹介。
一般的なタイル製造工程の説明とはちょっと違う、知らない方でも入りやすい内容にまとめています。

現場紹介イントロ

introduction
TN 自社工場と美濃焼の産地

タイトル 原料編

第1回 原料編
タイルの形になる前の原料にフォーカス

タイトル 成形編

第2回 成形編
タイルのカタチや表面の形状をつくる

タイトル 成形番外編

成形【番外編】
手作業で一枚一枚つくる「タタラ成形」

タイトル 施釉編

第3回 施釉編
釉薬の掛け合わせでできる、繊細な色表現

タイトル 施釉番外編

施釉【番外編】
タイルにフリーハンドで描く絵付け

タイトル 乾燥~焼成編

第4回 乾燥~焼成編
じっくりと時間をかけ進む、乾燥から焼成

タイトル 焼成番外編

焼成【番外編】
トンネル窯の中はいったいどんな風?

タイトル 品質検査編

第5回 品質検査編
目視による選別作業と、詳細な測定検査

タイトル 加工・梱包編

第6回 加工・梱包編
小さなタイルを並べてシートを作る

タイトル サンプル出荷編

第7回 サンプル出荷編
サンプルをいち早くお届け!無料の理由とは

タイトル 倉庫編

【番外編】 倉庫と作業場
新倉庫は派手な異空間!奥で行っているのは?

焼き上がるまでの過程を知ることで、
今よりもっと、タイルが好きになるかもしれません。

あまり興味がない方にも、
ほんの少しだけ、魅力が見えてくるかもしれません。


工場見学を希望される方は、お問い合わせフォーム(https://tile-park.com/contact)からご連絡ください。
※工場の生産の都合等により、ご希望に添えない場合もございます。予めご了承ください。

▼ 過去のオンライン工場見学の様子はこちら

タイルづくりの現場から 加工・梱包編

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第6回目は、最終段階の加工と、箱詰めされるまで。加工といっても、タイル自体の加工ではなく、小さなタイルを並べて「ユニット化」、モザイクタイルのユニットシートに加工する様子を覗いてきました。
(第5回「品質検査編」はこちら

タイルを並べる様子

何人ものスタッフの手が、せわしなく動く現場。
TNプロダクトの工場内を、ぐるっと回ってご紹介してきましたが、機械による生産ラインとは別棟のこちらでは、主に人の手でタイルの最終加工がおこなわれています。

人のいない加工ライン

作業前の現場はこんな感じ。小さなタイルを何枚も並べて、1枚のシートにしていきます。

並べる途中のタイル

スタッフがいない、休憩中の1コマ。
手前ではランダムにタイルが置いてありますが、奥へ進んだ先では、ぴっちりと並んでいます。

わざとバラバラに置いていくのは、色のバラツキがでないようにするため。
前回のブログ「品質検査編」で少しだけ触れましたが、その生産ロットの箱ごとで、色のバラツキを抑え、偏った色むらを防ぐための、「混ぜる」という作業です。
ここで並べているのは、どれも同じ真っ白なタイル、のようなのですが、タイルは”焼き物”…。生産する度に「全く同じ色」を再現することが難しいため 、プレーンな「白」いタイルでも、このような「混ぜる」作業が必要になってくるのですね。 (私にはどれも同じ白にみえました…)

並べられたタイルに、紙を貼って1枚のシート状にします。
上の動画は自動紙貼機。糊をタップリとつけた紙をタイルの表面におき、ローラーでコロコロとしながら押さえ、コンベアにのって次々と下の方へ送られていきました。
スタッフが一生懸命に並べている、その下を、温風を当てられながら進み、乾かされて再び上に出てきたらシートの完成。並べる作業をしているスタッフの少し前のところで、拾い上げられ箱詰めされます。


モザイクタイルのユニット加工には、2つのタイプがあります。
今紹介した「表紙張り」と、もうひとつは「裏ネット張り」のユニット。

・表紙張り(おもてかみばり)ユニット
タイルのおもて面に、水で剥がせる糊で紙をはり付けてユニット化。
紙はシートを施工面に張りつけてから剥がすため、接着剤硬化前にタイルの位置を微調整することもできます。
タイルを貼り付けたあと、水を含ませたスポンジ等で紙を湿らすと簡単に剥がれます。この剥がすときが、たまらない瞬間なのだとか…。(どんなふうになっているのか、紙に覆われて見えていなかった姿が、剥がしてやっとあらわれるので。おーっ!となる瞬間。醍醐味ですね)

・裏ネット張りユニット
タイルの裏面にネットを張り付けてユニット化したもの。
ネットごとそのまま張りつけるため、手順が少なく簡単に施工を行うことができます。初心者の方、DIYで施工される方は、タイルが見えた状態で張れるので、表紙張りよりやりやすいかもしれないですね。
海外ではネット張りのものが主流で、輸出もさかんなタイルパーク商品では、裏ネット張り商品が増えていますよ。

裏ネット張りユニット
バラのタイル

できあがったばかりのモザイクタイルは、上の写真のようにバラバラ。
タイル雑貨を作ったりする場合には、そのまま使えばいいのですが、とても広ーい壁や床に、小さなタイルを一枚ずつ張っていくというのは大変…というか、きれいに張るのはとても難しいし、時間のかかる作業ですよね。
という訳でモザイクタイルは、だいたい30cm程度のシート状にユニット化されています。

商業施設の施工例
「ニューヨーク-ミックス」(NY-MBS-1)商業施設の施工例

例えばこれ。 これを 一枚、一枚並べてやっていったら、相当な作業量…ですよね。ユニット化されているから、こんなおしゃれな床も、簡単に施工できてしまいます!
この「ニューヨーク-ミックス」(NY-MBS-1)という商品、表紙張りのユニットなんですが、こちらは手作業でシート化しています。

表紙張りユニット

色と形がわかれているので、こんな風に手作業でタイルを並べていきます。

貼り板とタイル

「貼り板」という、タイルを貼る位置があらかじめ枠で仕切られている道具を使います。ざざーっと適量タイルを散らして、枠に沿ってはめていき、並べ終わったらいろんな方向から確認。傷がついたりしたタイルがないかを、紙を貼ってしまう前に、ここでもう一度確認します。

紙に糊をつけて、並べたタイルの表面に貼ります。紙もユニットに合わせた形にしてあります。
スタッフさんは、慣れた様子でテキパキと進めていますが、私だったら紙をタイルの位置に合わすのだけで、おたおたしていましそう(苦手…)。
板をかぶせて、ひっくり返し、完成。最後にもう一度、ズレがないか確認していました。

ユニット化されたタイル

これは、完成したシートの裏側で、表面の紙は見えていないので、わかりにくいですが…
青いネットは、くっついてしまわないように敷いているものです。

貼り板いろいろ

モザイクタイルの種類分だけ、厳密には、モザイクタイルでなくても、ユニットにするものの分だけ、「貼り板」があります。四角、六角形、丸、扇、ひし形、波型…。珍しい複雑な組合せで、年季の入ったレトロな貼り板なんかは、ネットオークションに出品されてたりします。マニアにはたまらないのでしょうか?


裏ネット張りユニット

一方こちらは、手作業でのネットばりの様子。
写真のタイルは、現在タイルパークでは扱っていない、海外向けの商品なのですが…、複数の厚みの違うタイルをミックスした商品で、しかも目地埋めしない設定なので、ほぼ隙間もないシート。
これが結構手間がかかるようで…

厚みが何種かあるということで、「貼り板」も特殊。
まずはこの厚みのタイルはここ、次にこの厚みはこの位置へ、というように、パーツが分かれており、通常のものより作業も段階が多い。ただでさえ、小さくて並べるだけでも時間がかかるというのに。

そして、狭いがゆえに、枠にタイルがピチッとはまってしまって出てこない、という…。それを取り出して、手で戻す。なんとも手間のかかる商品でした。

しかしながら、厚みの違う、凹凸のあるタイルが美しい陰影を作り、ドラマチックな空間を演出するモザイクタイルです。ひと昔前のタイルパークの商品ですが、海外では今も人気の商品です。


今回、工場を見に行ったときには、タイルパークの商品以外の、海外向けの製品や、補修用のタイルが多く加工、梱包されていました。

色幅の大きな商品や、窯変(ようへん)を売りにしているもの、色に特長を持たせている商品が、たまたま生産予定になく、ユニット加工や、その後のチェック(タイル1枚1枚の品質チェックではなく、ユニットにした後のチェックですね)、梱包までの様子が見れませんでした。また別の機会に、番外編としてお伝えしようと思っています。
色幅のある商品を、どうユニット化しているのかが、気になります…。

私は仕事柄パソコン上で、タイルのシート画像を組み合わせて、室内イメージ画像に貼り付けて、簡単な合成画像を作ったりするのですが、どうも違和感が出てしまって難しいんですよね。かっこいい、色幅のあるタイルの壁面がうまく再現できないのです。
いったいどのような配合、配置をして、 ユニットにしているのでしょう。


▼ 過去のブログはこちらから

第1回「原料編」
https://tile-park.com/blog/detail/26799

第2回「成形編」
https://tile-park.com/blog/detail/27124

第3回「施釉編」
https://tile-park.com/blog/detail/27860

第4回「乾燥~焼成編」
https://tile-park.com/blog/detail/29731

第5回「品質検査編」
https://tile-park.com/blog/detail/30071


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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ニューヨーク-ミックス

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床に人気のモザイクタイル。レトロモダンなニューヨークスタイルを簡単に実現!もちろん壁にもOK
表紙張りのユニットです。

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よくある質問
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タイルづくりの現場から 品質検査編

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第5回目は、「品質検査」。焼き上がったタイルを目で見て選別するところから、詳細な測定検査まで。
品質管理ってとても細かくて大変そう。でも品質管理室を覗いてみると、出来上がったタイルを割っているではないですか!
これはいったい…。

工場配置図

タイルは焼成後、出荷へ向けて箱詰めされるわけですが、その前に大事な検査があります。

検査は、抜き取り方式。
そのときに製造している何千~何万枚ものタイル、一枚一枚を全部を細かく計測するのは不可能なので、そのなかの10枚をランダムに抜き取って検査します。
この10枚(※ちなみに平物。役物は5枚)、というのもJIS規格で決まっており、規格に沿って検査をしていきます。(3年に1回、定期的に審査も入るようです…)

ちょっと話が堅苦しくなりそうなので、難しい話は置いといて。。。
早速、どんなことをやっているのか、ちょっと管理室内の様子を見学させてもらいました。

タイルの検査(寸法)

まずは、寸法と形状。

主にカタログに記載しているのは、タイルの縦と横の寸法、それと厚さ。
でも測るところはそれだけじゃありません。

・ばち
・反り
・直角性
・裏あし
・役物の角度

検査の結果

タイルの大きさや形状によっても変わってきますが、十数か所以上も測らなければならないものもあります。

ばち」というのは、長方形のタイルなら相対する辺の寸法の差、正方形の場合は4辺の寸法の最大値と最小値の差のことをいいます。

タイルの「ばち」の図解

反り」はタイルの湾曲具合を調べます。「面反り」「辺反り」「側反り」とあるそう。

タイルの「反り」の図解

裏あし」は、タイル裏面の凸凹の部分。モルタルなどとの接着を強くするためもので、主に外壁タイルにもとめられ、接着剤貼りの内装用タイルにはあまり関係ないのですが、規格に沿って測ります。

タイルの裏足

とにかくいっぱい。
なので、デジタルノギスを使って測り、測定値をパソコンに送信。どんどんデータが自動で入力されていきます。両手を使って測るので、足元のスイッチをポンポンポンっと踏んで、リズムよく測っていきます。これは便利!早い!

決して広くはない、ちょっとしたスペースですが、タイルの様々な箇所を測定して調べています。
他にも、吸水率(Ⅰ類(磁器質)・Ⅱ類(せっ器質)・Ⅲ類(陶器質)…材質については、こちらのブログもご覧ください)の試験をする機器なんかもありましたが、面白かったのはこちらの小さな機器。いったい何を測るものでしょうか。

タイル検査機器

これ、測定後、タイルは無残にもこのようになります…

割れたタイルの断面
真っ二つに割れたタイル達…

そう、これはタイルの強さを測る機器です。割って確かめるんですね。
そんな検査を、こんな小さな機械でやっているとは、意外!

タイルの端を2本の支持棒で支え、中央に一定の荷重速度で荷重をかけ、タイルが破壊したときの最大荷重を測定。タイルの曲げ破壊荷重及び曲げ強度を求める、という検査でした。
初めて見た時には大きな音に、ちょっとびっくり(動画の音は、控えめにしてありあます…)。何回か試験を見ているうちに段々と慣れてきたものの、さきほどよりやや厚みのあるタイルにかわったら、音も大きく、またビクッとしてしまいました。

測るときは、そのタイルの割れやすい方向で調べるそうですよ。
例えば上の動画にあった、筋の入った「」というタイルは、筋が入ったの方向と平行に置いて検査していました。


管理室を出たすぐ前のところは、工場ラインの選別の工程。

管理室と選別ライン
管理室(写真左)の目の前が選別工程(右)
選別工程へ向かうタイル
焼き上がって選別工程へ向かうたくさんのタイル
選別ライン
選別工程では不良を取り除く

ここで行われるのは、目視でのチェック。
ラインに流れてくるタイルを、1mほどの高さから見て、汚れなどの不良を取り除きます。
そんなに離れてて、ちゃんと不良品がわかるの?と思いますよね。でも、タイルのチェックは、この距離感が大事。
タイルができあがって、ある程度の面積に何十~何百枚が張られた、施工後の状態を想定してチェックします。
施工されたタイルを、間近でジーっと凝視して見ることって、ほとんどないですよね?(一部のタイル好きの方や、この業界の方なら、そんなこともあるかもしれませんが…)

選別するところ

こんな距離感です。
不良はもちろんですが、基準色となる見本を置き(画像の上の方に掲げられた4枚)、それと比べて色むらが大きい、あるいは小さい、そういうところも見て、基準をズレていないか確認、偏りがでてしまわないよう気を付けます。

不良を取り除く

こんな感じで不良をピックアップ、OKのものと入れ替えます。

タイルの時系列ボード

基準色といいましたが、焼き上がったタイルを時系列でボードに並べ、そこでも色の具合をしっかりチェックしています。

箱に仮詰めされたタイル

選別工程のすぐ先で、こんなふうに一旦箱に仮詰めされるのですが、およそ20箱(20箱積むのが30分程度)に1回、ここからピックアップして、さきほどの時系列ボードに並べていき、色をチェックします。
コンベアに流れているのを見ていても、だんだん色が薄くなっているとか、さすがに気付くのは難しい。
ここに並べて比較することで、色の変化に気付くことができるのです。

その生産ロットの箱ごとで、色のバラツキを抑え、まとまるよう、この段階である程度調整する、選別は、そんな作業も担っています。

でも、これはあくまでも仮りの詰め作業。
出荷前の梱包時に、仮詰めした箱から取り出して、もう一度しっかり小さな汚れや傷、欠けなどをチェックしながら、どの箱も同じような”色合い”率になるよう混ぜて、詰め直していくのです。


その辺のお話は、また次回。
小さなモザイクタイルをユニットシートにする、加工のお話とともに、またご紹介します。


こちらのブログもぜひご覧ください。
▼「タイルの品質のはなし」
https://tile-park.com/blog/detail/26459


▼ 過去のブログはこちらから

第1回「原料編」
https://tile-park.com/blog/detail/26799

第2回「成形編」
https://tile-park.com/blog/detail/27124

第3回「施釉編」
https://tile-park.com/blog/detail/27860

第4回「乾燥~焼成編」
https://tile-park.com/blog/detail/29731


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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甚(じん)
ブログ記事内で選別していたタイルです!
鈍いツヤ感が大人の和モダン空間に最適。 繊細な釉薬の結晶が角度によって様々な表情をみせます。240×60mmのボーダーと、150角の2タイプ。

→「甚」を見る

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カットサービス
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タイルづくりの現場から 乾燥~焼成編

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第4回目は、「焼成」。いよいよクライマックス、焼き上げる工程です。タイルをつくる流れの中で、一番長く、じっくりと時間をかけ、乾燥から焼成へと進んでいきます。

(第3回「施釉編」はこちら

工程順と工場配置図

成形し施釉されたタイルは、焼成する前に、「サヤ」という入れ物にのせられます。
陶磁器を焼くときに、素地を炎、その他諸々から保護し、影響を受けないようにするために用いられる耐火性の容器です。

焼成前のタイルの列
サヤにのせられ、焼成まで順番を待つタイルの列

本当の名前は「匣鉢(こうばち)」というらしく、形も丸や凸凹したもの、焼くものに合わせて実に様々あるようですが…
タイル業界で基本的に使っているものは、断面がアルファベットの “H” のような形をしたもので、「サヤ」と呼んでいます。

タイルの入れ物「サヤ」
普段使っているのは “H” 型。タイルの大きさにあわせ3種程を使い分け
タイルの入れ物「サヤ」変形
まれにこんなカタチのものも!(外壁の角で使う用など)

「サヤ」を使うのは、炎から守り、焼成時に窯の天井から降ってくる灰などがかからないようにするという以外にも、サヤを積み上げて、効率良く一度にたくさんのタイルを焼き上げる、という理由もあります。

台車に積まれるタイル
積み終わったタイル

こんな風にたくさん重ねて積み上げて、順に台車に載せられていきます。
例えば1つのサヤに10枚のタイルがのっていて、それが26段積まれて、横5列、縦6列に並び、1つの台車にのせられているとすると、

10×26×5×6 =7800

台車1台で、おそよ8,000枚近くものタイルが一度に焼けることになります。
10枚のせられるのは、ちょっと小さめのタイル、モザイクタイルですね。少し大きなものだと、1つのサヤに1枚だけ、という場合ももちろんあります。

台車に積まれたたくさんのタイルは、ズラーっと並んで、焼成までしばし順番を待ちます。

順番を待つタイル

順番を待ちつつ、焼成前の”乾燥”という工程に入っていきます。
十分に乾燥していない状態のまま焼いてしまうと、タイルの中に残った水分が急激に熱せられて、水蒸気爆発を起こしてしまい、タイルは粉々に砕け散ってしまうのです。

窯へ入る前に乾燥室に入れてしっかりと水分を飛ばします。
乾燥室、というよりは、乾燥炉と言った方がイメージしやすいでしょうか。60度~110、120度くらいまで温度を上げつつ水分を飛ばしていくそうです。
この乾燥室では、トンネル窯から出る排熱を再利用して使っています。

大きな通気ダクト
大きな通気ダクトでつながる窯と乾燥室

乾燥室に、約9時間 ―。
乾燥室を出たら、すぐ、隣のトンネル窯へ入っていきます。

入口には、酸素の量や温度管理用のメーターなどが並びます。
温度やエアー、台数など、細かくチェック、管理して調整します。

上の写真にある温度計が「1217℃」となっていますが、約70mもあるトンネル状の窯の真ん中あたり、「焼成帯」とよばれる最も高温のところになります。

乾燥室で120度くらい、トンネル窯の最初は低温の予熱帯でおよそ650度まで上げ、その後1200度以上の焼成帯へ。
トンネルの後半から出口までは、ゆっくりと冷ましていく流れです。
窯から出てきた焼きたてのタイルは、100度前後。タイルがのった台車に近づくと、少し温かかったです。

予熱 → 焼成 → 冷却で、およそ27時間程かけて、じっくりと焼き上げていきます。

長いトンネル窯の横を、入口から出口へと歩いてみました。
焼成帯には小さな小窓がいくつかあって、真っ赤な炎が見えていました。
焼成帯あたりはけっこう暖かかったです。この日の最高気温は18℃ほどでしたが、35℃以上ありました。(猛暑並み…冬は暖かくていいですけどね)

窯の中の様子は、こちらのブログもどうぞ
「普段は入れない、窯の中へ」

冒頭で紹介したタイルの入れ物「サヤ」ですが、とても熱に強い素材で作られています。
タイルの素地は、焼成帯に入るころ、1150度くらいのところまでくると、実はやわらかくなっているそうです。(お餅を焼いて膨れる前くらいの柔らかさだとか…)
でもサヤは1250度でも大丈夫!(1650度くらいでやっと溶ける)
強いサヤがタイルをしっかりと支えているのですね。

何十年も使っている年季の入った窯、磁器を焼くと、窯の天井などに鉄粉などが付着。真っ白な綺麗なタイルに、ちょっとでもそれが降ってきて付いてしまったら、もうアウト。商品になりません。
なので、ものによっては一番上のサヤにはタイルをのせません。黒いタイルや、もともと鉄を含んだものなんかは大丈夫なのですが…。

タイルは焼成後に取り出され、サヤは繰り返し使用されます。
いくら熱に強いとは言え、何度も使ううちに割れてしまったりもします…。先日は新しいサヤをたくさん購入していました。

新しいサヤを購入

サヤはタイルを、熱から守る!天井から降る不純物から守る!
タイルにはなくてはならない大切な相棒です。


ここ最近は、この4月に発刊した新カタログに掲載している新商品が続々と窯から出てきて、工場内のいろいろなところで見ることができました。

ちょうどこの日は「雫」という新商品の3番のカラー(SIZ-3)が焼き上がっていました。何色?と聞かれても、ちょっと答えにくいのですが…、味わい深い、渋めの緑系のタイルです。

全体に筋模様が入っているのですが、1本大きな筋が入ったタイルがランダムに入っているユニット仕様になっています。

こちらは焼成前の「雫」。施釉後、台車に積まれ焼成待ちで並んでいたのですが、白っぽいですね。これが焼かれると、あんな渋い色になるとは…。不思議です。

タイル焼成時、焼く前の乾燥具合、炎の温度や酸素の量、 焼く時間、 台車の積まれる位置など、いろいろなことが影響して、色の差や寸法誤差が出たりします。
機械で制御しているのですが、結局それを細かく調整し動かすのは、職人の “感”。長年の経験とそこから得たデータで、仕上がりを見据えて決定します。
焼く、という工程はとても難しく、繊細な作業です。

何回も繰り返し生産しているタイルでも予想通りのものを仕上げるのが難しいのに、新商品はなおさらです。
試作を何度も繰り返し、 新しい商品がうまれます。

新商品「雫」

「雫」は、細かな筋と、大きく入った筋、それぞれで見せる色の変化が面白いタイルです。
また、大きな筋が入る位置も中央だったり少し端に寄ってたりと、壁面に動きが出るのもポイントです!

気になった方は、ぜひサンプルで実際の色や質感をお確かめください。

他にも…

新商品「神楽」
「神楽」(KOMI-1)表面の窪んだカーブが特徴。渋い!
新商品「大河」
「大河」(TIG-2R)こちらも渋い!釉薬がいい味をだしています

ぜひ新商品チェックしてみてくださいね。

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次回は、焼き上がりをチェックする「選別・検品」。
一度にたくさん焼き上がるタイル。どんな風に検査しているのでしょう。


▼ 過去のブログはこちらから

第1回「原料編」
https://tile-park.com/blog/detail/26799

第2回「成形編」
https://tile-park.com/blog/detail/27124

第3回「施釉編」
https://tile-park.com/blog/detail/27860


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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