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タイルづくりの現場から 窯の火入れ

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながらご紹介しています。
前回お伝えした、年に一度のトンネル窯の大掃除。年末年始だけは窯も火を落とし、点検とメンテナンスをしています。
今回は、メンテナンスを終えた「トンネル窯」を再始動させる、火入れの様子をみてきました。

トンネル窯とスタッフ

70mほどもある長いトンネル状の窯、どのように火をつけていると思いますか?
正解は…

トンネル窯とガス

前回のブログの最後で、チラッとおみせしましたが…

ガスバーナーとボンベを使って、点火口ひとつひとつに、火をつけていきます。
制御盤にスイッチかなんかがあって、スイッチON!で、一気に火がつくのかな?なんて思っていましたが…大きな勘違い。そもそも電気窯ではなかったです。。。

窯への火入れは、とても慎重に行わなくてはならない大事な作業なので、しっかりと確認しながら準備をすすめていきます。

火入れ前の窯の点火口
火入れ前の窯の点火口

この点火口に、ガスバーナーの火を持っていって、窯の中のガスに引火させます。

火入れの様子、私は今回はじめて見学させてもらったのですが、火がつくときに、シュボッと音がして、ビクッとなります…。緊張の瞬間です。

点火口は、窯の下 左右に9箇所ずつ(9×2=18)、上の方にも左右3箇所ずつ (3×2=6)あります。全部で24箇所も!

火入れ直後の様子。
トンネル窯の出口から中を覗くと、奥の方、かすかに小さな小さな炎がみえました。

トンネル窯の中の様子
トンネル窯の中の様子アップ
上の写真の拡大したもの。奥の方にかすかに光が

いつもの、メラメラと真っ赤に燃えている通常運転の窯の状態、1200℃以上になるまでには、まる2日~くらいかかるそう。


トンネル窯の中には、温度計がたくさんあります。
メインで窯の中の温度をコントロールしているものが3つ、温度を計るだけのものが24箇所も。

窯の温度計
天井の白い棒のような温度計は、とても高価なものだそう…

天井から出ている白く細長いのが、焼成帯(窯の中で一番温度が高くなる場所)で温度調節をしている温度計で、制御盤で3つ大きく表示されています。
制御盤の下の方にも、その他の24箇所分の温度が小さくたくさん表示されています。

トンネル窯の制御盤
制御盤の温度計アップ

ちょうど寒波が近づいて雪の降る寒い日が続き、火をつける直前は、30~20℃前後まで窯の中の温度は下がっていました。(ちなみに弊社は岐阜県にありますが、年に1~2回しか雪が積もりませんが…)

1日、2日経ち、窯の温度は1000℃前後まで上がってきていました。

火入れ2日後の温度

上段のミドリ色の数値が、窯の中の実際の温度を示しています。
温度制御では、温度センサーで計測した「測定値=PV」と、機器で設定した目標温度「設定値=SV」を比較して、温度を制御するそう。
下段のオレンジ色の数値、設定した1216℃まで、もう少しです。


窯の横に設置された砂利

バーナーで火を付けながら窯の外をまわっていて気になったのが、これ。なんかの燃料??って思って聞いてみたら、全く違っていました…。

トンネル窯の出口

タイルをのせた台車は、レールの上を通ってトンネル窯をゆっくり進みます。レールや台車の車輪が熱で変形して脱線なんてしてしまったら一大事!全部のタイルがダメになってしまい、窯をとめて全てやり直しになってしまいます。

窯の両側から出てくる炎の熱から台車(車輪)を守るため、台車下側の両脇には鉄板がついており、その鉄板が窯の側面下の溝を通るようになっています。その溝に砂利が入れてあり、それを台車が進む際に掻き出して下に落ちるようになっています。出口にその砂利が溜まる場所があり、いっぱいになったらまた入口の方へ移動させて補充しているとのことでした。

焼成を待つタイル

無事に窯の火入れも完了し、工場もいよいよ本格的に再始動。
焼かれるのを待っていたタイルが、順番に窯へと入っていきます。


毎日毎日、タイルは焼き上がってきます。とてもたくさん。
私はほとんどパソコンの前で仕事をしていますが、ときどきこうやって工場へ行ってみると、いろいろなものが気になって、きれいなタイルが焼き上がるまでの、たくさんの工程と工夫が見えてきます。
モノが作られる裏側を知ることは、とても大事だと感じます。

窯は、工場の中枢を担う大事な存在。
タイルづくりには、炎の力が欠かせません。
今年もまた一年、無事に、良いタイルができますように。。。


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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タイルづくりの現場から 窯の大掃除

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながらご紹介しています。

タイル工場になくてはならない、窯。常に火は絶やさないよう保たれ、毎日たくさんのタイルを焼き続けています。
年に一度、年末年始だけは窯も火を落とし、点検のためお休みします。工場にあるのは70m程もある長い「トンネル窯」、そのメンテナンスの様子をのぞいてきました。

トンネル窯の掃除

いつもは1250℃!トンネル窯の中へ

工場が休みに入る12月末、窯の火を消します。
長いトンネルの真ん中あたり、一番高温になる「焼成帯」と呼ばれる場所は1200℃以上にもなるので、火を消したからといって、すぐには中へ入れません。

いつものトンネル窯の中

年が明けて新年初出勤日。窯の中の温度も50℃前後まで下がりました。
工場スタッフ総出で、窯の大掃除が始まります。

トンネル窯の中の壁を払う
壁を払うと、すごい灰が舞う…

長い休み明けの何も動いていない工場は、シーンとして空気も冷たく底冷えします。でも、窯の中に入っていくとポカポカとあたたかい。
制御盤の温度計では52.5℃となっていましたが、窯の中に入っていってもそんなに暑くは感じませんでした。

普段の窯の中は、タイルをたくさん積んだ台車が行列。約70mのトンネル内に27台ほどの台車が並んでおり、だいたい1時間おきに、焼き上がったタイルが順番に押し出されるようにして出てきます。
いつもは自動で入っていって順番に出てきますが、掃除の前に窯の中に残された台車は人力で押し出します…。

台車を押し出す
重たい台車を人力で窯の外へ押し出してから大掃除

通常はタイルをのせた台車が、窯の中にぎっしりと並んでいますが、火を消すときには、タイル無しの、タイルをのせるお皿(サヤ)だけを積んだ状態の台車です。見た目は重そうですが、タイルがのっていない分いつもよりは軽いです…。

トンネル窯の出口に並ぶ台車
トンネル窯から出された台車が、すぐ脇にズラリと並ぶ窯の出口

空っぽの、真っ暗な窯の中へ
一年ありがとう。また次の一年へ向け

年に一度のことなので、掃除も大変です。
大掃除を終えたら、次は窯の点検をしていきます。タイル工場の心臓部!今年もまた一年、がんばって働いてもらわないといけません。
おもにチェックするのは、一番温度が高くなる焼成帯のレンガの状態と火の噴き出し口の辺り。

バーナーの火の噴き出し口

いつもはこのピンク色した土管から、バーナーの火が噴き出ています。
左右の壁に9か所ずつ、必ず対で、しかし位置は少しずらして設置されているそう。
破損しているものがないかチェックします。

火の噴き出し口、窯の外側はこんな感じ。通常稼働時は、窓から赤い炎が見えます。

レンガで組まれた窯の内部、1200℃以上になる焼成帯付近の天井はアーチ型になっています。アーチ状にすることで、天井の重みを左右の壁で支えるカタチです。

天井の火の噴き出し口
天井にも火の噴き出し口がある

また、火の回りが良く熱が全体に均一に伝わるような構造になっています。
ピザ窯がドーム型なのも、同じ理由のようで。窯焼きのピザは、早く焼けて美味しい!

このトンネル窯、30年近くがんばっているそうですが、ちょっと気になる箇所もチラホラ…。

窯の天井の状態

天井部分、アーチ型が少し下がってきているところや、一部レンガがガタガタしている部分が見られました。
窯の火を落とすと、熱せられ膨張していたレンガが、温度が下がるにつれ収縮、元の大きさに戻っていきます。
いくら熱に強い耐火性のレンガでも、膨張・収縮を繰り返すと、やはり劣化してきます。

何年か前に一度、一部崩れてしまったことがあるそうですが、ちょっと崩れてしまうと、ここからここまで全部、ある程度の範囲、レンガを組み直さなくてはならない場合もあるとのこと。そうなると、結構大掛かりな修繕が必要になってきてしまいます。
今は冷えて隙間が見られた箇所も、また火を入れれば膨張してある程度戻り、アーチ状の窯が保たれると判断。

社長チェックの後は、専門の業者さんにお願いして再びチェック。気になる箇所を少し補修していただきました。


年に一度の窯の大掃除と点検が終わり、再び窯を始動させます。
その前に、まずはお酒でお清めです。

トンネル窯の周りをぐるっと一周して清め、一年の無事を祈願します —

また次回、窯の火入れの様子をお伝えします。


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


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タイルづくりの現場から タイルカット編

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながらご紹介しています。
今回はタイルを「カット」する様子をみてきました。お客様のご希望のサイズに合わせ、タイルをカット加工する作業です。

この冬はじまった新サービス「割付TEプレカット」。タイルのCAD割付(どう配置したら納まりよく仕上がるか)と、割付け図通りのサイズにプレカット(施工現場でそのまま貼れる大きさにカットしてから納品)する、とっても便利なサービス!
このサービスに合わせて、新しい設備を導入しました。

タイルカットの新設備

いままでは、難しい素材や数量が多いと外注さんにお願いしたり、小さなタイルのカットはお受けできなかったのですが、このタイルカッターで自社でカット可能なものが増えました。

繊細で割れてしまいやすいガラスタイルなんかも、綺麗に切ることができます。

カットしたガラスタイル
綺麗にカットされたガラスタイルの切り口

こちらは「フィン」というガラスタイルをカットしたものです。
タイルの表側に紙を貼ってユニットシート化(表紙張りユニットといいます)した商品なので、肝心なタイルがあまり見えていませんが…。この表面の紙は、タイルを壁に接着した後に、紙を水で湿らせて剥がす仕様になっています。

カットした細かなパーツ

この機械でカットするときには水をかけながら使用するので、タイルに貼ってある紙が濡れてしまいます。紙が濡れて剥がれてしまったら、ユニット化されたタイルがバラバラに。そうならないよう、切断面を養生テープでぐるっと覆ってからカットしています。
また、養生テープを貼った上からカットすることでチッピング(欠けやひび割れ) を防止したり、ユニットシートの目地幅のズレをおさえて真っ直ぐカットするのにも役立ちます。

カット後は、濡れてしまった紙が乾くまでしばらく乾燥させます。

細かなパーツがたくさんできました。
1cmほどの細長いパーツに「下」「下」「下」…と書いてあります。カット後にどこのパーツかわからなくなってしまっては大変。
全部のパーツが揃っているかしっかりと確認し、梱包します。

カットしたタイルの梱包
割れやすいガラスタイルは梱包も丁寧に…

ここまでご紹介してきたこのカット作業の様子、じつは「割付TEプレカット」サービスを導入する前の、準備段階のときの様子です。

カットしたタイルをチェック
カット後、それぞれのパーツをしっかりチェック

たくさんのお客様に便利なサービスとして利用していただくため、何度も会議を重ね、ああでもないこうでもないと、スタッフ間で考えを巡らせ、準備してきました。

カットの前に重要な「割付け」

工場でのカットの様子をご覧いただきましたが、現場でタイルを美しく張って仕上げていただくためには、綺麗にカットするその前に、まずは綺麗に「割付け」することが必要になってきます。

CADで割付けするスタッフ

CAD技術をもった専門のスタッフが、お客様のご要望に沿って、美しく仕上がる割付けを考えます。
また、タイルの知識を持った担当スタッフが、お客様とやりとりをして、スタッフ間で協力して割付図を完成させていきます。

割付サービス担当スタッフ
偶然二人とも赤いニットですが、別々のスタッフです(笑)

つい先日、このサービスをご利用のお客様の対応にあたっているところをちょっと覗いてみると…
ご依頼いただいたのは、割付けがちょっと難しそうな、ちゃんときれいに施工できるかな?と躊躇してしまいそうなヘリンボーンユニットのタイル「テンポ」。そんな扱いが難しそうなタイルのときこそ、ぜひ利用していただきたいのがこの「割付TEプレカット」サービスです。

事前準備はしてきたものの、実際にサービスがスタートすると、様々な問題が出てきます。1つ1つ解消しながら、今後のサービスの拡充をはかっていきます。

「割付け」だけでもOK!でも…

このサービス、「割付け」の“図”だけをご依頼いただいても、もちろん大丈夫。
「施工はタイル張りも安心して頼める業者さんがいるからカットは必要ない」とか「カットして張るのは実際の現場で様子を見ながら進めたい」などなど、いろいろなケースがあるかと思います。
きちんと割付けしてタイルの必要枚数を出せば、無駄な発注も減らせますので、「割付図」だけでも是非ご依頼ください。


近年、タイル職人さんの数は激減。高齢化と職人不足は深刻なようです。
住宅内装で、タイルを少し張るためだけに左官屋さんや職人さんを手配することに苦慮されていたり、一人でいろいろやれる内装工さんでも、タイルを張るだけならできてもカットはちょっと無理だったり、そんな声がよく聞かれます。
DIYが得意な方でも、タイルのカットは少しハードルが高いのでは…。
ネットで調べると、押し切りタイプのタイルカッターを使ってタイルをカットする方法はたくさん紹介されていますが、慣れるまでには少し時間がかかるようで、簡単に綺麗に切れるようにはならなさそう。

そんなときはぜひ、プレカットもご依頼ください!
タイルがあらかじめカットされた状態なら、専門の知識や高価な道具がなくてもラクラク施工OK!
美しいタイル仕上げに、ぜひご利用ください。

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<余談>
現在、我が社のお手洗いを大規模改装中。内も外もタイル張りで仕上げるため、ちょうど左官工事屋さんがタイルをカットして施工されていたので、作業の様子を見させていただきました!

まず初めは、切り位置に軽く線をつける程度にします。2回目が本番。手間ですが、こうすることで切断したときにバリ(ガサガサ、ギザギザする箇所)が出にくいそうです。
プロの職人さんでもグラインダー(上の写真の工具)で一回で切断しようとしてしまったら、綺麗には切れないようです。グラインダーにつけるディスク(刃)もピンキリで、タイルをきれいにカットするには、それなりに高価なものが必要。
そういった素材に適した道具や、ちょっとしたコツがタイルカットには必要なんですね。あとはもちろん、経験も。

ちなみに、お手洗いの内装壁に使った 上の写真のタイルは、大判のグッディー(MN01 マットタイプのもの)。今年発売した人気の商品です。薄型で壁でも施工しやすいですよ。
グッディーの他のタイプは >>> こちら


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
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複数色を組み合わせヘリンボーンに貼り上げた、ポップでかわいいモザイクタイル。
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タイルづくりの現場から 「土練機」でつくる湿式タイル

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながらご紹介しています。
今回工場でみてきたのは、「土練機」を使ってつくる湿式製法タイルの成形作業。
土練機=どれんき、と読みますが文字通り土を練る機械。空気を抜きながら土を練り、板状に粘土を押し出してタイルの形にする機械です。

土練機

私たちの工場でつくるタイルのほとんどは「乾式製法」なのですが、もうひとつ、この真空土練機を使った「湿式製法」のものがあります。

▼ 乾式製法での成形の様子は、こちらの第2回「成形編」をどうぞ
https://tile-park.com/blog/detail/27124

乾式製法は、水分を飛ばしてサラサラの顆粒状の原料を、プレス機でギュッと押し固める製法です。焼成後の寸法精度も高く品質も安定しており、比較的低コストで大量生産が可能となります。

一方の湿式製法は、水分を含んだ「粘土」の状態から成形をおこないます。基本的にはこの土練機を使いますが、手で粘土を捏ねたり切り出したりといった成形方法も湿式製法になります。

上の写真は、土練機からでた粘土の板を、正寸にカットする前に粗く切り分けたもの。これぞ粘土!という感じですね。

土練機では、成形するのにちょうどいい硬さになるまで、水を少しずつ加えながら練り合わせ、粘土の水分量を調整していきます。この時空気が混ざらないように真空状態で練り合わせ、練った粘土から空気をしっかり抜いて、板状に粘土を押し出します。

今回作っているのは100角タイル。
焼き上がりは97mmを目指し、素地は109.5mmにカットします。
湿式製法のタイルは含水率が高いので、焼成による収縮率が乾式製法のものより大きくなります。

土練機から出た粘土を、まずはざっと切り分けます。

粘土の切り分け

だいたいの大きさに切り分けたら、手動のタタラ成形機で整えていきます。

ならした後の粘土

2本の回転するローラーの間に、必要な厚みよりも厚い粘土を通し、表面をならしつつ厚みも均一にしていきます。

四隅をカット

この後、109.5mmの型紙を使って、四隅を切り落とします。
何枚も何枚も、手作業なので大変です。

成形完了

画像ではわかりにくいのですが、少し布目のついた素地ができました。さきほどの手動でくるくると回して使っていた、タタラ成形機でタイルに被せていた布の跡です。

この湿式タイル、まだまだこの後に表面加工の工程が続きます…。一枚一枚、非常に手間のかかるタイルです。
担当のスタッフが協力し、 試行錯誤しながらがんばっています。

わたしたちの工場をはじめ、数多くのタイルメーカーが集まるこの地域。ですが、かつてたくさんあった湿式タイルを生産する工場は減少。
そんな状況の中、この土練機、 実は今年に入ってから新たに入れた設備なのです。

粘土を成形して、焼き固める。
昔からあるシンプルな製造方法である湿式製法には、土の持つ魅力がいっぱい。
大量生産ラインでは生み出せない「人の手の温もり」と「素材そのものの美しさ」を表現することができます。

今では、3メートルも超えるようなとても大きな、しかも薄い、そんなタイルがどんどん増えています。ダイナミックで美しい見た目、それに加え耐久性やメンテナンス性にも優れ、ホテルや、商業施設、オフィスビルなど、需要も多い。

確かにかっこいい。でも…

こんな時代の風潮の中ではありますが、 一枚一枚に味のある風合い豊かなタイルが、もっと身近にあるような、そんな空間が求められてもいいのでは、と感じます。
実際にタイルが焼き上がってくる現場を見ていただけると、その魅力を見出すきっかけがたくさんあるかと思います。


▼ 「タイルづくりの現場から」
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ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


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240×60サイズの湿式製法のタイル。
白とグレーの2色。 濃淡をつけたミックスになっています。
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よくある質問
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古くて新しい 焼き物、タイルのまち

良質な原料、陶土に恵まれ、古くから「美濃焼」の産地として栄えてきたこの地域、岐阜県の東濃地方。
なかでも多治見市は、モザイクタイル発祥の地と言われ、モザイクタイルミュージアムをはじめ、岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO、美濃焼ミュージアムなど、焼き物に関する施設やギャラリー等がたくさんあります。

多治見の街なかを歩いていると、昔ながらの喫茶店や飲食店、美容院や雑貨店なんかのお店はもちろん、普通のお宅の外壁にもかわいいタイルや、かっこよくて渋い、ステキなタイルが目に入ってきます。

床屋の青い外壁タイル
2種類の緑のタイル

休日の朝にぷらっと散歩していたのですが、個人のお宅を勝手に撮影するのもあれなので…ビルや店舗のタイルを中心にご紹介します。

多治見駅すぐ南側にある「ながせ商店街」。
このながせ通りにある、商店街の新しい顔が「ヒラクビル」さん。

ヒラクビルの外壁タイル

昔は時計や宝石・メガネを扱うお店だったそう。レトロでいい雰囲気の外観。
リノベーションされ、本屋さんやカフェが入って、シェアオフィスやレンタルスペースなんかも。
建物の中、これがまたタイル好きにはたまらない仕様になっています。まだ営業時間前だったので、残念ながら中の様子は詳しくご紹介できませんが、「ひらく本屋」「喫茶わに」で調べてみてください。素敵なタイルがいっぱいでてきますよ。

画像引用元:@hiraku_bldg ヒラクビル

確か、本を喫茶スペースに持ち込みOK。タイルいっぱいの空間で、ゆったりとお茶を飲みながら読書。すてきなときが過ごせそう。

ヒラクビルのタイルシンク

ビルの片隅には、可愛らしいタイルシンクが!赤い金魚タイルを一目見て、これは…と。あとで調べてみると、やはり「作善堂」さんのタイルシンクでした。
写真のようなカラフルでポップな色使いのタイルシンクをよくみかけますが、シンプルなものもあります。ときどき、作善堂さんのタイルシンクを見つけると、タイルパークのタイルどこかに使われていないかな? と、思わず探してしまいます。

突如あらわれた、タイル張りの可愛らしい三角屋根の小屋。

タイル張りの三角小屋

小屋の中には本が少し置いてあり、「まちなかほんだな」とあります。

三角小屋「まちなかほんだな」

ここにある本は自由に持ち帰っていいそう。
読まなくなったけど、誰かに呼んで欲しい、そんな本を次の人へつなぐ、すてきな場所でした。

三角小屋のタイルアップ

様々な黄緑色、幅も2種類ミックス貼りされています。置かれていた植物と屋外の空間に、よく馴染んでいました。
写真を撮り忘れてしまったのですが、床の正方形のタイルもいい色でした。ちょっと黄色や茶色が混ざった芝生みたいな色合いの、色幅の大きなタイルが張ってありました。

通りを1本入るとレトロな小さなビル。

レトロなビルのタイル

1階は美容院。自宅兼、店舗でしょうか。
よーく見るとこのタイル、なんと虹色に光っているではないですか!

レトロなビルのタイルアップ

遠くからなんとなく見ただけだと、オフホワイトかグレーのような感じだったので、よく気にして見てないと、うっかり通り過ぎてしまうところでした。
手前ではなく、奥の柱の部分を見てもらうと、紫、ピンク、黄色、オレンジ、緑、水色…、いろんな色が入っているのがよくわかるかと。

私の実家(お隣の愛知県)も美容院なのですが、うちの外壁は45角のプレーンな白のマットなタイル…。
ここはさすが焼き物のまち、使うタイルがひと味違います。こだわりを感じますね。

一方でこちらは床屋さん。

床屋の青いタイル

青。
なかなか見ない、濃く、強い青。
藍色、縹色(はなだいろ)? なかなか見ない男前な青色が目を引きました。
面状は、ラフな面状の2種類ミックスですね。


ちょっと休憩 ―。

おりべかっぱ広場

商店街の中に突如あらわれた大きな「かっぱ」。。。
「おりべかっぱ広場」とあります。多治見市に伝わる河童伝説にちなんで、かっぱの像がお出迎えしてくれます。

おりべは、美濃焼の一つ「織部焼」の「おりべ」。
織部焼といえば、この特徴ある深い緑色。その織部色したかっぱの焼き物でした。さきほどの三角小屋のタイルも、織部の緑っぽいタイルがありましたね。

ながせ商店街の中でシンボル的な存在、Y字路に建つこの建物。

モザイクの陶壁
モザイクの陶壁アップ

カラフル!
こんな陶壁も、モザイクタイル発祥の地、多治見ならではですね。

カラフルといえば、こんな虹もありました。

モザイクタイルの虹
モザイクタイルの虹アップ

モザイクタイルでてきた、とても可愛らしい虹。
さっきの壁と違って、近寄って見ることができるので、ぜひ見つけて間近で見て欲しいです。1枚1枚に、いろんな釉薬の表現が見えて、面白いです。

古いけどなんか新しくて、新しいけどなんだか懐かしい、そんなタイルが溢れる街中。古くからある建物も、新しい大きなビルにも、いろいろな顔をしたタイルが見られます。
商店街をでて、ちょっと街中から離れたところを車で走っていても、 いろいろな タイルが目に入ってきますよ。

地域のゴミステーションまでもが、タイルアート!

ゴミステーション
ゴミステーションごとに、テーマのあるタイルアートで装飾

地元愛・タイル愛の溢れるボランティア団体の方が、地元タイルメーカーから無償で提供されたタイル(廃番品など)で、殺風景なゴミ置き場を美しく装飾されています。


「土と炎」の看板

帰り道…、いつも気になる大きな看板?
多治見市街地から少し北の方を望むと、山の上に、「土と炎」の巨大な赤い文字。(ちょっと写真がわかりにくいですが…)
岐阜県県東濃西部総合庁舎の外壁で、「国際陶磁器フェスティバル美濃」のPRのために描かれたものだそう。
「土と炎の国際交流」をイメージし、「炎」の字は縦約6メートル、横7.7メートルの大きさもあるそうです(参考:朝日新聞デジタル)。

今年もこの季節がきました。
国際陶磁器フェスティバル美濃’24

国際陶磁器フェスティバル美濃

日本を代表する陶産地である岐阜県多治見市・瑞浪市・土岐市・可児市を舞台に、1986年から3年に1度開催している世界最大級の陶磁器の祭典。
メインイベントの「国際陶磁器展美濃」は、世界中の国と地域の作品が一堂に会す展覧会です。
美濃焼の歴史や魅力、地域の風土を存分に感じ、楽しむことができる、4市の陶磁器産業・地域・文化に密着した事業も多数開催!

【開催期間】
2024年 10月18日(金)~ 11月17日(日
【メイン会場】
セラミックパークMINO 展示ホール(岐阜県多治見市)


今週末開催!こちらもぜひ
たじみ陶器まつり

たじみ陶器まつり

” たじみ陶器まつり” は、多治見市内で年二回開催されるやきもののお祭りです。先人達に感謝を込め、出店者と来場者のみなさん、地域のみなさんが一緒になって盛り上げるお祭りです。

第81回 たじみ陶器まつり 秋
【開催期間】
2024年 10月13日(日)・14日(月・祝)
【メイン会場】
多治見美濃焼卸センター(岐阜県多治見市)

「春」は本町オリベストリート、「秋」は多治見美濃焼卸センターと、秋季開催の会場は少し街中から離れた陶磁器商社が集まる場所。
「本町オリベストリート」は、多治見駅から徒歩10分ほどの、レトロな町並みでおしゃれな焼き物のお店がいっぱいのスポット。
まちなかでアートを味わう「まちなか美術館」が、12~14日に同時開催されます。

先にご紹介した「ながせ商店街」と一緒に、多治見、焼き物の街めぐりを、ぜひ。


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
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湿式タイル「北野」

北野(きたの)
焼き物らしい味わいのボーダータイル 。RCY-02あたりは、ブログ前半でご紹介した「三角小屋」にあったタイルのような雰囲気、ちょっと渋みのある黄緑色。
緑が3色ありますが、どれもオススメです!

→「北野」を見る

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タイルづくりの現場から 【続】倉庫と作業場

前回は、倉庫のお話と、その中で行っている展示会用パネルの準備の様子をちょっとだけお見せしましたが、その続きを少し― 。

毎年9月に開催される、イタリアでのタイルの国際見本市「CERSAIE」(チェルサイエ)。展示するパネルの撮影を、つい先日、倉庫で行いました。
今年は9月23~27日に開催されるチェルサイエ。2014年から毎年参加し、10年連続での参加となります。(コロナ禍の2020年を除く)
日本から出展する企業は、私たちただ1社のみなのです。(「TN CORPORATION」で出ています)


パネルを使ったイメージ撮影

展示物を送る船の関係で、例年は6月頃に行っている撮影ですが、今年は戦争の影響などもあり、いつもの船は使わず時期がずれた為、真夏の撮影となりました。
なんと、新倉庫は一部しかエアコンが設置されておらず、汗だくの撮影に…

まだ展示会前なので、全部はお見せできませんが、ちょこっとだけ撮影風景をご紹介。
いつもお世話になっている、村山写真事務所さん(https://muraya.ma/)に撮影していただきます。

昨年に引き続き、今年も背の高いパネルが何枚も。
床での使用イメージのタイルや、立てて撮ることが難しかったりする大きなパネルなどは、寝かせた状態で撮影したりすることも…。

俯瞰で撮影
新倉庫での撮影の1コマ

上の写真は昨年おこなった撮影の様子ですが、タイルのいろいろな組み合わせを提案するために作成した背の高いパネルは、こんな風に高い位置から撮っていただきました。

一方、正面からの写真ではわかりにくいディテール部分は、手持ちで撮影。

手持ちで撮影
断片タイルのアップ

こちらはまだアタリ画像(仕上げ前の仮で使う画像)ですが…。
前回のブログでも少しご紹介しましたが、「断片」タイルの新形状との組合せ。大きな凹凸のあるタイル。美しいツヤや、凸部分がみせる豊かな表情を捉えます。

プールタイルに向日葵を

事前に、このパネルをこんなシーンのイメージで撮影したいという旨をお伝えし、村山さんがそのパネルに合うお花・植物や、食器やクロス、インテリア小物などを用意、素敵にスタイリングしてくださいます。
村山さんの事務所やご自宅には、さまざまな小物があるようで。
シンプル、 かわいい、 かっこいい、渋い…、どれも愛らしさのある、ステキなものが登場します。
今回は撮影までの準備期間がほとんどなく、社内でも用意。写真のひまわりの花は、撮影の当日の朝、会長のお庭からやってきました。

お花の向きを調整

ちゃんとしたスタジオでなくても、村山さんの手にかかれば、どれもが魅力ある1枚に。すごく空気感を演出してくれる写真に、いつも、おーー!かっこいい!と、なるのですが、タイルの色が、現物からちょっと離れてしまうと、そのままカタログには載せられないのが、難しいところ…。

複数の色が掛け合わさってできているような商品も多く、光の当たり方でいろんな違った風に見えるのですが、全ての写真を載せることはできません。フラットな状態で撮った正面の単品写真と、タイルの色はできる限り近づけつつ、質感も伝わる、それでいて雰囲気もある…。
そんな私たちからの無理難題を、フォトグラファーの奥さまと、レタッチャーの旦那さまのご夫婦ユニットで、いつも素敵な一枚に仕上げていただいています。

断片パネル正面

展示会前にもう1枚だけ。(※こちらもまだアタリ画像)
大きな凹凸があるものと、細かなスジ模様が入ったものがあります。このパネルのようにアクセントで使うもよし、全面でももちろんOK。

断片新形状(カラー:1)
別カラー(カラー品番 1:グレー)

個人的には、大きな山と谷がある方が、好み。触った感じも、細かなスジと違って、ツルツルっとしてるのがいいです。


タイルのアレンジとパネル作成

パネル貼りの様子も少しご紹介。
これは今年のカタログに掲載した写真の、パネル作成時の様子。

こちらは、一旦、仮で並べただけの状態。
今年のカタログの大きなテーマの一つとして、「タイルの組み合わせ」というのがあったので、新商品のパネルだけではなく、既存の商品も使って、組み合わせて貼る魅力を伝えるためのパネルをたくさん準備しました。

企画の段階では、パソコン上でだいたいのレイアウトを考えて指示書を用意しておくのですが、いざ実際にタイルを仮並べしてみると、ちょっとアレンジが必要になったりします。
配置アレンジは会長が自らやっており、長年の経験と勘で、臨機応変に、そして柔軟に変えていきます。いつの間にか、企画時とタイルが変更になっていたりすることもありますが…、結果的にはかっこいいものが出来上がってきます。

「組絵」鱗片セレクト
「ぺルラ-禅」と「フィン」

撮影して、仕上げていただいた写真がこちら。
上は「組絵」の鱗片セレクト(ri1-U-BWri1-U-BG
下は「ぺルラ-禅」(ZE-2)と「フィン」(Fin-Moonlit-Pearl

ガラスタイルと組み合わせて作ったこのパネル、「高級ブランド店にあるような内装」をイメージして出来上がった一枚です。

パネルのアップ

企画時は、少しだけ青みのあるグレーのタイルと合わせる予定でしたが、もっと白い、でも単純な白ではないタイルに変更になりました。釉薬の結晶による色むらが、光の加減で少しだけキラッとして見えたりします。
高級感があり、凛とした美しさを感じる、そんな壁面イメージになりました。


今年はいつもより多めにパネルを作成することにしたので、タイルを貼って ~ 目地入れまでの作業を専門の業者さんにお願いしました。

下地の板に接着剤をのせ、もしくはコテ板に接着剤を適量とり、写真のようなクシ目ゴテを使って塗っていきます。厚く塗り過ぎないよう、クシ目を立てて均一に塗り広げていきます。

接着剤を塗る

動画を見ていると、スイースイーっと、とても簡単そうに見えますが、そこはやはりプロの技。まるで枯山水の模様みたいにきれいな弧を描き、接着剤がまんべんなく塗られました。
クシ目をつけることで、凸凹になった部分から空気や水分を逃がして、接着材がよくタイルになじんで、キレイな仕上がりに繋がるのだとか。

DIYのときなんかには、こんな本格的なコテでなくても、クシ目がついた樹脂製のヘラ(200~300円程)がありますので、ホームセンターなんかで探してみてください。
ポイントは、ベターっとならないように、立てて塗る、です。いろいろ調べてみると、45~60度の角度が、ベストみたいです。

早くて丁寧。さずがにプロ。あっという間に貼られていきました。
いつもは社内スタッフ自らが、パネル貼り作業をやっていたのですが、やはり数が多いときはプロにお願いした方がいいな、という結論に…。

タイルを接着後、1日置いて乾かし、目地入れ、仕上げ拭きをして完成。
村山さんに撮っていただいて、最終的な仕上がりが…

撮ったままのアタリ画像
撮ったままのアタリ画像からの…
実画像
実画像

こうなります!(2024年の新商品の中で一番好きな一枚…タイルは「大河」)

こんな感じで、ときにプロの力をお借りしつつ、タイルづくりの企画・デザイン、製作から、プロモーション、販売まで、全て、基本的に社内でやっています。

どんなタイルを、どんな風に使って、どんなイメージで撮影し、どんな販促物つくり、どう展示して、どう伝えていくか。
そのタイルの持つ魅力を最大限に引き出して、より多くのお客様に、知って、興味を持っていただけるよう、今日もスタッフは動いています。

― 9月、イタリア「チェルサイエ」で、お待ちしています。

———————————————
タイルの国際見本市「CERSAIE」
Bologna-Italy 23-27/09/2024

● TN CORPORATION
ブース番号:Hall 36 Stand C65
———————————————


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
https://tile-park.com/index.php/blog/detail/31422


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


■関連商品のご紹介■

大河 TIG-1R

大河(たいが)
文中で紹介した、グレーも渋くてかっこいいですが、ツヤを抑えた白もおすすめ。縦使いを想定したデザインですが、雰囲気に合わせてもちろん横でも!

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タイルづくりの現場から 【番外編】倉庫と作業場

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介してきました。
前回までで、工場内は一通りぐるっと回りきったので、今回は少し離れて、倉庫とその中で行っている展示会の準備など諸々…について、少しご紹介したいと思います。

タイルパーク倉庫
倉庫でパネル準備

タイルパークの本社・工場。会社のすぐ前には川が流れ、一見すると自然豊かな場所のように見えますが、実は意外と市街地の中にあります。(マックまで徒歩3分!)

昭和34年の創業時は、モザイクタイル発祥の地で「タイルの聖地」とも言われる、岐阜県の多治見市、笠原という所に本社を構えていたのですが、平成元年に本拠地をこちら(お隣の可児市)に移転してきました。
そのため、大きな倉庫は、元々本社のあった場所や、他の場所にいくつかに分かれて点在しています。
ここ数年で、海外への輸出がかなり増えました。大きな単位で在庫が動くことも多いので、それなりの保管場所が必要です。

倉庫への道の開通式

昨年、本社のすぐ隣に新しく倉庫を構えました!
上の写真は、本社から100m先の倉庫への道の開通式の様子。第一便のトラックが出発しました。

新倉庫の外観

なんだか派手な外観。この空き物件、元々はゲームセンターが入っていた建物。

空っぽの倉庫

タイルを搬入する前の倉庫内。広々。壁に “Do it when you can.” とあります。うん、間違いないです(笑)

1つ上の写真が内装工事中の様子のビフォー、こちらが搬入後のアフター。ずらっと並び、積まれたタイル、タイル、タイル…。
こちらの倉庫には、「ぺルラ」シリーズをはじめとする、アメリカのお客様と共同開発している自社製品を主に置いています。

英語表記のケース

デザインはアメリカ ”Designed in California” の文字が箱に記されており、作っているのは私たちの工場なので、”made in Japan” のタイルです。カタログにも「made by TN」と表記して掲載しています。海外のお客様向けにつくっている製品なので、商品名、形状や色も海外販売用に英語品番で記載されています。

「ぺルラ」の6色

「ぺルラ」は6色展開なのですが、色名が、「Kumamoto」「Kushi」「Moonstone」「Pacific」「Olympia」「CapePearl」。2種類の白の色名が、”熊本”と”櫛”。なぜ白が熊本なのか、真相は不明です。。。

この倉庫は、タイルパークの国内部門と海外部門の共通倉庫。海外へ出荷する製品は、一旦別の輸出専門倉庫へ移動し、そこから港へと運ばれます。船でアジア地域を中心に、世界各地へと運ばれていきます。

今日も倉庫では、フォークリフトが小回りを利かせ通路を通り抜け、安全第一で走っています。

フォークリフト

勤続何十年のベテランスタッフさんが、バック走行でスイスイと運んでいました。
私は車のバック駐車でも、焦るとどっちにハンドルきってるのかわからなくなってしまうので、とてもできそうにありません…。

フォークリフトは、荷物を積んだ状態で前に走行すると、載せた荷物が視界の邪魔に。 その点、バック走行なら視界をさえぎられることがないため、よりスムーズに運転できるようになります。
しかも、出入口の段差部分で少し下り坂があるので、前進だと、前のツメの部分(フォーク)がぶつかってしまいます。ガタンっとなって商品が破損してしまったら大変です。
何気なく見ていても気付きませんが、話を聞けば、いろんな配慮がされていることがわかります。

倉庫内

倉庫内の様子をちょっとだけご紹介。
今、毎年9月に出展しているイタリアでのタイルの見本市「CERSAIE」(チェルサイエ)に向けて準備中で、少々散らかっております…。

散らかる倉庫入口付近

入口には、チェルサイエに送る用の、出展パネルなどを入れる木箱が。今年もこれに詰め込んで、船で現地に送ります。

余談…入口にあった英文、訳してみました!(笑)

Don’t just sit there and waste your precious time, welcome to the next level! Do it when you can. It’s the only way to live a life.
〈翻訳〉
「 ただ座っているだけで、貴重な時間を無駄にしてはいけない!やれるときにやる。それが人生を生きる唯一の方法なのだから。」
(※DeepLにて翻訳 https://www.deepl.com/ja/translator)

ちょっと気になってネットで調べてみると、ゲーム「ソニッ〇」で使われていたキャッチコピーか何かのようでした。(そういえば、元々はセガワールドさんが入っていた建物でした)

やれるときにやる!
今まさに倉庫の奥では、チェルサイエ向けの展示パネルをどう仕上げていこうかと、作業の真っただ中。

まだ、真っ白な枠だけのものもあります…。
右の写真、ちょっと違うTILEPARKのロゴが写っていますが、これは海外向けに新しく作成したロゴです。しっかりとした安定感と親近感のある既存のタイルパークのロゴと違って、やや細めの書体で、ちょっと上品な感じがします。

作成途中のパネル

こちらは「断片」タイルの新形状との組合せ。
今年の6月にドバイで開かれた「INDEX DUBAI 2024」、全国タイル工業組合のメンバーとして参加。

写真右の方にタイルパークのタイルが展示してあります。
その中のパネルの1つで、この「断片」の新形状を出していましたが、今準備しているパネルは5、6倍大きなものです。ランダムなアクセントではなく、部分的に並べてみました。

断片の新形状試作品

遠くから見ると、ボーダータイルのようにも見えますが、凹凸の大きなタイルで、凸部分の釉薬の薄いところと、釉薬の溜まる凹んだ部分で、色の差が大きく出ていて面白いです。

展示はイタリアですが、そこでの評価で、それ以降どう展開させるか、来年の新商品に加わるかなどが決まっていきます。

昨年に比べ、だいぶ時間が迫っている感がありますが、やるしかないですね。
私は印刷物の制作担当なので、タイルや展示パネルはつくれません。出来上がったものを見て、リーフレットなどの制作物を考えます。
単品タイルの撮影などをしつつ、しばし出来上がりを待ちます。

どんなパネルが出来上がってくるのか、今年も楽しみです。


▼ 「タイルづくりの現場から」
過去のブログをまとめました!タイルはどんな風に作られていくのか。
成形、施釉、焼成… それ以外も?!
ぜひご覧ください。
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この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


断片5色とレリーフ

断片(だんぺん)
日常のモチーフを切り取った、物語性のある内装用装飾タイル。 パスタを使用してつくったやわらかな表情が魅力。全5色の繊細なカラーにも注目。
下の動画で、タイルの細部をチェック!

→「断片」を見る


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タイルづくりの現場から サンプル出荷編

わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介しています。
第7回目は、タイルのサンプル出荷の様子をお伝えします。

サンプル棚で作業

これまで、タイルが出来上がるまでを順を追って紹介してきましたが…
タイルは焼き物。
その一つ一つの細かな特徴は、実際に手に取って見て、触ってみないことには、なかなかわからないものです。

左(上)から
プランク…ラスターの具合、いろんな角度で見え方を確認
コーン…カラーで異なる釉薬表現、段差での色の変化もチェック
スーベニア…カーブがついた面状でフチで変わる色、側面も確認
遊彩…ウェーブ面の凹凸具合、模様の見え方を違う角度からも

タイルパークではタイルのサンプルを、送料も含め、無料でご提供しています。
実物をみて、しっかりと確認してから購入していただくことで、発注ミスなどのトラブルを未然に防ぎ、安心して施工していただきたい、というのが、サンプルを「無料」にしている大きな理由の一つです。

すぐ届く!タイルサンプル

サンプル注文を受け付けると、原則、翌営業日までに発送するよう迅速に対応しています。
ご依頼いただくと、だいたい2・3日後くらいには、お手元に届くのかと思います。

サンプル出荷担当のスタッフの朝は、受注処理からはじまります。
前日、営業時間終了後に来た注文を捌いていきます。

PCで受注処理

休業日明けの日は、金曜夜~土・日の2.5日間分の注文がたまっているので、数も多くとても大変。大型連休明けなんかは、なおさらです。
受注リストを出力し、いざサンプル棚へ。

工場の片隅にあるサンプル棚。所狭しと並ぶ様々なタイル。
数百を超える商品群の中から、依頼の品を素早くピッキングしていきます。

素早いピッキング作業

サンプルが最もよく出る商品は、作業机のすぐ傍に置いてあります。
サブウェイ
サブウェイ SUW-150
時代を超えて愛される、スタンダードな白の「サブウェイタイル」

メトロ
メトロ HLPU36
こちらもスタンダード!絶妙なグレーがどんなスタイルにも◎

この2つは、ずっと人気の定番商品ですね。サブウェイは、ツヤのあるタイプですが、マットタイプの「サブウェイ-マット」(DMW-1501M)も、これらと並んでよく出ます。
メトロの中ではグレーが一番人気ですが、白(HLCO36)ブラウン(HLNA36)も同じぐらいよく出ています。サイズ違いで、大きな 402×100mm も合わせてよくご依頼いただく商品です。

ちなみに、4月のカタログ発刊と共に発売となった新商品も、よくご注文いただいております。

サンプル棚(新商品付近)

縄文
穏やかながら変化に富む釉薬の表情が特徴のモザイクタイル

模様入りの長方形と、立体的な縦長六角形の2種類がありますが、長方形の方がよく出ている感じです。どちらも、面状の凹凸で釉薬の表情が変わるので、そこがみどころ。
2番の色は、何色かと聞かれればライトグレーなのですが、なんとも表現しがたい色で…。やわらかい、やさしい、温かみのある色です。
4番の青は、写真ですと、かなり彩度が高い印象を受けますが、実物を見ると、またちょっと印象が変わります。照明によってもだいぶ変わってきますが…。

大河
雄大な大河を思わせる240×60mmの内装用ユニットタイル

特徴あるレリーフが魅力ですが、意外とフラットの方がサンプルが出ています。釉薬にもかなりこだわっているので、そこに注目される方が多いのかもしれません。これこそ、画像だけではなかなか伝わりにくいので、手に取って見ていただきたいところです。
焼き物らしさをすごく感じる(焼き物の知識がない私にも)、そんな仕上がりです。

ちょっと、新商品の話が長くなってしまいました。。。
ちょっとここでブレイク。
サンプルお取り寄せ人気ランキング発表!

サンプル人気ランキング

新商品が発売された4月から6月までの3か月間の、シリーズ別のサンプル出荷数を集計しました。
長年人気の自社製品エルサ」が堂々のダントツ1位!
続いて、昨年の新商品で、今年は3種の新形状が追加された「プラハ」が2位でした。床タイルの新商品「イン&アウト」シリーズもランクイン。

6月1ヶ月間の商品別ランキングでみると、シンプル、白、が根強い人気。2022年発売の、こぶりなボーダー「スーベニア」が2色ランクイン! 健闘しています。
どの商品も、基本の白や淡い色の方がサンプルがよく出る傾向にあります。


送り状を見ながらピックしたタイルを、作業机に集めて一旦確認。表面のタイルの顔をきれいに拭いてから、丁寧に梱包していきます。
手際よく、軽やかに、タイルが箱に詰められていく様子は、見てるだけで気持ちがいい!(モノが散らかっているのが嫌いな性格です…)

下の動画はサンプルを梱包する様子。このサンプルをご依頼されたお客様は、ボーダー系で、カラーは淡いグレーやベージュで落ち着きのある色と、深みのあるグリーンとブルー系。表面はフラットではなく緩やかな面状の変化のある、クラフト感あるタイルをお求めの方かと思われます。

サンプルの梱包の様子

あ、これ私の注文したやつ!と気付かれた方、いらっしゃいましたでしょうか。届いたタイルは、いかがでしたか?

さて、箱詰めを終えたら、送り状を出力。
仮で箱に小さくお客様のお名前をメモしてあるので、間違いないか確認、その上に送り状を貼り付けていきます。

この日は火曜日でしたが、けっこうな量のご注文数。
大きな物件なのか、何枚も依頼される方や、1枚だけの方、さまざまです。
ちなみに一般会員の方は、10点までは無料でお届けしています。

本日分のサンプル出荷分、山盛りいっぱい!完了です!
午後、運送会社さんに集荷にきていただき、皆様の元へと配達されます。


入社した当時は、無料でタイルを配ってしまうなんて、なんてもったいないことを…、と思っていましたが、会社でいろいろとタイルについて学んで知っていくうちに、サンプルを無料で提供する理由がわかってきました。

今は、多いときで一日に40~50件、1件につきタイル枚数は様々なので数量にするともっと多いのですが、毎日とてもたくさんのご依頼をいただいています。
タイルパークのタイルに興味を持っていただき、サンプルをご依頼いただくことはとてもありがたいことです。

さて、サンプルですが、こんな工夫があります。
サンプルタイルの裏側には、QRコードが付いています。このQRコードから商品詳細ページへ飛べるので、商品の在庫状況の確認や、注文まで、スムーズに出来てしまいます。

また、カタログには掲載しきれなかった写真や情報を、Web詳細ページから得られたり、最新情報も常に更新しているので、ぜひご活用いただければと思います。

あと、サンプルに関しての注意点もあります。

サンプルは、ものによって販売している状態とは異なる状態でお出しするものがあります。
床タイルのような大きなものはカットした一部を、モザイクタイルなどユニットシートになっている商品も、10cm程度にカットしたシートの一部をサンプルとしてお出ししています。

表紙張りユニット仕様のものは、タイルの表面に紙が貼ってあるそのままの状態では肝心のタイルが見えません。なので、タイルの裏に紙を貼り直したもの、もしくは、専用の台紙に貼り付けたものをサンプルとしてお出ししています。

表紙張りのユニット仕様が多いガラスモザイク。
さきほどの表面に釉薬がのっている焼き物タイルと違い、裏表が同じような見た目のものも…。

上の写真の「ジョー」の他、「アガット」など、製造工程の都合上、裏面の方がツルツルとした丸みを帯びた形状になっています。
これらも、サンプルでは「裏」に紙を貼り直して、「表」が見えるようにお出ししているのですが、購入された商品は表紙張りの仕様なので裏面がよく見えている状態。ここでツルツルとした裏面を見て、「……?」「この丸く角がとれた方が表なのでは?」となり、お問合せをいただくことがあります。

台紙に貼り直したガラスタイルサンプル
台紙に貼り直したガラスタイルサンプル

実際に、展示会用のパネル張りをプロの施工業者さんにお願いしたときにも、「あれ?これ、こっちが表じゃないの?」と聞かれたことも。

「表紙張りユニット」は…
商品:紙が貼ってある方が「表」
サンプル:表の紙を剥がし「裏」に台紙を貼ったもの

実際にサンプルを見て決定する方と、現場で施工される方とでは、別々の場合がほとんどかと。不安を感じたら、施工前にお問合せいただき、確認していただければ思います。

その他、サンプルに関するご注意をまとめたチラシも、同封してお届けしています。

▼ チラシはこちらからもご覧いただけます。
サンプルに関するご注意(PDFが開きます)

▼ サービス内容について詳しくはこちらもご覧ください。
サンプルについて


タイルを検討する際に、最も重要な参考資料となるサンプル。
素早く確実にピッキングし、丁寧に包み、できる限り早くお客様のもとへ届けられるよう、担当のスタッフさんは毎日忙しく動いています。お打合せまでの時間が少ないお客様もいるため、作業の正確さとスピーディーさが求められます。
タイルの知識はもちろん、それぞれのサンプルの配置場所の把握、サンプルの欠品がないように事前の手配・準備も。
たくさんのサンプルを1つの箱に詰めると結構な重量で、ときには力のいる仕事でもあります。

さて、今日は金曜。
休み明けの出荷作業がスムーズにいくよう、先ほどきたばかりの注文も今のうちにできるものは梱包、月曜にすぐ出荷できるよう準備を進めます 。


この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。


■関連商品のご紹介■

遊彩

遊彩(ゆうさい)
4~6月度のシリーズ別ランキングでは惜しくも11位! クラフト感があるラフな面状。鮮やかな濃いグリーンの6番色(B、濃い方の緑)が人気。
緑以外は、トップでご紹介した波々模様(4つのサンプルの一番最後)のウェーブ面もあります。

→「遊彩」を見る

■おすすめサービス■

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割付TEプレカット
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在庫予約サービス
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CADデータ提供サービス
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よくある質問
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「陰翳」施工例

黒、にこだわったハンドメイドタイルが魅せた
日本らしい「美」(「陰翳」施工例紹介)

陰翳 鱗
鱗アップ

高級ホテルを思わせるかのような雰囲気の、この一角。
実はここ、オフィスビルのエレベーターホール。

鱗 正面

一枚一枚を手作業で作り上げる特注タイル「陰翳」(いんえい)。
格子(こうし)、石畳(いしだたみ)、(うろこ)、矢羽根(やばね)の、4つの形状があります。

どれも日本の伝統的な模様ですが、先にご覧いただいた写真は、三角形を交互に並べて連続させた文様の「鱗」。
古くから三角形には魔除けの力があるとされ、「鱗を落として脱皮する」という意味で、厄落としや厄除けに使用されたとか。また蛇は脱皮を繰り返して成長することから、「再生」の意もあるそう。

金が厚い「鱗」のピース 

鱗は、金(KOGANE)の方に厚みをもたせて作っており、高低差で影が強く現れ、よりはっきりと模様が際立ち、金釉が印象強く目に飛び込んできます。

鱗 金が前に出る様子

築50年以上のビルのリノベーションで、各階のエレベーターホールにそれぞれ違う4種類の「陰翳」をご採用いただきました。どの文様がどんな雰囲気に仕上がるのかを、一同にご覧いただけます。


「格子」(こうし)

陰翳 格子

格子模様とは、縦縞と横縞が交差している模様のこと。
正方形や長方形を格子状に並べたデザインは、上下左右に途切れることなく続き、終わりのないイメージであることから、「永遠」や「繁栄」の意味を持つ縁起の良い柄と言われています。

格子は、さきほどの鱗とは逆で、長方形部分の黒(KESHIZUMI)の方を少し厚めに作っています。陰翳でこだわった「黒」、で組んだ格子。その文様を強く感じます。

黒が厚い「格子」のピース 

細かなパーツが垂直に組み合わさり、きちんと並んだ格子模様ですが、ひとつひとつ手作りのピースに趣が感じられ、味わい深い仕上がりになっています。


「石畳」(いしだたみ)

陰翳 石畳

色違いの正方形を交互に並べて構成される文様のことをいい、別名は市松(いちまつ)模様とも呼ばれる石畳。
陰翳では、正方形と長方形を組み合わせてアレンジ。
長方形を斜め45度に組み合わせたものを檜垣(ひがき)、別名で網代(あじろ)といい、代表的な幾何学模様のひとつで、床の間や和室の天井などによく使われているのですが、この文様の要素も感じます。
タイルパークでも、45度に回転し斜めにした模様の施工イメージを掲載していますが、この垂直に並んだパターンもいいですね。

トントントン、と、金の正方形タイルが、リズミカルに並びます。

「格子」と「石畳」はユニット仕様の「陰翳セレクト」もご用意。割付けや施工もしやすい仕様になっています。
例えば、
「住宅にアートパネルのように少しだけ使ってみたい 」― など。
特注となると少しハードルが高いな…、と感じられる場合でも、ご検討していただきやすいのではないでしょうか。

それとは逆に、かなり広い面積の案件でも、陰翳セレクトならCADデータとシームレス画像もご用意していますので、割付け、概算も可能です。

CADデータ提供サービスは >>> こちら


「矢羽根」(やばね)

陰翳 矢羽根

矢羽根は、矢の上部につける鳥の羽を表した文様。弓矢には魔除けの意味があるそうで、まっすぐ前へ進み「的を射る」矢は、古くから縁起物として用いられてきました。
着物の柄でよく見かける矢絣(やがすり)がありますが、それとは違う矢振り柄。大胆なギザギザ模様を描きます。こんな柄のニット、ありますよね。

陰翳タイルの他の3つのデザインと比べて、ちょっとモダンな感じがします。
平行四辺形を斜めに組み合わせていくので、施工の難易度はかなり高いのですが、きれいに仕上げてくださいました。

中央のボタンの部分がメタリックなので、どの形状もその中央部分に金色をもってこないよう、うまく工夫されています。

「陰翳」の魅力は、こだわりの鈍い発色の黒と、神社や寺院を思い起こさせる古色を帯びた金。この奥行きのある味わい深い2つの色と、一枚一枚粘土を板状にワイヤーカットしてできる特有の凹凸のある表面、そこからうまれる立体感と陰影。
通常の量産タイルにはない、手作りでしかできないシャープなエッジも見どころ。

訪れる機会がありましたら、ぜひいろんな時間帯で見ていただきたいと思います。


陰翳の中に日本の美を感じる陶壁
―「陰翳」


エレベーター待つ間も、贅沢な時間に演出してくれることでしょう。

参考:
日本の内装材料辞典「日本の文様 伝統文様」
https://naisouzairyou-annai.jp/pattern/tradition/index.html

販促クリエイト.jp「日本伝統文様「和柄」」
https://www.hansoku-create.jp/rp/wagara.html

nippon.com「日本の伝統文様」
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00478/


物件名:グラン姫路
設計:株式会社リオ・コンサルティング
施工:株式会社エムケイファイブ


陰翳WEBブック表紙

ハンドメイドによるオーダータイル「陰翳」
詳しくはこちらのWEBブックをご覧ください
>「陰翳」WEBブックを見る

施工例紹介ページでは、両脇に使われたタイル「ぺルラ-禅」の写真もご覧いただけます。
> 施工例紹介ページはこちら

タイルづくりの現場から

タイルづくりの現場 タイトル

タイルがどんな風に作られているのか
知っていますか?

タイルの原料

元は、こんな土のかたまりや、顆粒状のもの。

成形、施釉、焼成

さまざまな工程を経て、空間を豊かに彩るタイルができあがります。

「タイルパーク」を運営するわたしたち「TNコーポレーション」では、自社工場で日々たくさんのタイルをつくっています。

焼き上がったタイル

ツルツルとしたフラットなタイルも、立体的、ゴツゴツとした凹凸、窪みのあるタイルも、大胆なレリーフもあれば、見る角度でかすかに現れる模様のタイルも、表面の形状は実にさまざま。

真っ白のシンプルなタイルも、ビビットカラー、淡い色、ラスターがキラキラと輝くタイルも、はたまた、マットで落ち着きのある質感のタイルも、ぱっと見は大差ない材料からできているように見えても、 面状と釉薬の組み合わせで、焼き上がりは実に多様多彩に変化します。

原料となる土、カタチと面状、そして釉薬と施釉方法、最終的な焼き、炎。

全ての工程において、長年の経験とそこから得た知識をいかし細かく調整。最後に火の力を借りて、やっとタイルは焼き上がります。


わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら紹介。
一般的なタイル製造工程の説明とはちょっと違う、知らない方でも入りやすい内容にまとめています。

現場紹介イントロ

introduction
TN 自社工場と美濃焼の産地

タイトル 原料編

第1回 原料編
タイルの形になる前の原料にフォーカス

タイトル 成形編

第2回 成形編
タイルのカタチや表面の形状をつくる

タイトル 成形番外編

成形【番外編】
手作業で一枚一枚つくる「タタラ成形」

タイトル 施釉編

第3回 施釉編
釉薬の掛け合わせでできる、繊細な色表現

タイトル 施釉番外編

施釉【番外編】
タイルにフリーハンドで描く絵付け

タイトル 乾燥~焼成編

第4回 乾燥~焼成編
じっくりと時間をかけ進む、乾燥から焼成

タイトル 焼成番外編

焼成【番外編】
トンネル窯の中はいったいどんな風?

タイトル 品質検査編

第5回 品質検査編
目視による選別作業と、詳細な測定検査

タイトル 加工・梱包編

第6回 加工・梱包編
小さなタイルを並べてシートを作る

タイトル サンプル出荷編

第7回 サンプル出荷編
サンプルをいち早くお届け!無料の理由とは

タイトル 倉庫編

【番外編】 倉庫と作業場
新倉庫は派手な異空間!奥で行っているのは?

【続・番外編】 倉庫と作業場
倉庫でパネル撮影も!プロの力は偉大

第8回 「土練機」でつくる湿式タイル
今、あえて手のかかるものをつくる

第9回 タイルカット編
きれいにカットするには?新サービスも始動

第10回 窯の大掃除
年末年始はトンネル窯もお休みしてメンテナンス

焼き上がるまでの過程を知ることで、
今よりもっと、タイルが好きになるかもしれません。

あまり興味がない方にも、
ほんの少しだけ、魅力が見えてくるかもしれません。


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※工場の生産の都合等により、ご希望に添えない場合もございます。予めご了承ください。

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