良質な原料、陶土に恵まれ、古くから「美濃焼」の産地として栄えてきたこの地域、岐阜県の東濃地方。
なかでも多治見市は、モザイクタイル発祥の地と言われ、モザイクタイルミュージアムをはじめ、岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO、美濃焼ミュージアムなど、焼き物に関する施設やギャラリー等がたくさんあります。
多治見の街なかを歩いていると、昔ながらの喫茶店や飲食店、美容院や雑貨店なんかのお店はもちろん、普通のお宅の外壁にもかわいいタイルや、かっこよくて渋い、ステキなタイルが目に入ってきます。
休日の朝にぷらっと散歩していたのですが、個人のお宅を勝手に撮影するのもあれなので…ビルや店舗のタイルを中心にご紹介します。
多治見駅すぐ南側にある「ながせ商店街」。
このながせ通りにある、商店街の新しい顔が「ヒラクビル」さん。
昔は時計や宝石・メガネを扱うお店だったそう。レトロでいい雰囲気の外観。
リノベーションされ、本屋さんやカフェが入って、シェアオフィスやレンタルスペースなんかも。
建物の中、これがまたタイル好きにはたまらない仕様になっています。まだ営業時間前だったので、残念ながら中の様子は詳しくご紹介できませんが、「ひらく本屋」「喫茶わに」で調べてみてください。素敵なタイルがいっぱいでてきますよ。
画像引用元:@hiraku_bldg ヒラクビル
確か、本を喫茶スペースに持ち込みOK。タイルいっぱいの空間で、ゆったりとお茶を飲みながら読書。すてきなときが過ごせそう。
ビルの片隅には、可愛らしいタイルシンクが!赤い金魚タイルを一目見て、これは…と。あとで調べてみると、やはり「作善堂」さんのタイルシンクでした。
写真のようなカラフルでポップな色使いのタイルシンクをよくみかけますが、シンプルなものもあります。ときどき、作善堂さんのタイルシンクを見つけると、タイルパークのタイルどこかに使われていないかな? と、思わず探してしまいます。
突如あらわれた、タイル張りの可愛らしい三角屋根の小屋。
小屋の中には本が少し置いてあり、「まちなかほんだな」とあります。
ここにある本は自由に持ち帰っていいそう。
読まなくなったけど、誰かに呼んで欲しい、そんな本を次の人へつなぐ、すてきな場所でした。
様々な黄緑色、幅も2種類ミックス貼りされています。置かれていた植物と屋外の空間に、よく馴染んでいました。
写真を撮り忘れてしまったのですが、床の正方形のタイルもいい色でした。ちょっと黄色や茶色が混ざった芝生みたいな色合いの、色幅の大きなタイルが張ってありました。
通りを1本入るとレトロな小さなビル。
1階は美容院。自宅兼、店舗でしょうか。
よーく見るとこのタイル、なんと虹色に光っているではないですか!
遠くからなんとなく見ただけだと、オフホワイトかグレーのような感じだったので、よく気にして見てないと、うっかり通り過ぎてしまうところでした。
手前ではなく、奥の柱の部分を見てもらうと、紫、ピンク、黄色、オレンジ、緑、水色…、いろんな色が入っているのがよくわかるかと。
私の実家(お隣の愛知県)も美容院なのですが、うちの外壁は45角のプレーンな白のマットなタイル…。
ここはさすが焼き物のまち、使うタイルがひと味違います。こだわりを感じますね。
一方でこちらは床屋さん。
青。
なかなか見ない、濃く、強い青。
藍色、縹色(はなだいろ)? なかなか見ない男前な青色が目を引きました。
面状は、ラフな面状の2種類ミックスですね。
ちょっと休憩 ―。
商店街の中に突如あらわれた大きな「かっぱ」。。。
「おりべかっぱ広場」とあります。多治見市に伝わる河童伝説にちなんで、かっぱの像がお出迎えしてくれます。
おりべは、美濃焼の一つ「織部焼」の「おりべ」。
織部焼といえば、この特徴ある深い緑色。その織部色したかっぱの焼き物でした。さきほどの三角小屋のタイルも、織部の緑っぽいタイルがありましたね。
ながせ商店街の中でシンボル的な存在、Y字路に建つこの建物。
カラフル!
こんな陶壁も、モザイクタイル発祥の地、多治見ならではですね。
カラフルといえば、こんな虹もありました。
モザイクタイルでてきた、とても可愛らしい虹。
さっきの壁と違って、近寄って見ることができるので、ぜひ見つけて間近で見て欲しいです。1枚1枚に、いろんな釉薬の表現が見えて、面白いです。
古いけどなんか新しくて、新しいけどなんだか懐かしい、そんなタイルが溢れる街中。古くからある建物も、新しい大きなビルにも、いろいろな顔をしたタイルが見られます。
商店街をでて、ちょっと街中から離れたところを車で走っていても、 いろいろな タイルが目に入ってきますよ。
地域のゴミステーションまでもが、タイルアート!
地元愛・タイル愛の溢れるボランティア団体の方が、地元タイルメーカーから無償で提供されたタイル(廃番品など)で、殺風景なゴミ置き場を美しく装飾されています。
帰り道…、いつも気になる大きな看板?
多治見市街地から少し北の方を望むと、山の上に、「土と炎」の巨大な赤い文字。(ちょっと写真がわかりにくいですが…)
岐阜県県東濃西部総合庁舎の外壁で、「国際陶磁器フェスティバル美濃」のPRのために描かれたものだそう。
「土と炎の国際交流」をイメージし、「炎」の字は縦約6メートル、横7.7メートルの大きさもあるそうです(参考:朝日新聞デジタル)。
今年もこの季節がきました。
「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」
日本を代表する陶産地である岐阜県多治見市・瑞浪市・土岐市・可児市を舞台に、1986年から3年に1度開催している世界最大級の陶磁器の祭典。
メインイベントの「国際陶磁器展美濃」は、世界中の国と地域の作品が一堂に会す展覧会です。
美濃焼の歴史や魅力、地域の風土を存分に感じ、楽しむことができる、4市の陶磁器産業・地域・文化に密着した事業も多数開催!
【開催期間】
2024年 10月18日(金)~ 11月17日(日)
【メイン会場】
セラミックパークMINO 展示ホール(岐阜県多治見市)
今週末開催!こちらもぜひ
「たじみ陶器まつり」
” たじみ陶器まつり” は、多治見市内で年二回開催されるやきもののお祭りです。先人達に感謝を込め、出店者と来場者のみなさん、地域のみなさんが一緒になって盛り上げるお祭りです。
「第81回 たじみ陶器まつり 秋」
【開催期間】
2024年 10月13日(日)・14日(月・祝)
【メイン会場】
多治見美濃焼卸センター(岐阜県多治見市)
「春」は本町オリベストリート、「秋」は多治見美濃焼卸センターと、秋季開催の会場は少し街中から離れた陶磁器商社が集まる場所。
「本町オリベストリート」は、多治見駅から徒歩10分ほどの、レトロな町並みでおしゃれな焼き物のお店がいっぱいのスポット。
まちなかでアートを味わう「まちなか美術館」が、12~14日に同時開催されます。
先にご紹介した「ながせ商店街」と一緒に、多治見、焼き物の街めぐりを、ぜひ。
この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。
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焼き物らしい味わいのボーダータイル 。RCY-02あたりは、ブログ前半でご紹介した「三角小屋」にあったタイルのような雰囲気、ちょっと渋みのある黄緑色。
緑が3色ありますが、どれもオススメです!
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