若干変なタイトルですみません(笑)
TNコーポレーション社内にて先月からはじまった「タイルの基礎知識 勉強会」。第2回目「タイルの製法や材質」のお話、前回のブログでは「製法」と「焼成」のところまで書きましたが、続きの「材質」と「釉薬」についてまとめました。
(前回のブログ「製法」と「焼成」のお話は… >>>こちらから)
現在はほとんどが「Ⅰ類」
まずは材質(吸水率)でのタイルの分類のお話。
「磁器質」「せっ器質」「陶器質」
2008年のJIS改正前までは、このように分けられていたのですが、今はこのような呼び方はしなくなりました。
JIS改正によって測定方法が自然吸水から強制吸水(煮沸法または真空法)へ変更されて、さらには磁器質、せっ器質などの呼び名からⅠ類~Ⅲ類という呼び名に変更されてしまったのです。私なんかは、磁器質といわれてもピンとこないのに、さらにわかりにくくなってしまいました…(; *_*)
Ⅰ類(磁器質)
吸水率:3.0%以下
1230℃以上で焼成され、緻密で強度のある材質
吸水性がほとんど無いため水に濡れる場所での使用にも適しており、
以下の2つに比べて用途も広い
Ⅱ類(せっ器質) 吸水率:
10.0%以下 磁器質に比べると
若干の吸水性があるため、
プールや浴槽、屋外床面での使用にはやや適していいない
磁器質に比べ暖かみのある
やわらかい発色が特長 【商品例】
嵐山、
ダンボ、
睡蓮、
ピカソ、
タンブルブリック 等
Ⅲ類(陶器質) 吸水率:
50.0%以下 吸水性が高いため屋外での使用は適さない場合が多いが、
低温焼成のため
鮮やかな発色を作れるのが特徴
国産タイルには少ない材質
【商品例】
サブウェイ、
メトロ、
モザリア、
ブールバード、
ゼリージュ 等
タイルパークで取り扱っているタイルは、吸水率が3%以下と極めて低く、用途の広い「Ⅰ類」のものが多いです。
カタログで見ると
「BⅠ類(磁器質)」と記載していますが、この
「B」は
“プレス成形”(乾式製法のタイルということ。詳しくは
前回のブログを見てくださいね)で作られているということを表しています。
厳密に言えば、Ⅰ類=磁器質ではないのですが(旧規格で言う、吸水率が1%から3%のせっ器質もⅠ類に入ってしまう)、わかりやすく「BⅠ類(磁器質)」「BⅡ類(せっ器質)」のように表記しています。
勉強会では実際にタイルを棒で叩いてみて、材質による音の違いを聞かせてもらいました。高温で焼かれ、かなり焼締まったⅠ類(磁器質)のタイルは「キンキンッ」というような甲高い音がしました!音の違いを聞いてみたい方は、こちらの動画へどうぞ(勉強会での一コマです)。
↓ ↓ ↓
https://youtu.be/00cDf2q1ztg (YouTubeにジャンプします)
あと、昔はタイルを舐めて材質を確かめることもあったとか…。磁器質のタイルは舐めても舌がつかないけれど、吸水率が高い陶器質のタイルは、舌をあてるとスッと水分をもってかれるからわかるそうですよ(笑)
多種多様な釉薬、施釉方法。無釉もあります
タイル表面の釉薬(うわぐすり)の有無によって以下のように分類されます。
施釉タイル…表面に釉薬(うわぐすり)を施したタイル
色・色ムラ、模様をつけたり、ツヤや光沢をだしたり、様々な質感を表現する。
コーティングすることで表面からの吸水を防ぎ、割れにくくしたり、汚れを付きにくくするといった防汚効果もある
無釉タイル…釉薬(うわぐすり)を施さず、素地がそのまま表面となるタイル
無釉タイルの色には、粘土自体に含まれている鉄分などの呈色によるもの(土もの)と、白色の素地に顔料(酸化金属やその精製混合顔料)を添加配合して着色するもの(練り込み)がある
タイルパークで取り扱っているタイルの大半は”施釉タイル”。無釉のタイルは、杉綾と大判床タイルの一部のみです。T2 PROTO. LAB(開発チーム)のハンドクラフトタイルにも一部、土本来の素材感をいかした無釉のものがあります。
【主な釉薬の種類と特徴】─────────
● 透明釉
釉薬の基本的なもので、石灰釉、亜鉛釉などの呼び名がある。
無色透明でツヤのある仕上がりに
● マット釉
微細な結晶や気泡を生ずるようにした釉薬や、半融状になるよう調合されたツヤ消し釉薬(全くツヤがないわけではなく、半ツヤ)
【商品例】サブウェイーマット、ニューヨークシリーズ
WEBブック「マットタイル特集」は… >>> こちらから
● 貫入釉
釉薬と素地との焼成中の収縮率の差によって、釉薬に細かいヒビが入るようにしたもの
【商品例】エルサ、魁、ヘリテイジ(セミオーダーサービス)
「ヘリテイジ特集」は… >>> こちらから
~貫入の美しさ ~
陶磁器における貫入とは釉薬の表面にできたヒビのことですが、焼きものの見どころの一つ。ガラス質の釉薬に入った貫入は、光を受けて様々な表情を見せ、日本や中国では昔から鑑賞上での重要な見どころとなっています。
その美しさに魅せられ、精進されている若い陶芸作家さんもたくさんいるとか…。
● 結晶釉
釉薬の一部が溶融状態から冷えていくとき、結晶を析出(せきしゅつ)するようにしたもので、鉄や亜鉛などが使われることが多い
【商品例】式部、トルテローニ、大観、甚、クリスタ
● なまこ釉
二重掛けの釉薬で、下釉の上に類似の釉薬を上掛けし、釉薬の流動によって斑紋や流紋があらわれたもの
【商品例】余白
~ 伝統の海鼠(なまこ)釉 ~
斑点やもわっとした模様が特徴、海鼠に似ていたことから付けられたといわれます。
中国、日本で美術陶磁に多く使われていますが、とくに信楽焼などに多くみられます。(「海鼠釉 信楽焼 火鉢」でネット検索すると、きっと見たことのあるキレイな青い火鉢がでてきます)
海鼠釉は温度に対してすごく敏感で、ある一定の温度や条件が揃わないときれいに発色しないそうですよ。
● ラスター釉
光彩を発するようにした釉薬を700℃程度でタイル表面に焼きつけたもの。他にも各種手法あり
【商品例】楽(ガク)-プレーン、絢爛
~ キラキラと輝くラスター釉 ~
一度焼き上げた後、ツヤのあるラスター釉を上から掛けてもう一度焼成するという、大変手間のかかる方法で施します。水たまりの上でオイルが虹色に輝いて見えるのと同じような現象で、七色に変化してみえます。
バブル期(1980年代後半)には数多くの建物の外装にラスター釉のタイルが使われていたそうです。いまでは内装使用がほとんどのようですが、キラキラはポイント使いでも十分に目立ちそうですね。
□ 施釉方法に特徴のあるタイルを過去のブログでもご紹介しています >>> こちらから
今回の勉強会でも意外と知らないことがたくさんあり、とても勉強になりました。
さて、次回の勉強会は「タイルの種類 第2弾(形状や面状について)」です。二丁掛けとか45二丁とかときどき聞くけど、いまいちよくわからない…しっかり聞かないと (^_^;)
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物を作る時には、いろんな無駄が出ます。そしてそれは廃棄されます。
我々タイル製造も、多くの廃棄物を出しています。
タイルを生産するために釉薬を使用します。
不足が許されないものもあり、どうしても余分に発注し、余ったものを釉薬メーカーに引き取ってもらっていました。
しかし地域の処理場が環境の問題から引取できなくなり、余った釉薬は行き場をなくしました。
今までは、ブースを洗浄したものを廃棄するためにフィルタープレスで絞ってそれを原料(土)に戻し粘土の代わりとしてリサイクルしていましたが、一定量を超えるとこれも引き取り拒絶となり、余った釉薬は行き場をなくしました。
現在は福島原発のように工場の敷地内にどんどん処理されない廃棄釉薬が増えており、このままではタイル産業として継続することが困難になることも想定されます。
そこで今回、リサイクルの枠を超えた部分について新たな用途として下サビ(釉薬の深みを出すために使われる下掛け釉薬)として活用することを検討しています。
成功すればタイルの価値を上げると同時に廃棄する量がへることになります。
このような取組をアップサイクルと位置づけ積極的に展開していきたいと考えています。
1回目はボロボロな状態でしたが、2回目は少し改善されています。次は切は止まると思います。
この廃棄釉薬を活用したタイルが、商品として出せる状態になったら、アップサイクル商品として紹介したいと考えています。
生産する色により、傾向が変わる場合もあるので、調整も必要ですが、なんとか価値あるものに仕上げたいです。