そのタイル、乾式?湿式?

TNコーポレーション社内にて先月からはじまった「タイルの基礎知識 勉強会」。月1回、約半年間、講師の方をお招きしての講習会です。第2回目の今回は、タイルの製法や材質についての話をお聞きしました。

「湿式還元せっ器質施釉二丁掛ラフ面 t=13」?!
これはいったい…(笑)

今回のお話はここから始まりました。
これでどんなタイルかを表しています(タイル業界2年目の私にも一応全部わかりました(ホッ))。

●「湿式」 → 製法(乾式製法or湿式製法)
●「還元 」→ 窯での焼成方法(酸化or還元)
●「せっ器質」→ 材質(素地の吸水率)
●「施釉」→ 釉薬(ゆうやく=うわぐすり)の有無(施釉or無釉)
●「二丁掛」→ 形状(150角、45二丁、六角形、ボーダー…など)
●「ラフ面」→ 面状(フラット面、ラダー面、磨き面(鏡面)…など)
●「t=13」→ 厚さ( t は thickness の頭文字)

昔、タイルメーカーの営業をされていた講師の方、開発局に提出する見積りにタイルの名称を実際にこんな風に書いていたそうですよ。
今回は、製法、焼成、材質、施釉のところまで教えていただきました。


タイルパークのタイルは「乾式」がメイン

タイルの製造方法のお話。
製法は大きく分けて2つ、「乾式製法」と「湿式製法」があります。

● 乾式製法

素地の泥しょうを脱水・乾燥させ顆粒状にしたもの(坏土と呼びます)を、金型に充填し、高圧プレス機で押し固めて成形する方法。
プレスして成形する乾式タイルの裏足*は、スタンプ状になっています。

*裏足…タイルの接着がいいように、裏側に付けた凸凹のこと

設備さえあれば低コストで大量生産ができ、元々水分がほとんど無い原料から作られるために、焼成後の寸法精度も高く品質が安定しています。
タイルパークで取り扱っているほとんどが、「乾式」製法のタイルです。

● 湿式製法

原料に、粘土・添加物・顔料などを調合、水を加えながら均一に練り、土のかたまりをつくります。それを真空押出成形機で板状に押し出して成形する方法です。
湿式製法のタイルは、通常2枚のタイルが裏足部分でつながった状態で成形されるため、焼成後分離して1枚のタイルにします。裏足には、筋状のくぼみが見られます。

昔ながらのシンプルな製造方法である湿式製法には、土の持つ魅力が詰まっています。焼き物特有の味わいや、温かみのある表情が魅力です。

タイルパークで販売中の湿式タイル
ブログでもご紹介しています! >>> こちらから

あと、「鋳込み」という成形方法があるそうです(知らなかった…)。立体型な形状でデコボコしていたり部分的に飛び出したりしてるタイル、ときどきインスタで変わった形をしたタイルを見かけるのですが、多分あれ(どれ?!)が鋳込み成形なのかな、と。
石膏型に泥しょうを注入し焼き物を成形する、陶磁器製造の伝統的な成形方法の一つだそうです。


長~い「トンネル窯」での焼成

製造工程順ではないですが、次は「焼き」のお話。
タイルパークの工場にもある「トンネル窯」。トンネル窯での焼成は、乾燥させたタイルを台車に高く積み重ねて、ゆっくりと移動させながら20~40時間かけて焼いています。

世界的には「ローラーハースキルン」という焼成が一般的だそうで…。くるくる回るローラー(物流センターや焼き菓子工場にあるみたいな?)にのせて焼いていく、とか。昔は我がTNの工場にもあったそう。
タイルを重ねずに平置きで焼成するので、30分~2時間で焼き上がり。早い!!
でも…短時間で均一な焼成が可能となった一方で、焼き物ならではの風合いの表現が難しくなった、とも…。

トンネル窯では、台車に積まれ長くじっくりと時間をかけて焼成されたタイルは、台車に置かれた位置(上の方か下の方かとか)でも色の出具合に差が出たりするということ。でも、そこがまた魅力でもあり…。微調整による炎の焼きは、やはり焼きものらしい仕上がりで味があります。

「窯変(ようへん)」という言葉を、タイルパークで扱っているタイルの商品説明の中にも時々使っています。これは窯の中で陶磁器に生じた色の変化のこと。窯の炎による現象であることから、「火変わり」とも呼ばれます。
もともとは予期しない変化のことを言うのですが、窯変のタイルはあえて変化を求めて作為的に行っています。
その色の微妙な変化は、やきものとしてのタイルの色彩をより深く、味わいのあるものにしてくれるのです。
先ほど、”湿式タイルには焼き物特有の深い味わいがある”という話をしましたが、乾式のタイルでも、製造工程でひと手間もふた手間も加えたり、 窯変の魅力を最大限にひき出す技術があれば、焼きものらしさあふれる仕上がりが可能になるのです。

この辺の話は、「釉薬(ゆうやく)」とも深く関係しているのですが…
一旦ここまで。
続きの「釉薬」と「材質」の話は、次のブログでお伝えします。
<(_ _)>


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