タイルを選ぶとき、まずは「色」、で探すという方が多いと思います。
「タイルの色」=「釉薬(ゆうやく)」
焼き物であるタイルの色は、とても細かな釉薬の調合によってうまれます。
ここでは、日々のタイル製作現場でおきている、色開発の舞台裏を、何回かにわたりご紹介しております。
前回のお話はこちらから >>>「陶芸の器とは違う、タイルに合った釉薬づくり」
桜満開、タイルも春色満開?
ここ美濃焼の産地、岐阜県東濃地方はもう桜は散ってしまいましたが、みなさんのお住まいの地域はどうでしょう。まだ蕾、というところもあるでしょう。ウキウキ、ワクワク、でもちょっと憂鬱、そんな季節ですね。
そんな季節に合わせた色のタイルを、釉薬チームに相談して試作品をいくつか作ってもらいました。


テーマは「桜」色でしたが、このピンク・白・緑の3色団子カラーが気になってしまい、「花より団子」イメージで写真を撮ってみました。

左の写真、手前が3色団子で、奥が桜の木のイメージ。この写真に、AIにお願いして団子とお茶を生成してもらいました。(休憩時間に撮影用にお団子を買いにいったのですが、ちょうど3色団子だけ売り切れでした…残念)
右の生成写真は団子が主役になり過ぎてしまったので、それをちょっと控えめにしてタイルを目立つように修正したのが、冒頭のイメージ写真です。
アップでもやってみました(タイルを団子に見立てて…)
最近のAIは、すごく上手に雰囲気に合わせて生成してくれるので、とっても重宝しています。ちょっとタイルの大きさとの比率がおかしいのはご愛敬 …(団子が大き過ぎたり小さかったと)。
タイルの表面に凹凸があってキラキラしているのは、実は釉薬。素地(タイル本体)の表面はフラットで、釉薬だけでこんな面白い表面が作れるそうです。
形状は「ピノグリ」「ぺルラ-スティングレイ」という商品のカタチで、152×84mmのちょっと変わった扇形です。
「ピノグリ」という商品には、元々ピンクというか、エンジに近い色味のもの(下の写真: PG-3 )がありますが、彩度を抑え、優しく落ち着きのある雰囲気の、使いやすい色・質感に仕上げています。

トンネル窯の中でおこる化学変化によって様々な表情に焼き上がる「窯変」(ようへん)による奥深い発色、色幅をもたせて作ってあります。モワモワっとした感じの色の出方が特徴的です。
釉薬で表現できる模様って?
ピノグリは控えめなモワっと感、いわゆる色むらですが、もっと結晶を強く出したり、いろいろなアレンジが釉薬の調整で可能。釉薬チームのマイスターの手にかかれば、いろんな模様が再現できます。

こちらは結晶が強めに出ているタイプ。ピノグリより斑点模様が際立っています。さらに少しメタリックな質感もあって、高級感があります。

斑点模様ではなく、点々を綺麗に出したもの。イチゴチョコミント柄ですね。美味しそう!チョコ少な目なやつもいます。(なぜか食べ物ばかりに見えてしまいます)
ちなみにこの点々は、”鉄分” だそうです。
釉薬や土に含まれる鉄分が焼成時に酸化し、黒や褐色の点として表面に現れたもの。「鉄粉」(てっぷん)と呼ばれます。白いプレーンなタイルでは、鉄粉が少しでも出たら不適合品となってしまいますが、これは狙って出したパターン。陶芸作品では土の風合いを生かすために、あえて鉄粉の出る土が使われることも多いです。

こちらは斑点ではなく、モワモワを最大級に出して、華やかなマーブル模様に。派手!汎用性はなさそうですが、壁面装飾として、他にはない、個性的な空間をつくってくれそう。
再びAIにこのタイルで施工イメージを作ってもらいました。

「ピンクのタイルと深いグリーンのラグのコントラストは、この空間の大きなポイントですよね。くすんだピンクの壁に、落ち着いたグリーンが加わることで、甘くなりすぎず、都会的で洗練された印象が生まれていると思います。」(AI談)
淡いピンクのマーブル模様と独特な形状を最大限に活かし、タイルを壁一面に美しく敷き詰め装飾したブティック。優雅で個性的な空間ができました。

グリーンバージョンでも作ってみました。今度はタイルの丸い方を下に向けて配置。
「大理石の重厚感と、職人技が宿るタイルの繊細な揺らぎ。光を纏うマーブル模様が、洗面室を美意識の宿る特別なサンクチュアリへと昇華させます。」(AI談)
サンクチュアリへと昇華…って、ちょっと大げさですが。。。
均一ではない、手仕事ならではの贅沢を感じられるタイル。計算し尽くされた釉薬の配合が、洗練された空間に工芸品の深みをももたらしてくれるのでは。

こんな独特の模様でキレイな色のタイル、すごくステキだけれど、わたしたちタイルメーカーとしては、通常在庫としての商品化はちょっと難しいところ。
でも、この空間のためだけの、ここに合わせるためだけの、特注タイルだったら、アリ、ですよね。
しかも、タイルの面状を金型から作るとなると費用は膨大になってしまいますが、でもこれは釉薬だけで表現できるので、コストも抑えられます。

最初に紹介した3色団子のピンク。アップでイメージを生成してみました。
表面は白いシュガーグレイズがかかったお菓子のよう。釉薬でできた少し凹凸のある表面が、光でキラキラっとします。
このタイルの形状が描く美しい曲線と、光を反射して輝く表面のテクスチャーは、シンプルでモダンな空間に一点豪華なアクセントを加えるのにもぴったりですね。

ゴールドや、アンティークの真鍮、大理石調の床とも相性が良さそうです。洗練された「大人可愛い」スタイルとして、また、北米などのハイエンドな市場でも注目されそうな質感です。
この凹凸、粘り気など性質の異なる複数の釉薬の組み合わせで出来ています。詳細は秘密…
複数の釉薬を重ねる「斑点掛け」は、成分や厚みの差が生む力により、焼成時に独自の隆起や縮れを誘発します。
釉薬の縮れ(釉ちぢれ・釉はげ)は、焼成中に釉薬が縮み素地から剥がれてダンゴ状になる現象。この現象は一般的に「不良」とされることが多いですが、陶芸の技法や表現としては、独特な「味」や「表情」を生み出す要素にもなります。
マーブル模様のタイルも、ほんの少しだけ表面に凹凸があります。(動画をみていただいけるとよくわかります)
もともと成形段階から表面に凹凸をつけて、ゆらぎの面状をつくるタイルもありますが、釉薬だけでもこんな表現ができるのです。単なる着色ではなく、熱による釉薬の化学反応が、写真のような立体的で奥深い質感を創り出します。
今回は、春の桜をイメージした色、それにプラスした焼き物ならではの釉薬表現を交えてご紹介しました。
この色が欲しい、というところから、単純に色だけでなく、ツヤなのか、マットなのか、さらには、どんな質感にして、どんなイメージの空間にしたいのか。
釉薬だけでも、多彩な表現が可能ですので、ぜひご相談ください。
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■ GLAZE LAB(釉薬開発)
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この記事の執筆者:吉田(タイルパークスタッフ)
カタログやコンテンツ記事などの各種広報物作成を担当。出版・制作会社を経て、転居を機にタイル業界へ。タイルの魅力を模索中。
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式部(しきぶ)
こちらも窯変の奥深いピンクがあります。緑がかったアイボリーの1番色も春っぽくていいです。一部の色は限定在庫なので、お早めに!
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