わたしたちがつくるタイル、そのつくっている現場の日常を、写真、動画を交えながら、工程を追って順にご紹介していきます。
第1回目は、タイルの形になる前の「原料」に、フォーカス!
工場の外にある滑り台のようなこれ。さて、いったい何をするものでしょうか? 答え合わせは後ほど…
タイルの原料 = “坏土”
原料となる土は、原料屋さんから仕入れています。
といってしまうと、ここで話が終わってしまうのですが…
原料は、やはり原料のプロにお任せするのが一番なのです。
「タイルのクオリティは素地で決まる」とも…。
上の写真、右のスコップに入った顆粒状のもの、こちらが内装用タイルに幅広く使用している原料です。タイルの原料を “坏土” はいど と呼びます。
サラサラ~ッと落ちて、砂みたいな感じです。
私たちの工場でつくるタイルのほとんどは、「乾式製法」という方法でつくっています。サラサラの顆粒状の坏土を、高圧プレス機でギューッと押し固めてタイルの形をつくります。
「乾式製法」と、もうひとつが「湿式製法(押し出して成形する製法)」、タイルの製法は大きくわけてこの2つがあります。
▼ タイルの製法についてはこちらのブログもどうぞ
>>> そのタイル、乾式?湿式?
先ほどの写真の左側は、練土。一部の手作りタイルで固まりの状態で原料屋さんから仕入れ、ここからさらに手で練って、空気を押出し土の固さを均一にし、整えてから使います。
この時使っていたのは、右の一般的な素地(タイルの生地)より白くて綺麗な土でした。どんなタイルをつくるか、で、いつもとは違う土を選んで使ったりします。
▼ 白い土が採れる、美濃の鉱山についてはこちらも
>>> 山岡キャニオン
さて、冒頭の写真の答え合わせです。
A.運ばれてきた坏土を、工場内へ運ぶコンベア
でした!一日に何回も動いているわけではないので、デザイン室にいる私は、このブログに載せる動画を撮るときに初めて、実際に動いているのを見ました(笑)フタも曲ってしまっていて、だいぶ年季が入っている様子…、本当に動くのかしら?…なんて思っていましたが、しっかりと現役で働いていました。
原料はコンベアで上っていき、上の窓から工場内へ。4つある、大きな坏土タンクまで運ばれます。
4つのタンク、1つずつ別の原料が入っているわけではなく、その時につくっているタイルの原料を2つのタンクに入れておきます。1つが空になってしまったら、もう1つのタンクで…という訳です。
土について、もう少しだけ詳しく
タイルの原料=坏土(はいど:陶磁器の素地(きじ)を作る土のこと)
「坏土」に求められる要素
① 形をつくりやすい(可塑性及び乾燥強度)
… タイルを成形しやすくしたり強度を与えたりする粘土質の原料
② 焼きやすい(ガラス質の形成力)
… 焼き上げたときにガラス状をつくる媒熔原料
③ 耐火度が高い(非可塑性)
… 高温で焼き上げるときに変形・破損したりしないようにするために配合される原料
この3つの要素を満たすために一般的に使用されているのが、粘土、長石、珪石などです。
焼き物であるタイルは、可塑性原料・非可塑性原料・媒熔原料を綿密に計算、配合した原料でできています。
(参考:「タイル活用読本」全国タイル工業組合)
【可塑性(かそせい)】って?
固体に力を加えて弾性限界を越える変形を与えたとき、力を取り去っても歪みがそのまま残る性質。塑性。
安定してタイルを生産・供給するには、原料や素地の品質がとても重要。原材料の配合を少し変えるだけで、できあがるタイルの性質は全く違ってくるといわれます。
焼き物においての土は、命ともいえるほど重要なもの。その土の生産を担ってくださっているのが、製土工場、坏土メーカーさんです。「〇〇陶料」とか「〇〇陶土」という名のつく会社さんがそうですね。
大きな袋(フレコンバッグ)にも坏土が入っています。
トラックにそのまま乗せられてきた坏土は、メインのプレス機で使うタンクへ。
袋に入った坏土は小ロット生産用のプレス機等に、フォークリフトで運んで使っています。
焼き物や陶芸、というと、ろくろを回したり窯に入れて焼く工程なんかを思い浮かべますが、それと同じぐらい重要なのが、はじめの”土を作る”という工程なのですね。
坏土メーカーさん、いつもありがとうございます!
さて、次回は…
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