“貼られてなんぼ” の、タイルです。

TNコーポレーション社内にて毎月開催されている「タイルの基礎知識 勉強会」も第4回目となりました。
タイルの歴史から始まり、製法や材質様々な施釉方法、そして形状・面状と学んできましたが、本当に知らないことばかり…。
さて今回は「タイルの貼り方」です。貼ってなんぼ貼られてなんぼ、貼られてこそのタイル。どんな割付で、どんな目地で…それ次第で仕上がりがかなり変わってしまうことも。
タイルを貼る前にやっておかなければならない大切な”準備”を学びます。

目地割りの種類

基本的なのは、通し目地(芋目地)馬踏み目地やはず張り、のこの3つ。

●通し目地(芋目地)

水平・垂直方向の目地が一直線になるような貼り方
規則正しく伸びるとされる芋の根と似ていることから「芋目地」とも呼ばれる

●馬踏み目地(破れ目地)

横方向の目地は直線、縦方向のタイルを上下に対して互い違いのパターンで組む(半分ずつずらして貼る)貼り方
馬が踏んだ足跡のように交互になっているということが由来

●やはず張り(あじろ張り)

Vの字型に組んで貼っていく方法
「やはず」は矢の端の、弓弦(ゆづる)を掛けるところで、V字型になっていることからきている

「やはず張り」のよく聞く言い方は「ヘリンボーン」。ですが本来は、床の場合はヘリンボーンとはなぜか言わないらしいです。
タイルパークTNコーポレーション)があるこの地域(モザイクタイル発祥の地、岐阜県多治見市近辺)の多くのタイルメーカーでは、「通し目地」は「すだれ貼り(張り)」、「馬踏み目地」はレンガの積み方から「レンガ貼り」などと呼ぶことが多いそう。”芋”や”馬”より、”すだれ”や”レンガ”の方が想像がつきやすくて覚えやすいですね。

目地割りの種類や、その目地におすすめのタイルなど
こちらのブログにもまとめています。
「馬、芋…。目地のお話 」>>> こちらから
「芋目地の魅力」 >>> こちらから


ちょっとここで少しブイレク… 「貼る」と「張る」
前々から思っていたのですが、タイルを「貼る」と「張る」、両方目にするのですが、どちらが正しいのでしょうか…?私的には、接着剤でペタッと貼るイメージから、「貼る」を使っていたのですが ― 。

張る…伸ばし広げる、一面に覆う、いっぱいにする
貼る…平たいものを糊などで何かにつける

建築業界では、「張る」は”のり”を使わないで施工する場合、「貼る」は”のり”を使って施工する場合、で使い分けているという話も…やはり「貼る」、なのでしょうか。
が、タイルを壁や床にはりつける場合は、タイルを一面に広げるという意味で、「張る」を当てることもあるそうで…。
結局は正式なルールや使いわけはないようでした(笑)
ただ、「貼る」は常用漢字ではないということで、「張る」の方を目にすることが多いのかもしれませんね。


いまでは貴重な存在、タイル役物!

普通のタイルを「平物」(「ヒラ」ということが多い)、平物以外の特別な部位に使用するものを「役物」と呼びます。
出隅やタイルの側面を隠したりしてきれいに納めるための特殊な形状で、元々は外装で建物の角に使う「まがり」や「まぐさ」を指すものでした。

外装では出隅がいっぱいありますし、いろんな人の目に入る外観は、とくにキレイに見せたいですからね。内装もまた然り。よくある出隅部分には、「見切り用ボーダー」を使ったり、途中までタイルであとは壁紙とかの場合は、貼り出し部分には「面取りタイル」も。

昔はお風呂もタイル張りが多かったのですが、すっかりユニットバスにかわってしまって…お風呂でもよく使われていた役物たちは、影を潜めてしまいました。
そんないまでは貴重な存在になりつつある役物ですが、タイルパークでは「サブウェイ」タイルの役物なら、10種類以上取り扱っております。

こちらの都会的で洗練された魅力あふれるバスルーム。サブウェイを使ってこんなにも素敵に仕上げていただきました。役物を使ってすべての角を丁寧にキレイに。
お風呂以外ももちろん、キッチンやトイレ、カウンターなど。サブウェイを使うことをお考えなら、ぜひ役物も検討なさってみてください。

その他、見切り材(仕上げ材同士のつなぎ目部分や端部に設ける部材のことをいう)として「ボーダーC」もご用意しております。タイルパークで人気の高いタイル数種類のみですが、ぜひこちらも。

タイルパーク でも一部のタイルにしか役物がないのですが、おおきな物件では、「接着役物」というものを手配するようなことも多いそうですよ。
見切り材としては、樹脂製のものをはじめ、アルミ製や真鍮製、ステンレス製などの金属のものもいろいろとあるようですので、一度調べて見ると面白いかもしれませんね。


割付を考えるときは、目線を読む!

タイルを張る場合、どうしても「割付け」という作業が必要になってきます。どう「割付け」するか…、決められた面にタイルがうまくおさまるよう「タイル割付図」というものを作成するのですが。。。

タイル割付図を作成するの目的は…

・タイル工事を、建築全体を美しく仕上げるため
・施工効率の向上
・無駄な材料、工費の削減
・開口部の位置やサッシ、ドアの形状・寸法など関係する工事などを検討し、納まりをよくするため

タイルの色や模様も考えますが、中途半端にタイルを切らないで、綺麗に仕上げる工夫をしなくてはいけません。
屋内壁タイルに関しては、タイル寸法・目地幅とも規格寸法がある程度決まっており、寸法精度も高いので基本的に目地による寸法調整は行わずに割り付け、割り切れない場合は切り物(タイルを切断したもの)でおさめるそうです。
重要になってくるのは主視線、よく目線がいく位置で考えていきます。

●水平方向の割付

水平方向の割付を考えるときは、よく目線が行く方向が、正面なのか、もしくはコーナーの部分なのかで決めていきます。
正面なら、中心から左右対称に割っていく「心割り」、よく目につく片方の端から割り始める「片割り」で考えます。

●垂直方向の割付

天井まで張り上げる場合は切り物を床にのみこませて、切り口が見えないようにします。
腰張りのときは、上端に片面取りのタイルなど役物を使うようにして、こちらも床に切り物を割付けるようにします。
内幅木を使って仕上げるときには、切り物がでないようにしたいものですが、切り物が出る場合は天端で処理します。

切り物切り物と言っていますが、現場で切り物がたくさん必要なときなんかはとても大変のようで…朝から準備して午前中はずっと切っていて、午後からやっと貼る、なんてこともあると聞きました。

タイル加工屋さんもたくさんあるようですが、タイルパークでも「半マスタイル作成」や「プレカットサービス」をご用意しております。切り物を用意する予定がありましたら、ご注文と同時に受付しておりますので、ぜひご利用ください。

あとは、切り物がでないように、目地幅で少しづつ少しづつ調整してぴったりおさめることも!
縦の目地幅は1.9mm、横は2.2mmとか変えて調節したり、モザイクタイルなんかは、シートなっているものを、端に使う最後の1枚だけシートをわざわざバラして調節したり?!(大変…最終的には職人さん任せだったり?!)

割付をきちんと計画し、正確な割付図を用意、役物や切り物も準備して、効率よく、そして美しく仕上げていただけると、タイルメーカーでもあるタイルパークとしては本望でございます _( . . )_

さて、次回の勉強会は「タイルの施工」についてです。難しそう…


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