その100角タイル、ホントに100mmですか?!

TNコーポレーション社内にて毎月開催されている「タイルの基礎知識 勉強会」、第3回目は「形状」「面状」を中心に学びました。
(第1回「タイルの歴史」、第2回その1「タイルの種類(製法、焼成)」、その2「タイルの種類(材質、施釉)」はこちらからどうぞ)

形状は、実際の寸法に注意!

まずはよくあるサイズから。

正方形、長方形タイル(主に内装、壁面用)
100角
(例:クラフティレジーア100角ホワイトシリーズ
100角二丁
(例:睡蓮-SQ
150角
エルサ陶香オリジン
200角
ピカソハロン湾

タイルパークで取り扱っている四角形のタイルでは、100角タイルは少なく、150×150mmの150角というものが主流となっています。最近では200角も人気があり、昔と比べると大きなサイズが増えてきました。
「100角二丁」の”二丁”とは、2倍ということだそうで、だいたい192×92mmくらいのタイルのことを言うのだそう。
タイルパークでは唯一、「睡蓮-SQ」の長方形のものが197×97mmで、これに当てはまりますが、かなりレアなサイズとなっています。

もうお気付きでしょうか…。そう、タイルのサイズ、かなり曖昧(笑)
100角タイルと言っても、そのままタイルの大きさが100×100mmになっている訳ではないのです。「100角タイル」でネット検索すると、およそ100×100mm前後のいろんなサイズのタイルが出てきます。実寸法で、95×95mm~107×107mm程度のタイルを指すようです。

(…なんてわかりにくい!!(小声))

それはアイツ…そう、「目地」のせいでした。切っても切っても切り離せない関係「タイル」と「目地」…。
カタログ上でタイルの大きさを表記していく際には、目地の幅も含めたサイズで表すことが一般的なようで。「目地共寸法」や「目地込み寸法」と言います。

タイルパークの100角タイルは、実寸法で97×97mmのものがほとんど。3mm程度の目地幅をとって貼ることで、「目地共寸法」でちょうど100mmとなります。
が、しかし、150角タイルの商品はほぼ実寸法も150×150mm…。
海外のタイルは目地を含めない、ぴったりサイズが主流のようで…、タイルパークの自社工場「TNプロダクト」製のタイルは海外でも人気で、たくさん輸出しています。そのため、このようなぴったりサイズも多く存在するのです。
違うメーカーのものを混ぜて使ったりしたときに、施工場所にうまく収まらなかったり、反対に大きくあいてしまったり…知らずに貼ってしまうと後で大きな問題に。
専門の施工業者の方などはともかく、インテリアコーディネーターさんや、個人でDIYされる方などはとくに、目地をどの程度とって配置するか、しっかりと「タイルの割付」を計画・確認のうえ、ご注文・施工をお願いいたします _ (. .)_

モザイクタイル(主に内装)
10mm角
(例:リベルタ
 ※タイルパークで最小サイズ!実寸法=8mmです
15mm角
(例:ラヴェンナモザイクアリウスフェアリー
20mm角
(例:アイシクル
25mm角
(例:楽-プレーンブラックベースモザイク
50mm角
(例:ホワイトシリーズ絢爛プラチナ
  ※ 実寸50mmではなく 、45角や47角が多い
45二丁
(例:長良馬瀬ミッドセンチュリー
  ※外装にも多く使用されるサイズ
丸モザイク
(例:ブイ
六角形
(例:山水ニューヨーク-ヘキサゴンぺルラ-キャンブリック
変形
(例:カーミットアイシクル万華鏡フェザー

モザイクタイルは、タイル1枚の表面積が50平方センチメートル以下のタイルを指します。 およそ1辺のサイズが50mm以下ものが多いです。

上に挙げた中で、20mm角、25mm角、50mm角あたり、1枚1枚のサイズで分けるとかなり曖昧な感じになっておりますが…。モザイクタイルは、あらかじめユニット化したシート状になっているので、ユニット寸法を確認していただければ大丈夫ですね。
タイルパークのカタログでは、モザイクタイル程の大きさでも、「Normal」カテゴリーに載っているものもあるので、微妙なサイズ感をお求めの方は、前の方のページ「Normal」もチェックしてくださいね。もちろん、「Glass」にもガラスモザイクがたくさん載っていますので、こちらも是非。(Normal、Large、Mosaic、Glassの順でカテゴリーに分けて、掲載しております)

屋外壁タイル(主に外装。内装もアリ)
小口平  108×60mm
二丁掛け 227×60mm
三丁掛け 227×90mm
四丁掛け 227×120mm
ボーダー 227×30mm

これらの主に外装で使われるタイルのサイズは、もともとはレンガのサイズが基本になっているのだそうです。レンガ(長手面227×小口面108×厚さ60mm)をスライスしたときに出てくる面の大きさが、外装タイルのサイズになっています。

タイルパークで扱っているのは、基本的に内装タイル(屋外で使えるものもあります)なのですが、サイズ的には二丁掛け、三丁掛けに近いものも結構たくさんあります。
ボーダーは、上の図ではサイズ「227×30mm」となっていますが、40mmでも、見た目が長細い感じですと、”ボーダータイル”と呼んだりします。大き目で細めのボーダーは、スタイリッシュに仕上がるので近年人気の高い形状です。
240×60mm(こちらは海外で主流のサイズ)ですと、リネンフィンセントモット藍里…などなど。
もう少し細長い感じがお好みなら、240×40mmの、エルサプランク
広いリビングや店舗装飾におすすめの、もう少し大き目サイズ、モザリアブールバードメトロ
と、もともとは屋外で用いられていたサイズも、近年では内装用として幅広く使われるようになりました。


ツルっとした表面=タイル ではない

私がこのタイル業界に入るまでは、タイルといえば平らでツルツルとした表面を想像していたのですが…、実はとてもたくさんの面状があることを知りました。

フラット面…単味(砂、シャモットなどの添加物を加えていない)原料から成形されたフラットな面状
布面…主には、麻の布目模様を表面に施した面状
(例:リネン
柄面…柄のついた面状
(例:エルサ遊彩コーン
波面…緩やかな波のような面状
(例: モザリアブールバード
ディンプル面…波面より凹凸の激しい面状
(例:レジーア100角
ラダー面…四辺にテーパーがついている
(例:サブウェイの一部キネティック
すじ面…すじ状の柄を型で成形した面状
(例:大波ペルラキャンブリック
ラフ面…湿式押出成形時に素地の表面を一皮剥いだもの
(例:祇園ダンボ
割肌面(テッセラ面)…乾燥した素地を2つに割って焼成したもの
スクラッチ面…湿式押出成形時に素地の表面を釘状のもので引っ掻いたもの
磨き面(鏡面)…焼成後、表面を研磨して鏡面状にしたもの
(例:カラカッタラヴェンナモザイク
ハツリ面…乾燥素地の表面をノミなどで荒くはつったもの
ブラスト面…焼成後、表面に鋼球や砂などを吹き付けて荒らしたもの
石面…凸凹した石のような面状(緩やか)
岩面・ロック面…石面をさらに激しい面状したもの
砂岩面…天然の砂岩や玄昌石やスレートの面状を模して作られたもの

「スクラッチ面」なんかはとても伝統があり日本建築に馴染み深いものだそうで、「スダレ煉瓦」といわれる旧帝国ホテルで使われた”スクラッチタイル”が有名です。これは表面にスクラッチ加工を施した黄色いレンガで、煉瓦の表面を引っ掻いたスクラッチ模様のことをスダレと呼んでいます。
帝国ホテルに使われたスダレ煉瓦は人気を呼び、その後の建築でスクラッチ面のタイルが流行したそうです。
フランク・ロイド・ライトによって設計された旧帝国ホテル、この中央玄関部は現在、愛知県犬山市にある博物館明治村に移築されています(TNコーポレーションのある岐阜県可児市のお隣のまちにあります)。

↓こちらも是非どうぞ
「フランクロイドライトの帝国ホテル」NO.10 レンガの詳細


実に様々な面状がありますが、現在では模様を付けた金型プレスで成形したり、プリントでいろいろな柄や面状を表現しているものがほとんど。
TNプロダクトの工場で作るタイルは乾式製法(→乾式タイルについてはこちら)なので、上記の面状種類で挙げた例の中で、リネンの布模様などはプリントで表現しています。
金型の形状や成型後の二次的な加工で生み出される面状は様々で、デザインのバリエーションも広がり、また精度も安定しているので、全体的に均一ですっきりとした印象に仕上がります。


外装用だったら気にして欲しい「裏足」

タイルの裏面の形状で気になるのが「裏足」

タイルが接着しやすくなるように、タイルの裏側に付けた筋や凹凸のことを言います。施工後に剥がれにくくするためや、製造段階での効率面でその形状が変わってきます。
外装モルタル施工用の裏足は、独特なカタチで「あり足」と呼ばれます。

外壁で使われる場合には頑丈さが求められるので、接着面が多くなるように、溝の断面は内側に切れ込んだ形になっています。モルタルが裏足のすみずみまで行き渡るよう、しっかりと圧着、落ちないようにくっつけるためだそうです。
接着剤で貼り付ける内装用の場合は、裏足の凹凸が深いと接着剤がいっぱいいるようになってしまうので、裏足の必要性はあまりなく、浅いほうがいいそうです。


さて、次回の勉強会は「タイルの貼り方」についてです。
“目地割り”などを教えていただきます。タイルで空間を素敵に仕上げる為には不可欠な要素。タイルを生かすも殺すも目地割り次第! しっかりと学んでこなければ…(汗)

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