和柄から思い出した故郷、ハンガリーの伝統柄の陶器

TNコーポレーション、東京ショールームのハンガリー出身のスタッフのアンナです。ショールームに置いてあるタイルを見ると日本の伝統や日本人の考え方をどんどんもっと分かってくる気がします。

画像には青い丸い形のタイルが写っています。中央の2枚のタイルは異なる色で、一枚は白、もう一枚はオレンジ色です。どちらにも伝統的な日本の模様が施されています。

ある日、タイルの和風の模様を見て、自分の国の伝統的な模様についてもっと知りたいと思いました。今回はこの調べの結果を紹介したいと思います。

トランシルバニアの文化

トランシルバニアは、かつてハンガリー王国の一部として栄えた歴史を持ち、現在もハンガリーの伝統が色濃く息づく地域です。その歴史は中世にまでさかのぼり、長い年月を経て今日の文化として形作られてきました。中でも、Korond村は、「すべての男が陶芸家」というユニークな伝統を持つ村。ここでは、何世代にもわたって陶芸の技術が受け継がれ、日常の器から祭事用の装飾品まで、すべてが手作りで生み出されています。この村の陶器は、ただの器ではなく、家族やコミュニティのつながりを象徴するものでもあるのです。

テーブルの上に、白地に茶色の模様が描かれた小さな壺が置かれています。壺には蓋もついており、その模様は伝統的なトランシルバニアの花模様です。

Korondの陶器とタイル—手作業のぬくもり

Korondの陶器には、「コロンド模様」と呼ばれる独特の装飾が施されています。幾何学模様や植物、鳥などの自然のモチーフが描かれ、そのデザインには家族の絆、豊かな実り、守護、再生といった意味が込められていると伝えられています。

画像には、伝統的な焼き物の皿が映っています。皿は白色で、中央には2つの青い花と葉が描かれています。皿の縁は茶色の伝統的な模様で装飾されています。

このような伝統的なデザインを見ると、私はタイルと重ねて考えてしまいます。タイルもまた、建築の中で単なる装飾ではなく、その土地や文化のストーリーを語るもの。Korondの陶芸家たちが、一つひとつ手作業で模様を施すように、タイルのデザインもまた、時間をかけて丁寧に作り上げられる芸術なのです。

画像には、茶色のホーロー製の水差しが映っています。水差しの胴部分には、白、黄色、緑、黒の色を使った伝統的な花模様が横向きに描かれています。

伝統と革新の融合—Korondの挑戦

近年、Korondの職人たちは、昔ながらの技術を大切に守りながらも、新しいアイデアを取り入れた作品作りに挑戦しています。例えば、伝統的なコロンド模様を現代のインテリアに合わせたデザインにアレンジするなど、新旧の融合が進んでいます。これは、タイル業界でも同じ。歴史あるデザインを生かしながら、モダンな空間に馴染むタイルが求められる時代です。

画像には青い丸い形のタイルが写っています。中央の2枚のタイルは異なる色で、一枚は白、もう一枚はオレンジ色です。どちらにも伝統的な日本の模様が施されています。

私は、Korondの陶器を見ながら、「伝統を継承しつつ、新しい時代に合ったタイルを生み出すこと」について考えます。古くから受け継がれてきた技術やデザインを未来へとつなげること。それは、タイルメーカーとしても大切にしたい価値観です。

和風のタイルや特徴的なタイルを見たい方が、ぜひ東京ショールームへお越しください。


この記事の執筆者:山中(TNコーポレーション 東京ショールーム担当 )
ハンガリー出身、2022年に仏教の研究で修士号を取得。2022年秋に来日。日本の文化や日本での生活を学びながら陶器とタイルの良さを味わい中。


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