フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築

こんにちは、タイルパークの金谷です。
先日の休みに、豊田市美術館で開催中の展覧会「フランク・ロイド・ライト  世界を結ぶ建築」を見てきました。

近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト。東京の帝国ホテル二代目本館をはじめ、日米を中心に数多くの名建築を手掛けた建築家です。
タイルパークでも「タイルの歴史と文化」のコーナーでライトの名建築の数々を紹介しているので、ぜひこちらも時間のある時にご覧いただければと思います。

水平の広がりを強調する「プレイリースタイル」
ライトの建築は、その建物が建設される土地と呼応して設計されています。そのためすべての建築物に共通した確固たるスタイルというものは意外にも存在せず、時代や場所によって直線的であったり曲線的であったりします。

その中でも恐らく(私を含め)多くの人が「ライトの建築」として思い浮かぶイメージは「水平の広がり」ではないでしょうか。「ロビー邸」や「落水荘」などに代表される、ライトの原風景(故郷ウィスコンシン州の田園風景)が反映された「プレイリースタイル(草原様式)」とよばれる手法で、低い屋根と伸びやかな軒の水平によって、重厚さと軽やかさという相反する二つの要素が共存するライト建築ならではの美しさを表現しています。

落水荘

イメージスケッチすらも部屋に飾っていたくなるほど魅力的です。建築物の直線の連なりと、自然の曲線との一体感。建物自体は世界文化遺産に登録されているものもあるので、雑誌などでもよく特集されて見ることはありますが、今回の展覧会ではスケッチがたくさん展示されているのでとても興味深かったです。

目地を一体化させたデザイン
展覧会の中では、ライトが提唱したプレハブ住宅形式「ユーソニアン住宅」の一部が再現されています。その中で柱部分にレンガが施工されていたのですが、よく見ると馬目地の縦方向にだけレンガと同系色の目地材が塗りこまれ、横目地には目地材が入っていません。水平方向を強調するライト建築らしく、横目地だけを強調した仕上がりになっています。
そういえば帝国ホテルのレンガも、縦筋をつけることで、縦方向の目地を目立たなくさせていました。

※せっかく撮影OKの展示物にもかかわらず、見るほうに意識が向きすぎて撮影を忘れてしまいました。イメージ画で失礼します。

横目地を強調し、縦目地を目立たないようにする。レンガを「構造物の表面に張ったもの」と考えるのではなく、目地のデザインを利用して構造物そのものにフィッティングさせるこの考え方は、タイルの使い方にも応用ができますね。

ただしタイルの場合はレンガほど厚みがないので、目地入れをしないと接着剤や下地が目に付いて美しくないかもしれません。ですが、例えば縦方向の目地と横方向の目地で太さを変えてみるなど、別の方法で水平方向を強調することができるかもしれません。

基本的には嫌われがちな目地ですが、逆に目地を利用してデザインの要素に落とし込むというのも面白そうですね。

タイルパークの商品なら、形がシンプルな「プランク」や「ダンボ」などで試すことができるかもしれません。今月からCADデータの提供も始まりましたので、ぜひ色々なアイデアを楽しみながら割り付けをおこなってください。

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