スペインのアンティークタイル

こんにちは。試作担当の吉野です。

今回はスペインのアンティークタイルのご紹介です。スペインは南部のアンダルシア地方からイスラム教が広まり、8世紀から約800年に渡りイスラム教の支配が続いたイスラム文化の影響を色濃く残す国です。国内でのイスラム教とキリスト教の争いも激しく、イベリア半島を中心に独自の文化を展開していきました。

イスラム教の支配下の中で、スペインで独自に生み出されたスタイルをイスバノ・モレスク様式と呼びます。

簡単すぎる説明で申し訳ありませんが、歴史について語っていると長くなり過ぎてしまいますので、早速タイルの方を見ていきましょう。

15世紀末~16世紀初頭に制作されたクエンカ技法を用いたタイルです。どのような技法かと言いますと、型で模様の輪郭線を浮き上がらせ、凹になった部分に色釉を流し込んで色と色が混ざらないようにした技法です。もともとは手間のかかるカットワークモザイクを簡略化して作ったのが始まりです。 バラバラのモザイクタイルを一枚にしてみた、と言う感じですね。また、宗教上の理由で当初は生物の図像表現が禁止されていた為、組紐文、星形文などの幾何学模様が発展したようです。

多少はみ出してもいますが、しっかり色分けされています。カットワークモザイクの簡略化とは言え、この技法もかなり神経を使って製作されてると思います。作れと言われても正直やりたくはないですが、少し崩れて時代なりの良い味が生まれていますね。壁に掛けて飾ると良いかも知れません。

クエンカタイルだけだと寂しいので、もう一点ご紹介します。タイルではありませんが、プリミティブな文様と質感に惹かれるお品です。18世紀頃にスウェーデンで作られた馬具です。馬の口元のハーネスを繋ぐ部分ですね。シカ科最大の動物、ヘラジカの角から削り出されています。少ししょっぱい香りがします。

幾何学模様は青銅器時代からある古いパターンのようです。プリミティブな感覚が良い感じです。 当時の農村で馬の存在は貴重なものと思いますので、馬具も凝った装飾を施したのでしょうね。 スウェーデン語だと『selknä』です。日本だとなかなか貴重な物ではないかと思います。こちらも壁に引っ掛けて飾ると雰囲気出そうです。

次回もアンティークのご紹介になるかと思います。よろしくお願い致します。