陰影礼賛から学ぶ商品コンセプト

タイルパークの林です。今回はT2の商品開発について紹介します。商品開発とは何でしょうか。ただ手当たりしだいに技術や材料を生かしてものに仕上げることは、商品開発ではなく単なる試作で、その域を超えない限り本物の商品は生まれないのではないでしょうか?今仕上げているハンドメイド商品は、見た目だけでの評価ではなく背景や思いを商品に取り入れようと考え始めました。そのときに出会ったのが谷崎純一郎の陰翳礼讃です。

この商品の起源は7月に訪問した京都に有ります。控えめな色彩と微妙な間、そして時間を超えて価値を伝え続ける京都のような空間をタイルで表したいと考えこの企画が始まりました。しかしどうやってまとめたらいいかわかりません。

陰翳礼讃を読んでみると、当時の当たり前の風景を90年近く前に美と感じ、西洋と比較して自分たちの生き方や考え方を提案している不思議な本でした。そこで表現された日本人の美意識は、今まさに海外から称賛されている日本人の神秘そのものだと感じます。

西洋の進取的な考え方(常により良き状態を願い絶えず明るさを求める)に対し、東洋(日本人)の置かれた境遇に満足を求める生き方。そして暗いに不平を感ぜずその中から美を発見する辛抱強さはまさに日本人のDNAを感じます。

今回の商品ではこのような背景が感じられるものにしたいです。

手作りの造形と原料へのこだわり

単なる造形や色合いではなく、思いの伝わる深い商品に仕上がるように粘り強く勧めていきたいと考えています。