ニューヨークだより 第47回:Stumptown Coffee Roasters

取材:2018年10月   写真/記事:新居潤子

ローカル感漂う閑静な住宅街ブルックリンCobble Hill(コブルヒル)から、以前は消防署だった建物を再利用し、今年7月にオープンしたばかりのコーヒーショップSumptown Coffee Roasters(スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ)をご紹介します。



19世紀ごろに建てられた、ブラウンストーンのタウンハウスが並ぶコブルヒル

アメリカ国内やヨーロッパからの富裕層が古いタウンハウスを購入し、外観はそのままで内装を自分たち好みのモダンなデザインにリノベーションして住んでおり、落ち着きの中に洗練されたハイセンスな街並みが見られます。





住宅の再利用=Recycle(リサイクル)が進むコブルヒルらしい近年のトレンドが、古い建物をよりお洒落に、そして元々の目的とは違った形で再利用するRepurpose(リパーパス)。リサイクルが同じ目的で再利用するのに対し、リパーパスは”他の目的”というのがポイント。


以前ニューヨークだよりでご紹介したコブルヒルのBrooklyn Farmacy & Soda Fountain (ブルックリン・ファーマシー・アンド・ソーダ・ファウンテン)は、昔の薬局をスイーツカフェにリパーパスしていました。






こちらは、工場跡をモダン&インダストリアルデザインの立体駐車場へと再利用された建物。

駐車場ですらセンスに拘るところがコブルヒルらしさなのかもしれません。


以前は銀行だった巨大な石造りの建物。

こちらをリパーパスして出来たのが、超人気グルメ&オーガニック・スーパーマーケット「Trader Joe’s (トレダー・ジョーズ)」コブルヒル店。

日本未上陸ながら、”トレジョ”という名称が定着するほど、日本にもファンの多い米国巨大スーパーマーケットチェーンです。





吹き抜けの天井に広々とした空間。



リーズナブルな価格帯の食料日用品を販売するスーパーにしては贅沢すぎる空間の様に思えますが、本来は庶民的な場所であるはずのスーパーですら洗練さを求めるのが、コブルヒルの魅力のひとつなのかもしれません。



今回ご紹介するのは、米国オレゴン州ポートランド発祥で“サード・ウェーブ”と呼ばれる世界的コーヒーブームのきっかけを作ったブランドとして知られるStumptown Coffee Roasters
こちらがStumptownニューヨーク3店舗となるコブルヒル店。

19世紀には消防署、最近では室内アーチェリー練習場として使われていた、築150年の建物を再利用し、今年7月にオープン。ユニークなリパーパス方法とお洒落なインテリアで大きな話題を呼んでいます。

入り口を入ってすぐのエントランスは真っ白にペイントされたレンガ壁の空間。








さりげなく置かれた置物が可愛い。

床には扇状に敷かれたタイルが使われています。





エントランスを通り抜け、次の部屋へ。

カフェカウンターのあるメインルーム。







重厚感あるアンティーク棚には、デザイン性の高さで定評のあるStumptownオリジナルの商品が並びます。






白いレンガ壁とマルーンカラーのウッドに、建物が建てられた19世紀を彷彿とさせるレトロな真鍮細工がアクセントになっています。



その中で、Stumptownが生まれたポートランドと、地元ニューヨークのアーティストたちのアートワークが所々に見られます。

カウンターで一際目を引くイタリア製のエスプレッソマシーンは、ポートランドで活躍する壁紙専門アーティストがハンドペイントしたカスタム。

ルーン文字の様なパターンがエンボス加工された天井タイルも、ポートランドのアーティストがこの店舗用に製作した作品です。




メインルームを通り抜け、奥に進むとアーチ状天井の細い廊下があります。

ニューヨーク地下鉄の駅がモチーフと言う空間は、エージングの掛かった白いタイルにグレイ目地が入れられ、とてもニューヨークらしい仕上がりに。





フリーのウォーターサーバーからは、Still Water (炭酸抜き)とSparkling Water(炭酸入り)の2種類が選べます。さり気ないサービスが嬉しいですね。



店内一番奥の部屋に進むと、天井の大きな鉛枠ガラスを通して光が差し込むシーティングスペース。
ソファーシートに座り、静かにゆったりと仕事や勉強に集中できます。





ここまでもインテリアの見所が沢山でしたが、このお店を訪れたら絶対に見逃せないのがバスルーム。


(写真 https://sprudge.com/first-look-inside-the-new-brooklyn-stumptown-coffee-roasters-135134.html)

フロアから壁、天井までエージングの掛かった白いタイルが施され、アクセントの真鍮細工のディテールがお洒落。







実は、このバスルームのどこかに小さなのぞき穴の仕掛けが隠されていて、そこを覗くと、ブルックリンベースのジオラマアーティストが手掛けたミニチュアが見られます。


(写真 https://sprudge.com/first-look-inside-the-new-brooklyn-stumptown-coffee-roasters-135134.html)

こんなお洒落で、遊び心溢れるトイレなら、ついつい長居したくなりますよね!



カウンターのあるメインルームに戻り、壁に掛けられたアートや写真を眺めながら、カフェラテとドーナツを頂きました。

そこで見つけた消防署時代のモノクロ写真。



150年間リパーパスを繰り返してきたこの建物も、外観だけは、当時の名残が大切に残されていました。





ここが気になる!スタッフのタイルワンポイント

古い建物を再利用し、全く新しい目的で使用する「リパーパス」。言葉は耳慣れないですが、日本でも横浜の赤レンガ倉庫を筆頭に、明治頃のレンガの建物(倉庫や産業工場など)をそのまま利用した施設や飲食店が増えていますよね。
ニューヨークの街並みが、世界一の大都会でありながら落ち着いたクラシカルな面持ちを保っているのは、リサイクルやリパーパスによって、古い建築物の街並みがそのまま残っているからなのでしょうね。木造建築が多い日本の建物はアメリカに比べると保存や再利用が難しいかもしれませんが、最近は「古民家再生」などのプロジェクトも多く見るようになりました。良い建築物や時代を映す建築物は、ぜひこれからも積極的に活用していってほしいですね。



ところで、今回新居さんが訪れたStumptown Coffee Roasters。実はスタッフも2年前の取材旅行で立ち寄ったことがありました(今回のコブルヒル店とは別の店舗です)。その時の記事もブログに上がっていますので、ぜひご覧くださいませ↓↓

■ニューヨークレポ寄り道編その1



この内装イメージにピッタリのタイルはこちら

上海レンガにペイント
★上海レンガ


レンガの上からペンキで塗装をすると、アンティークな雰囲気と爽やかな明るさを同居させることができます。こちらの写真もカフェでの使用例。このようにお店のロゴやメニューをペイントしても素敵ですね。



====お店情報====
Stumptown Coffee Roasters in Cobble Hill
212B Pacific St
Brooklyn, NY 11201

b/t Boerum Pl & Court St
Cobble Hill



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