取材:2018年5月 写真/記事:新居潤子
今回は番外編として、昨年マンハッタンに開通した地下鉄路線Qラインの駅に描かれた真新しいタイルアートをご紹介いたします。
アッパー・イースト・サイド地区の2番街周辺はマンハッタンの雑踏から抜け、閑静な住宅街が広がっています。
100年ほど前から地下鉄開通の計画があったにも関わらず工事延期が続き、やっとのこと昨年1月に、待ちに待った新路線Qラインが開通しました。
現在は4駅だけの短い路線ですが、路線の延長、そして追加3駅の建設が計画されています。
(https://www.nytimes.com/2016/12/19/nyregion/second-avenue-subway-opening.html)
ニューヨークの地下鉄の駅の多くが100年以上前の設計で大変年季が入っているのとは対照的に、Qライン沿いの新しい駅は、21世紀にふさわしいモダンなデザインです。
サブウェイタイルで覆われた壁面や、モザイクタイルの駅名サインなど、ニューヨーク地下鉄の象徴として知られるタイル。
これら定番の地下鉄タイルとは対照的に、Qラインのタイルはポップでモダンなデザインへと生まれ変わり、新鮮味に溢れています。
Qライン86th Street駅では、写真の様にリアルに描くフォトリアリズムの巨匠、アメリカ人画家・写真家のチャック・クロースのタイルアート12点が見られます。
それぞれ特徴的なタイル使いが施された作品。
大変細やかなモザイク貼りは一見の価値があります。
こちらの赤ちゃんやクロース氏本人のポートレートは、カラフルで超現実主義的な作品で、駅利用客の目を楽しませてくれます。
中には、モザイクではなくセラミックタイルを使った作品もあり、クロース氏らしいフォトリアリズムを見事に表現しています。
お次のQライン72th Street駅では、ブラジル出身のアーティスト ヴィック・ムニーズの作品が見られます。
ニューヨーカーを描いた色とりどりのモザイクタイルアート約40点です。
それぞれ異なる人種、職業、ファッション、ライフスタイルのニューヨーカーの特徴を良く捉えていて、面白いものが沢山あります。
ニューヨークヤンキースのキャップを被っていますね
右手に子供、左手にベビーカーの母親
ストリートミュージシャン
日本では許されない行為ですが、アイスを食べながら勤務する警察官
こちらも日本では見かけませんが、制服のままストリートを歩く医師
お隣には、仲良く手を繋いで歩く男性カップル
スニーカーで歩くパンツスーツの女性
その両脇には、インド系、そしてユダヤ系の男性
地球儀を持つユダヤ系の男性
スマフォを片手に歩く民族衣装サリーを纏った女性
いずれもニューヨークでは日常的に見かける光景です。
沢山のアートに触れることができるQラインの駅は街中にある小さな近代美術館の様ですね。