ニューヨークだより 第55回:Medly Pharmacy

取材:2019年5月   写真/記事:佐京佑夏


当時は工場地帯であり、ハシド派のユダヤ人や第一世代のイタリア系やプエルトリコ系移民者が多く住んでいた、ブルックリンのウィリアムズバーグ。以前にもニューヨーク便りで何度か紹介されたように、今ではアーティストやヒップスターが集まるトレンディー化されたエリア。




(http://freewilliamsburg.com/48-hours-in-north-brooklyn-williamsburg-greenpoint-and-bushwick)



確かにエリア的には改善され、アーティストの影響で沢山のレストランや店が出来てはいますが、メインストリートのベッドフォード通りから外れたマンハッタン通りやグラハム通りへ行くと、まだ当時のまま家族経営でやっているような、安いヘアーサロンやレストランが見られます。




(https://cannedyouth.wordpress.com/)





今回は、ウィリアムズバーグのこのような華やかなエリアではなく、外れた場所でユニークなコンセプトで開業した店を紹介します。





沢山の店で賑わうベッドフォード通り駅から、地下鉄のLラインでさらに東の方へ行くと、East Williamsburgと言われる東のウィリアムズバーグ地区に入ります。ベッドフォード駅から4つ目の駅は、モントローズ通り駅。




(http://www.subwaynut.com/bmt/montrosel/index.php)

“M”サインの両サイドには、入り組んだ幾何学模様とカラフルな色のタイルです。このLラインの駅は、全てこのデザインのタイルで統一しているようです。駅によってタイルやトリムの色が違ったりしているので、見ていると面白いです。








(http://www.subwaynut.com/bmt/montrosel/index.php)



地下鉄を出ると、ブッシュウィック通りとモントローズ通りを丁度交差している所に出ます。




(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E9%A7%85)




(https://www.brownstoner.com/services/business/d53bc05abb18af/graham-avenue-bid-80-graham-ave-suite-2a-brooklyn-ny-11206/)



駅からグラハム通りに歩いて行くと、周りには沢山の家族経営でやっている店がたくさん出てきます。お洒落なベッドフォード通りのエリアとはガラッと変わりますね。私はここに10年程前に短期間住んでいたことがありますが、当時は住人がちょうど変わりつつある時期で、アーティストやヒップスター達が移り住んできている頃でした。




(https://forgotten-ny.com/2010/01/a-walk-on-graham-avenue/)



この10年でこのエリアも大分変わり、お洒落なバーやコーヒーショップなどちらほら出てきていますが、やはりまだ前からいる住民の色が濃いような気がします。








(https://www.yelp.com/biz_photos/brooklyn-ball-factory-brooklyn)








(https://www.yelp.com/biz_photos/robertas-brooklyn-2?tab=outside)







このグラハム通りで、最近マスコミにも取り上げられるようになった面白いコンセプトの店があります。






通りの中でも一際目立つグリーン色の店が出てきました。






Medly Pharmacy(メドリーファーマシー)は、フルサービスのデジタル薬局。ネットやアプリで処方箋の薬を注文でき、ニューヨーク市内とニュージャージ州に住んでいる人へ、その日に無料で薬を届けてくれるのです。





ニューヨークでもかなり新しいこのサービスが面白いので、私も体験してみることにしました!

まずMedlyのアプリをスマートフォンにダウンロードした後で、自分の情報を登録し、医者からもらった処方箋の写真を撮って送ります。病気の時は薬局に行くのも大変なので、配達サービスがあるのは嬉しいですね!





今回は店が見たかったので、配達注文ではなく実際に行って受け取りを選択。


処方箋ができるまで店の中を探索します。全体的にミント色と白で統一された、クールでコンテンポラリーミニマリストにデザインされた店内は、薬局というよりはスパのような遊びが入っている雰囲気があります。優しくて心を落ち着かせるミント色は、病気でも気が滅入りませんよね。




(https://www.archdaily.com/895062/medly-pharmacy-sergio-mannino)








(https://www.archdaily.com)



入り口から入ってすぐのエリアは、処方箋を受け付ける場所と、お客さんが待つウェイティングエリア、そして両サイドと通り側に薬の棚が配置されています。ここがフロントオフィスになり、バックオフィスでは薬剤師が薬を調合しています。








(https://www.archdaily.com)



両方のオフィスを合わせて177平米なのであまり広くないスペースですが、殆どのお客さんが配達か、すでに処方箋をアプリでオーダーしてからきている人たちなので、待ち時間が少ないため混雑する様子はないようです。




ニューヨークにはスタバのように薬局の数が多いので、確かに便利といえば便利なのですが、処方箋を出してから最低30分は待ち時間があり、落ち着いて待つスペースもありません。Medlyは、そのような普通の薬局を覆すようなサービスと、他では見たことのないような薬局の空間を創り出したのです。





床のタイルはグラフィックの面白い幾何学模様のスクエアタイルなのですが、良く見ると薬のカプセルっぽい模様ですよね。このフロアタイルは、国際的にも名前が知られているスペインのデザイナー Jaime Hayonがデザインしたタイルだそうです。タイルも薬屋としてうまくブランディングしているところが、他の薬局とは違います。








(http://www.hayonstudio.com/design/bisazza-hayon-tiles-collection/)



この店をデザインしたのは、ブルックリンベースのデザインエージェンシー Sergio Mannio Studio。今までこのスタジオでは、主に店舗デザインが中心だったようですが、最近では手を広げプロダクトや家具デザイン、さらにブランディングにも手を広げているようです。Medlyの店舗デザインは、今年のNYC X Design Small Retail Design Awards(毎年ニューヨーク市で行われる小売商業施設のデザイン賞)にノミネートされています。




(https://www.archdaily.com)




私がこの店に入って一番感動したのが、このカウンターデスク。緑色の染料を混合したコンクリートセメントを、木の型に流し込んで作られた特注作品。一番下は緑色を多めにして、上に上がるにつれて少しずつ色素を少なくしているので、色の美しいグラデーションが見られますね。他では見たことがない、斬新的なデザインとアイディアが本当に素晴らしい!












(https://www.archdaily.com/895062/medly-pharmacy-sergio-mannino)







ウェイティングエリアには2つ大きめのベンチがあります。四角いベンチの真ん中にはバックレストがあり、両サイドを入れて4人座れるようになっています。全体的なミントグリーンに合わせて、ダークグリーンのレザー張り生地にクロームの脚は、店の雰囲気に良く合っているコンテンポラリーなデザインです。この椅子は、デザインスタジオが20世紀の日本人インテリアデザイナー、倉又史郎に捧げたそうです!












(https://www.archdaily.com/895062/medly-pharmacy-sergio-mannino)



カウンターデスクの後ろは、メッシュのように穴が細かく空いた、メタルのアコーディオンカーテンパネルがバックオフィスとの仕切りになっています。バックオフィスへアクセスするためのドアが右端にありますが、シームレスなので開かない限りドアだと分かりません。パネルも店のコンセプトカラーに合わせたミント色がペイントされています。












(https://www.archdaily.com/895062/medly-pharmacy-sergio-mannino)








ちょうど私の名前が呼ばれました。薬ができたようです。





渡されたのは、やはりミント色の手提げ紙袋。なぜか薬の色も緑!袋も可愛いのでテンション上がります。

そして薬とは別に小袋がついていて、中にはアレルギーの薬やビタミン剤などのサンプルの薬が沢山入っていました。病人の心をつかむナイスなフリーアイテムです。












初めてのデジタル薬局体験でしたが、従来の薬局とは違いアプリで頼める便利さと、独自の薬局としてのブランドやモットーを大切にした、他の薬局には無い未来的な店舗デザインを見ることができました。











ここが気になる!スタッフのタイルワンポイント


日本でもお薬手帳のアプリなど、お薬の予約・店舗受け取りは少しずつ出てきているそうですが、デザインにここまで手が届いているのはさすが先端都市ニューヨークといった感じですね!調剤薬局に来ただけなのに、オシャレな雑貨屋でお買い物した後みたいです。ちなみに日本の調剤薬局って白無地のポリ袋が殆どなので、私はいつもカバンにグシャッと入れてしまいます・・・。皆さんはいかがでしょう(^^;)

店内もデザインに統一感があって、ジャンクな内装材が多いのにしっかり薬局としてのイメージが守られています。タイルのデザインもロゴマークと共通性があって面白いですね。





この内装イメージにピッタリのタイルはこちら



★組絵

模様と色を組み合わせて何百通りものパターンを作ることができる、オリジナリティに特化したデザインタイルです。店舗のコンセプトにピッタリのデザインがきっと見つかりますよ。










====お店情報====


Medly Pharmacy

104 Graham Avenue

Brooklyn NY 11206







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